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クラス転生譚 〜最弱無職の成り上がり〜  作者: 美夜尾maru
第10章 〜望まぬ再会〜
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第116話 入学祝い②

久々の連日更新です!

 



「それじゃあ、3人の入学を祝して、乾杯!」


「「かんぱーい」」



 レイシアの乾杯の音頭に合わせて、みんないっせいにコップを重ねる。

 コツコツと、ガラス同士の衝突音が心地よく鳴り響いた。



「ところで……なんで、リンさんまで相席してるんだろうか?」



 いつの間にやらしなっと席に座り、乾杯に混ざっていたリンダのことが気になったのか、レイシアがジト目で訊ねていた。


 俺も確かにそれは気になっていたが。



 リンダはそれを聞くと「あぁ……」と口を覆って、下手な泣き真似をする。



「酷いわぁレイシアちゃん。 私を除け者にするなんてぇ、しくしく」


「いや……そういうことじゃなくて。 お店は? 仕事は? 今、ボク達といて平気なのかい!?」


「主人に頼んで30分休憩貰ってきたから大丈夫よ〜。 それに私、あんまり料理得意じゃないから、厨房では殆ど仕事ないし〜」


「えぇ……」



 ほんとにそれでいいのか……!?


 ケロリとして言ったリンダに、レミエル以外の全員がそう思いながら、今のレイシアと同じように口をポカンと開けて呆然としていた。



「それより、今日のレイシアちゃん、いつもより活き活きしてて嬉しいわ〜。 私のノリにも突っ込んでくれるし」


「きっと、初めて友達と一緒にこういうこと出来て浮かれてるんよぉ。 ね、レイシアたん」


「2人して、茶化さないでくれよぉ……。 事実だから、なお恥ずかしい……」


「あらあら〜。 照れちゃって、可愛い〜」


「照れてるレイシアたん、まじ天使やわぁ」



 そんな調子で満面の笑みを浮かべるレミエルとリンダに挟まれて、レイシアは恥ずかしそうに赤面し、顔を伏せていた。


 綺麗な銀髪の隙間から覗ける形の良い耳まで、ほのかに赤くなっている。


 俺もレイシアのことを、なんだか可愛らしいと思ってしまった。



 学園最強の少女でも、この2人に挟まれてしまっていては、さすがにどうしようも敵わないらしい。



 レミエルとリンダに両サイドを囲まれるレイシアを見ていると、さすがに同情の念が湧いてきて、俺は助け舟を出してやろうと口を開いた。



「俺も……こんな風に学友とワイワイする感じ、結構憧れてたんだ。 だから、今日は誘ってくれてありがとな、レイシア」



 俺がそう言ってやると、レイシアはぱっと顔を上げて、嬉しそうに、そしてどこかまた照れくさそうに微笑んだ。



「そ、そうか……。 それなら良かったよ。 ボクの方こそ誘いに乗ってくれてありがとう。 ボクも君と、君達のような友人と、こういうことができて嬉しい、な……」



 その後は狙い通り、リンダとレミエルの目標が俺とエルフィアとラフィーの方へシフトし、レイシアはしばらくの安寧を得た。



 確かに助け舟という大義名分はあったが、俺がかけた言葉は紛れもなく本音だった。



 前世の学生時代の俺はぼっちを極め、こういう経験など全くしたことがなかった。


 別に疲れるだけだから、友達なんていらないと強がってはいたが、実際憧れていたのだ。


 周囲を見渡して、友人同士で楽しそうにしているところを見て、心の中ではいつも羨ましいと思っている自分がいた。



 だから今、エルフィアにラフィー、レイシアにレミエル、ついでにリンダも、こういう風に一緒に食事して、ワイワイとできることが、心の底から楽しかった。


 きっと1番浮かれているのは、自分なのだろうと思うほどに。



 まあただ、男が1人だけというのは少し肩身が狭いということは否めなかったが。


 それに、とにかく周囲の視線がものすごく()い。 ほんとにいつか殺されるんじゃないかと思うくらいだ。



 確かに、エルフィアもラフィーもレイシアも、内面もそうだが、その容姿だけでもとても魅力的だ。


 そんな彼女らと一緒にいる唯一の男である俺に自然と視線(ヘイト)が集まるのも仕方の無いことだと理解している。



 だが、やはりそういった視線に晒されるというのはいくら慣れているとは言っても、辛いものがある。


 こればかりは役得であり、役損でもあるのだ。



 そんなこんなで、色々とありつつも、昼食を終え『食事処パトリア』を後にした。


 レイシアとレミエルもおすすめするだけあって、本当に料理は絶品だった。

 エルフィアとラフィーも絶賛の味だ。



 その後も、5人で日常エリアの街をぶらつき、あっという間に時間は過ぎていった。

 そして、時計が19時を回り、辺りが暗くなってきたところで、俺達は『学生寮エリア』へ到着した。



 学生寮エリアは、文字通り、ミシェド学園の学生の為の寄宿寮施設がある場所だ。

 原則として、全学生がここへ入寮し、生活しなければならない。


 また、このエリアは大きく6つの建物に別れている。


 中等部男子寮、中等部女子寮、高等部男子寮、高等部女子寮。

 そして、男女共用の食堂が、高等部中等部共に1つずつ。


 ちなみに寮の門限は21(9)時。 食堂の営業時間は朝の6時から夜10時までだ。



 俺達は今、高等部用の男子寮棟と女子寮棟の間を隔てるエントランス前で解散しようとしていた。




「───え……、あたしはマスターと同じ部屋では、ないんですか……?」



 しかし、その際、ラフィーが俺と一緒に男子寮へ来ようとしたため、俺は、ラフィーに女子寮の方へ行くように説得をしていた。



「ごめんな。 ラフィーは天使だけど、立派な女の子なんだ。 だからここのルール上、今までみたいに俺と同じ部屋というわけにはいかないんだ」



 残念そうに肩を竦めて、寂しげな顔をするラフィーの頭を撫でていると、エルフィアもその説得に後押しをかけてくれる。



「……そうよ、ラフィー。 ユウと離れたくない気持ちはすごく分かるけど、仕方ないのよ……。 だから私と一緒に女子寮の方へ行きましょう?」



 俺とエルフィアの説得に、ラフィーは惜しみながらも直ぐに納得してくれたようで「分かりました……」と、小さく呟いた。



「だけど……その、毎日、寝る前に、念話でいいので、マスターの声を聞かせてください……」



 少し頬を染めて、上目遣いで俺の顔を見つめてそう言ってきたラフィーにドキッとしながらも、俺は「あぁ」と微笑して頷いた。



 こうして、ようやく今日は解散となり、俺も男子寮の方へと足を向けた。




最後までご拝読ありがとうございます。

活動報告でもお伝えさせて頂いた通り、先週末で少し書き溜められたので本日も投稿しました!


定期更新日以外で更新する時は、前もって活動報告でお伝えしますので、よろしければ作者リンクから見に来てくださいませ〜。

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