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第1話 崩落

さっそく次話投稿しました!

今話は急展開です。

どうか最後まで読んでいってください。


 


 とある日、日本中を震撼させる事件が起きた。




 それは、ある高校の学生30人が崩れた洞窟の中で下敷きになり全員が死亡したとされる事件だ。



 しかし、この事件には不可解な点があった。


 それは、学生達の遺体が1つも見当たらなかったことだ。



 だが、血痕は30名分ほどの量があちらこちらに飛び散っており、学生が生存していたことは考えにくいとされた。


 遺体の捜索は半年にも及び行われるも、たった一人として見つかることは無かった。



 大々的な捜索は打ち切られたが、一部では未だに捜索活動が続行されている……。








 ───修学旅行、それは高校の行事で最大のイベントだ。



 そして俺、三木原 奏真含む2年3組30人一行は修学旅行3日目に、ある洞窟に来ていた。



「ただの洞窟にしてはなかなか綺麗だなぁ」



 先頭を歩くクラス委員長の瀬戸 裕也が天井を見上げながらそう呟いた。



 彼を筆頭にする、クラスのいわゆる上位陣達はコクコクと頷いて、彼の周りをまるでジンベイザメに寄り縋る小判鮫のように歩きまわっている。



 何故、洞窟に入っているかと言えば、海水浴を堪能していた時に突然雨が降ってきたため、雨やどり目的で手頃な洞窟に入ったのだ。



 そこは意外と深く続いており、探検するかと瀬戸がのりだしたのがきっかけである。



 いいよな、イケメンは人気者で。



 俺はそう呟かずにはいられなかった。


 もちろん口には出さない。

 こんなことを発言してしまえば、恐らく、クラスの全員から滅多打ちのボロ雑巾にされかねない。



 なぜなら俺は、今もまさに最後尾を1人でポツポツと歩くようなクラスの立場にいるからだ。


 対して、瀬戸は顔よし、頭よし、スポーツよしのハイスペック男子だ。



 この格差社会に地団駄を踏みたくなる。



「はぁー、俺はなんでこんなに……」



 そんなふうに溜息をこぼしていると、不意に肩に重圧がかかった。



「なぁに、溜息なんてついてんのー? 幸せが逃げてくぜ?」



 からかうように笑いながら、肩につかまりかかって来たのは、唯一クラスの中で友人であり親友だと思っている河村 晴人だった。



「なんだよ、晴人かぁ。 ビックリさせるなよ」



 そう言って弱めに手を振りほどく仕草をする。



 晴人はにぃっと歯を見せて笑い、肩から手をどけた。



「せっかくの修学旅行だってのに何辛気臭い顔してんの? もっと楽しまなきゃ」



「そうは言ってもさぁ、この格差社会に打ちひしがれてる俺の気持ちも考えてみてくれよ」



「んー、何言ってるかわからんけど、つまりあれか? 裕也が羨ましいってことか?」



 晴人は割とアホだが勘は鋭いようだ。



 俺は降参したように目を逸らして「まぁ、そんなとこ」と応えた。



 すると彼は手をポンっとたたいて、にやにやしながら俺の耳元に口を寄せて予想外のことを口にしてきた。



「あー、お前もしかして好きなやつでもできたん? ほらほら言ってみー」



 この瞬間に俺は理解した。

 やっぱりこいつはアホだ。



「いやいや、ないって。俺そういうの疎いし、晴人がいれば十分だって」



 そうだ、俺は基本人とあまり関わるのは得意ではないし、友人も1人2人いれば十分だ。



 それに、思い出すだけで辛くなるような苦い経験をしている。



 人間関係はいつも大変で、好きな人なんてそもそも出会いがないのだからいるわけがない。



 俺がそう言うと、晴人は「んー? そかー」と呟いて



「てか、なに恥ずいこと言ってんのー?」



 そう言って俺の頭をぐりぐりとしてくる。



「あいたたたた! そこは手加減してよ」



 そんなじゃれあいをしている時だった。



 ころころっと音を立てて落ちてきた石ころが足元に転がった。



 何か嫌な予感がした。

 急に背筋が凍るような怖気を感じる。



 なんの根拠もない、勝手な思い込みなのかもしれない。

 しかし、生存本能が、まるでここにいては危ないと、強く警鐘を鳴らしているようだった。



「なぁ晴人、この洞窟って崩れたりしないよな?」



 俺は冷や汗を額に浮かべながら、晴人に訊いた。



「んー、大丈夫とは言いきれないけど、まぁそう簡単には崩れないっしょ? 急にどうしたん?」



 なおも、嫌な汗がじんわりと背筋を滴っていく。



「嫌な予感がするんだ、早めに外へ……」



 そう言いかけて、晴人の手をひこうとした時だった。



 ─────ガシャァァァーーンッ!!!!



 突如、壮烈な音とともに天井の岩に亀裂が入り崩壊を始めた。


 どうやら嫌な予感は当たっていたようだ。



 地面は大きく揺れ、前方を歩いていたクラスメイト達は悲鳴をあげる。


 滝のように岩石が降り注ぎ、雨のように真っ赤な飛沫(しぶき)が飛び上がった。


 本当にそれは一瞬の出来事だ。




「晴人!」



 それでも俺は親友の名前を叫び、崩れる岩の中、手を伸ばす。



 しかしその瞬間、彼は岩の下敷きになった。

 グチャりと、嫌な音が聞こえる。



 そして、手は届かないまま、同時に俺の意識はプツリと途絶えた────





今回も来て下さりありがとうございます。

どんどん投稿していくので、次もいらっしゃいませ〜

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 改行、空行が多すぎて読みにくいです。
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