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クラス転生譚 〜最弱無職の成り上がり〜  作者: 美夜尾maru
第11章 〜学内序列決定戦〜
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第137話 一回戦①

 



 予選トーナメントの対戦表が張り出されてから、あっという間に1週間が経ち、ついに、学内序列決定戦当日を迎えていた。


 ただ1つ懸念があるとすれば、やはりアーサの事だ。


 結局あの日以来、また同じように一切干渉してこなかったことにも違和感は募るばかりだ。


 本当に改心したという可能性も微塵程度もなくはないが、あのクズのことだ。 そんなこと到底受け入れ難いし、まるで信じられない。


 何事もなく終わるのが最善ではある。

 だか、そんなはずがない。

 間違いなく、何か仕掛けてくるだろう。


 もちろん俺が勝てば何も問題ないが、できる限りの警戒と対策はしておくに越したことはない。


 そんな懸念を残しつつ迎えた当日だったのだ。



「───では、諸君の健闘を祈っている。 以上だ」



 今現在は、全学生をアリーナに集めて、学園長ケイル・アル・ミシェドが開始の宣言を終えたところだ。


 そして、講師長カルス・バーナードが、学内序列決定戦の概要の再説明を始めていた。



「これより4日間かけて、予選トーナメントが行われる予定だが、状況に合わせて遅延、もしくは短縮する場合もある。 ルールは事前に配布した資料を確認しておくように。 そして予選トーナメントが終了しだい、再度アリーナで集会を行う。 怪我等で出席できない場合は、担当の講師に伝えておいてくれ。 また、予選トーナメント終了の翌日は休日とする。 次に本戦トーナメントだが────」



 そんな調子で、カルス・バーナードは序列戦の概要を説明していき、



「────以上で説明を終わる。 分からないこと等あれば、改めて運営事務局まで来るといい」



 そう言って一礼すると、後段していった。



「それではこれで学内序列決定戦、予選トーナメント前集会を閉会とします。 予選1回戦は30分後。 該当する者は速やかに準備し、指定されたスタジアムに向かってください」



 司会進行を務めていたクレア・ミラードが最後にそう締めくくり、学生は運営の案内の元、速やかに解散して行った。



「いやァ、とうとう始まったなァ」



 集会の後、いつものメンバーで集まると、シルバが興奮したように言った。


 アリーナの外は学生で溢れかえり、まるでお祭り騒ぎだ。



「シルバの初戦はどこのスタジアムだ?」


 俺がそう訊くと、シルバは「あァ」と言いながら、ごそごそとポケットから事前に配布されたトーナメント表を取り出した。



「えっと、第5スタジアムだァ。 第13試合みたいだな」


「じゃあ今日はシルバの初戦の応援だけだな。 俺もエルフィアも初戦は多分明日になるだろうし、レイシアはずっと暇だろ?」


「そうね」


「いや、間違ってはないんだけどさ、なんかその言い方だとすごく語弊がある気がするんだけど? まるでボクが怠惰みたいじゃないか」



 エルフィアが相槌を打つと、ツッコミを入れるように、レイシアがジト目を向けながらそう言ってきた。



 俺は笑いながら「わるいわるい」と謝ると、レイシアは「むー」と、不服げに鼻を鳴らしていた。


 その後は、シルバの試合が始まるまで、他の試合の観戦していようということになった。


 そして昼過ぎ、第5スタジアムの12試合目が終了し、ついにシルバの初戦の時がやってきた。



「そんじゃ行ってくるわァ」


「あぁ、勝ってこいよ」


「たりめェよォ」



 シルバはにぃっと歯を見せて笑い、俺達全員とハイタッチすると、スタジアムの入場ゲートへ向かっていった。


 シルバの試合は10分かからずに終わった。


 相手は1年生のBクラスの人らしかったが、シルバの圧倒的な勝利だった。


 彼の戦闘スタイルは格闘系の連撃技だ。


 ただ、特筆して速度がある訳でも、破壊力がある訳でもない。


 それでも彼が相手を圧倒できる所以は、恐らく読みの速さと正確さにある。


 冒険者時代の実戦によって培われた戦闘感とでも言えるのだろうか。


 とにかく一つ一つの動きが丁寧、かつ確実に相手を追い詰めている。


 そして全くと言っていいほど隙を作らない。


 大胆な性格であるのに、戦い方はとてつもなく慎重で繊細だ。


 正直、凄いとしか言いようがない。


 まぁ、褒めたら調子に乗って面倒くさそうなので本人に直接言ったりはしないが。



「よ、お疲れ様さん」



 帰ってきたシルバを労うと「あぁ」と、どこか物足りなさそうに頷いて、



「まァ、もうちょい戦いたかったんだけどなァ」


「予選ですら少なくとも4日間あるんだ。 余力は残せるだけ残しておいた方がいい」


「その通りだね」



 俺とレイシアがそう返すと、シルバは「ま、そうだなァ」と開き直っていた。



 その後は全員で昼食をとって、試合を観戦していたが、俺とエルフィアの試合が回ってくることは無く、予選トーナメントの一日目が終了。


 そして、次の日行われたエルフィアの初戦も無事勝利を収めた。


 相変わらず、エルフィアの風魔法は凄まじいものがある。


 流石に戦い慣れしているという感じはないが、精度も威力も高い魔法を自在に操り相手を翻弄する。


 魔法技術に関しては、レイアースでも腕の立つ、あのリリー仕込みだ。


 そして、魔法にしてもそうだが、やはりエルフィアの容姿に対する観客席の歓声が凄かった。


 ただ、まだ注目されるのは苦手なようで、少し疲れた様子で戻ってきたが。


 そんなこんなありつつも、エルフィアの試合から数時間後、ついに俺も初戦を迎ることとなったのだ。



「それではこれより、第8スタジアム、1回戦、第43試合。 1年Sクラス、ユウ・クラウス対、2年Cクラス、デイル・オリバーの試合を開始します!」



 審判の合図がスタジアム内に響いた。



※ミシェド学園のスタジアムの数を8つに変更致しました。

変更前の5つだと計算したところ、あまりに長くなってしまったので。


今後も本作をよろしくお願いします!

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