第179話『女子会の夜は長く』
大変お久しぶりでございます。
私の怠慢でこの作品と読者様を2年間も放置してしまうこととなってしまい、本当に申し訳ありませんでした。
きっとお話忘れてしまってるかと思うのですが、一応更新再開していこうかと思っております。
以前のように定期更新とはいきませんが、最新話書き次第投稿をしていきます。
もしも許されるならば、もう一度この作品を読んでやっていただけると心の底から嬉しいです。
お話忘れてしまったよという方は、また始めから読んで貰えたら泣いて喜びます。
「ただいまぁ〜」
レミエルは上機嫌にそう言ってニーナの乗る車椅子を引きながら扉口を潜った。
部屋の明かりはついていなかった。
「あら?まだレイシアちゃん帰ってないのかな?」
ニーナとレミエルは首を傾げながら部屋の明かりをつけ奥へと進む。
「……!?」
途端、2人は驚いたように目を剥いた。
まだ帰っていないと思っていたレイシアがベッドの片隅に静かに腰掛けていた。
「……あ、おかえりレミエル、ニーナ」
「ちょ、おかえりって! レイシアたんなんで明かりもつけんと───」
彼女の顔がはっきりと見えると、レミエルは言葉を詰まらせた。
それはニーナも同じだった。
「レイシアちゃん……」
「ごめん、足元見えずらかったよね。 明かりつけるの忘れててさ」
あははとうっかりしたように笑うレイシアの表情を見て2人の胸がズキンと傷む。
腫れた瞼、真っ赤な目尻……その上に乗っかる無邪気な微笑み。
その顔を見れば今日の結果がどうなったのかは彼女達にはすぐに分かった。
なぜなら、今日皆で買い物に行こうと言い出し、レイシアとユウを2人きりにしたのは彼女達なのだから。
レミエルは手に持っていた紙袋をふっとその場に落とし、何も言わずレイシアの元へ歩み寄った。
そして、彼女の背から静かに優しくその冷たくなった体を抱きとめた。
レイシアの肩がピクっと震えた。
ニーナもまた車椅子で彼女の傍に寄り、レイシアの手を握る。
今にも泣き出しそうに瞳を揺らしていた。
「どうして君の方が泣きそうになってるんだよ」
レイシアはくすっと笑いながらニーナの頬に触れた。
「だって…!だってさぁ……」
震える声とともに、ついに瞳からは涙が零れた。
「もう、君が泣いたら、ボクもまた泣きそうになるじゃないか」
「そんなこと言われたってぇ……」
ニーナは既にボロボロと泣き出していた。
「でも、ありがとう…。ボクのために泣いてくれて。 レイシアも色々とボクのために頑張ってくれて、ありがとう」
レイシアは穏やかに微笑んで2人にそう伝えた。
「ボク、振られちゃったよ。 まぁ怖くて告白もできなかったんだけどね……」
レイシアの肩をレミエルはきゅっと抱きしめた。
「そんなことない……。 レイシアたんは頑張った。 よぉう、頑張ったよ」
解かれた銀髪をさらりと撫でる。
レミエルはもう気づいていた。
ユウの心がどこに向いているのか。
けれどそれを本人に伝えるのは彼女にはできなかった。
せっかく芽生えてくれたレイシア自身の気持ちに水を刺したくなかったから。
また、心のどこかでレイシアには受け止めきれないのではないか、などとも思っていたところがある。
だがそんなことは全くなかったのだ。
「でもさ、別に諦めたわけじゃないんだ」
その言葉にニーナが顔を上げる。
「ボクがユウの1番になれないからって、ユウをボクの1番にしちゃいけないなんてことはないだろ?」
生き生きとそう言うレイシアに、レミエルはふっと笑みを零す。
ニーナもまたつられて頬を綻ばせた。
「図太い女って思われるかもしれないけど……ボクは諦めるつもりはないよ。 別に2番だって構わない。 とにかくユウに少しでもボクのことを女として好きにさせてみせる」
レイシアは一息置いて「だからさ……」と付け加え、
「その、とりあえずハーフアップのやり方…教えてくれないかな?」
照れくさそうに頬を染めて言った。
そんな彼女を見て、ニーナとレミエルは目を見合わせると、途端に糸が切れたように吹き出した。
「なっ!なにも笑うことないだろ!?」
「ごめんごめん、ついな」
「レイシアちゃんがあまりにいじらしくって」
「もー!」
レイシアは恥ずかしそうにぷくっと頬を膨らませた。
「もちろん、いくらでも教えるし手伝うよ!」
「もちろんうちもや!」
そこでレミエルは「せや!」と何か思い出したように眉を上げて、先程落とした紙袋を取りに行った。
「今日レイシアたんに似合いそうな服とかアクセサリー、買ってきたんよぉ! あ、まぁもちろん、レイシアたんが良かったらなんやけど……」
毎度断られているせいか、レミエルは遠慮がちに苦笑いして紙袋をきゅっと抱きしめた。
「……る」
「え?」
「それ、着る……」
頬を赤く染め上げ目を逸らしながらほそっと呟いた。
その反応にレミエルは花が咲いたように笑い飛び上がった。
「え、ほんま! ほんまに!?やった! ぜーったい似合うと思うねん! なー、ニーナたん」
「うん! 絶対似合う! それにレイシアちゃん、普段は制服とかジャージとかしか着ないから、きっとユウが見たらドキッとするよきっと!」
「ほんと? 可愛いって思ってもらえるかな?」
「ほんとほんと! さっそく着てみようよ!」
「よしゃ! 今日は女子会やぁ!」
レミエルが拳を高く突き上げた。
「お、おーー!」
レイシアもまたぎこちなくではあるが拳を上げた。
そんな彼女を見てレミエルは一瞬驚きに目を見開いた。
しかしすぐにどこか安心したように微笑むと、気付かれぬ間に元の高いテンションへと返り咲いた。
これからはきっと、自分がいなくてもレイシアは強く生きていける。だからもう大丈夫───。
その時のレミエルはそんなふうに思った。
短かったですが、最後まで読んで頂き本当にありがとうございます。
これからも不定期にはなってしまいますが投稿していく所存です。
作者いつの間にか社会人になってしまっていたこともあり、投稿は基本的に土日になるかなと思います。
心優しい読者様、本当にここまで読んでくださりありがとうございます。
その優しさにつけ込む形になり本当に申し訳ないのですが、よければこれからも読んでいただけると幸いでございます。




