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クラス転生譚 〜最弱無職の成り上がり〜  作者: 美夜尾maru
第10章 〜望まぬ再会〜
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第114話 望まぬ再会⑧

更新時間変更してしまい、申し訳ありませんでした!

 




「……マスター!?」


「ユウ? 先に集合場所に行ってたんじゃ?」



 教室の扉から出てきた2人は、直ぐに扉から少し離れたところに立っていた俺に気がつくと、ポカンとした表情でそう呟いた。



「ああ。 アルド先生の件は直ぐに済んだから、2人の様子を見ようと思ってな」



 まあ、時間がかかりそうなら先に行こうかとも思ったが、どのみち少しは待つつもりではいた。



 ラフィーもエルフィアも、もちろん俺も含めてこの学園にはまだ慣れていない。

 なにせ今日入学してきたのだから。



 学園の地図は一応頭には入れているし、アルドも多少は説明してくれていたが、如何せんとてつもなく広い。



 3人とも同じ場所に向かうというのに、かたまって移動するほかに越したことはないだろう。


 と、そういうつもりで教室に立ち寄ってみたのだが、ああいう状況に至るとは思いもしない。



 俺が様子を見に来ていたことを聞くと、エルフィアとラフィーは申し訳なさそうな表情になる。



「……ということは……聞いてましたか?」


「まあな。 盗み聞きするつもりはなかったんだが……」



 2人を気負わせてしまったことへの自責の念にかられ、俺は弱い口調でそう言った。



 すると、ラフィーとエルフィアはお互いに一瞬目を合わせ、再び俺の目を見ると、一緒に頭を下げてきた。


「すみませんでした!」

「ごめんなさい!」



 そんな風に謝ってきた彼女たちが、何に対して罪悪感を感じていたのかは、既に気がついていた。


 きっと2人は、メルク達の発言を見過ごそうとしたことを後悔しているのだろう。


 俺を罵倒するような発言を、自分たちの判断のせいで俺自身に聞かせてしまったのだと。


 しかしそれは大きな見当違いというものだ。



「なんで2人が謝るんだ? 俺からすればむしろ、2人には感謝しかない」



「「え……?」」


 2人がぱっと顔を上げ、困惑したように目を丸くする。



「だ、だって……もっと早くあの人達を止めていれば、マスターが嫌な気持ちになることもなくて……」


「私も、ユウのこと、絶対に傷つけさせないって決めたのに……」


「───できるだけ穏便に……。 俺の意思を汲み取ってくれての判断だったんだろ?」



 なるべく、元クラスメイトとの過剰な接触は控えたい、穏便に学園生活を送りたい、そう思っていた。


 2人にはそれを伝えていたから、俺の意思を尊重して、言い返さないでいてくれたのだ。



「でも私……ユウのこと悪く言われるの、どうしても我慢できなくて、あのメルクって人、思いっきり叩いちゃった……」


「ああ。 あはは、あれはいい音だったな」



 エルフィアが言ったその時の様子を想像して、思わずクスッと笑いが出てしまった。


 メルクが顔を歪ませながら尻餅をついて、何が起きたのか分からず呆然としている。

 こんなの、想像しただけでも、笑わずに居られるわけが無い。



「あたしも、思わずかっとなって、彼らを煽動するような、意地の悪い言い方をしてしまいました」


「確かに、結果的には穏便に済ませるって事は叶わなかった訳だが、そもそもホームルームの時に俺がアーサの挑発に乗った時点で避けられなかった。 だから2人が気負うことなんてない」



 まあ、アーサ自信も俺がユウ・アッシュリッドということは、ほとんど確信してのあの仕掛けだったんだとは思う。


 もちろん、今でもやつらとの過剰な接触は控えたいし、穏便にという目標を捨て去った訳では無い。

 だが、あの時点で元クラスメイトと真っ向から対立してやろうと決めたのは俺だ。


 それに、俺に全責任があるのだから、エルフィアとラフィーが気負わなくていいとか、そんなことよりも別に言いたいことがあるのだ。



「まあ、つまり何が言いたいかって言うと……俺のために怒ってくれてありがとうってこと」



 そう。 俺が言いたいのは結局そういうことなのだ。

 2人が全力で、俺のために怒ってくれた。 俺の尊厳を、名誉を守ってくれようとした。



「それに、2人のおかげで最高にスカッとしたしな!」



 確かに、メルク達の発言にはむかついたが、エルフィアのビンタとラフィーの言葉が俺の鬱憤を代わりに晴らしてくれた。



 俺がスッキリとした満面の笑みでそう言ってやると、2人の苦かった表情が次第に晴れていく。



「本当ですか?」


「私、ユウの役にたてた?」


「ああ」



 そう言ってエルフィアとラフィーの頭に手を置くと、2人は安堵したようにほっと吐息を漏らし、微笑んだ。



「それじゃあ行くか。 レイシア達を待たせちゃ悪い」


「はい!」

「そうね」



 そうして、ようやく俺たちは待ち合わせをしている場所である『学校棟エリア』の正門へ向かった。



 3人揃って入学初日から盛大にやらかした訳だが、2人がいればきっと、この学園生活も楽しいものになるだろう。 そう思った。




最近の自分の生活状況を鑑みて、定期更新の時間帯を変更しました。

詳しくは活動報告で述べさせていただいているので、よろしければ見てみてください。

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