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クラス転生譚 〜最弱無職の成り上がり〜  作者: 美夜尾maru
第10章 〜望まぬ再会〜
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第110話 望まぬ再会④

定期更新を予定していたは20時から大幅に遅れてしまい申し訳ありません!

言い訳になってしまい恐縮ですが、保存していた文章が消失するというトラブルがありました。

自分の不徳のなすところではありますが、どうかご理解ください。

 




「初めまして。 僕がこの『Sクラス』の担任と、1学年の主任を務めることになった、副講師長のアルド・オルフィスだ。 みんな、よろしく!」



 彼のその挨拶を聞いて、一瞬驚いたが、俺は内心少しほっとしていた。


 クラスの担任講師となるからには、少なくともこの1年間は付き合っていかなければならない。



 それが仮に『無職』に対して理解がない者だとしたら、それは俺にとって苦痛でしかない。


 言い出してしまえば、ここへ入学した意味がなくなってしまう。



 サイオスがこんなことを言っていたことがあった。



『剣士という生き物は、本気で刃を交えれば、相手の本性が垣間見えるものだ』



 当初は首を傾げたが、今ではそういう感覚も何となく分かる。



 それが、俺が剣士という生き物に近づいているからなのかは分からないが、あの特別試験の時の対戦で、アルドという人間が悪い人間ではない事は確信できた。



 まだ、完全に信用している訳では無い。

 だが。少なくとも俺の天職に対して理解がある稀有な存在だ。



 それに、試験では勝利できたといっても、彼からは学べることも多くあるだろう。



 その点からしても、アルドが担任の講師となってくれることに、ひと安心していたのだ。



 アルドが軽い挨拶と自己紹介を終えたところで、1番先頭の席の男子生徒が手を挙げた。



「どうぞ」とアルドは頷く。



「席ってこのままでいいんすかァ? 勢いでその場の席についたんすけど、決まってたりします?」



「ああ。 それなら問題ないよ。 基本的に席は自由だからね。 ただし───」



 そこまで言いかけたところで、アルドは声のトーンを落とし緊張感を持たせると、



「講義の邪魔になるような行為をする場合は、それ相応の対処をさせて貰うけどね」



 アルドがそういった途端に、クラス内の雰囲気が重く冷たくなった気がした。


 きっとそれはアルドなりの忠告だったのだろう。



 しかし、直ぐに元の優しい調子に戻り「まあ君たちなら問題ないとは思うけどね」と、付け加えると、教室内の雰囲気も元に戻った。



 それを見て、アルドは、ぱんっと1つ手を叩くと、



「さて。 たぶん中等部から上がってきた人以外はほとんどみんな初対面だろうから、とりあえず自己紹介しようか」



 そう言って「じゃあ、君からお願いできるかい?」と、先程手を挙げた男子生徒に手のひらを向ける。



「俺からっすかァ?」


「ああ。 名前と、軽く一言で構わないから」



 すると「わかりましたぁ」と呟いて、その男子生徒はさっと立ち上がり、自分の方向に親指を向けると、



「俺はァ、シルバ・ラッドローだ。 特に話すこたぁ用意してないが、まあよろしく」



 三白眼と目立つ八重歯が印象的なその男子生徒は、無愛想な挨拶を終えると、直ぐに着席した。


 まあ、人に無愛想などと俺が言えたことでは無いかもしれないが。



 彼を始めとして、その後は、各々が名前の他に特技やら出身やらを紹介しながら、順に次々と自己紹介していった。



 その間、アーサやメルクにも順番が回っていたが、彼らが俺の存在に気づいていたような気配はなかった。


 というか、あの二人は周りにいる女子生徒との会話に夢中で、他のクラスメイトの自己紹介自体に興味を持っていなさそうだった。



 そして、ロークにも順番が回る。



「えっと、僕はローク・ラシュダットです。 中等科の方から進学し────」



 そこまで言いかけた時、彼は目を見開いて、ピタリと固まってしまった。


 口を半開きにしながら呆然としているが、先程まで教室内を見渡していた彼の視線は、ある一点に集中している。



 その時、俺は彼と目が合っていた。

 彼の視線の先にはきっと間違いなく、俺の存在があった。



 そのことに驚き、俺も思わず目を丸くしたが、すぐに視線を逸らしたため、目が合っていたのはほんの一瞬だっただろう。



 しかし、その反応がどういった意味をもちあわせていたのかなど、考えるまでもなかった。



 呆然していた彼だったが、隣の席に座っていた女子生徒に声をかけられ、直ぐに我に返ると「すいませんと」一言謝罪し、ややそわそわしながらも挨拶は最後まで続けた。



 その後も自己紹介は続いたが、もしかしたらローク以外にも俺の存在に気づいている者がいるかもしれない。



 そう思ったのも、複数の妙な視線を向けられている気がしていたからだ。


 無論それが、ロークのそれと同様のものであったかは定かではなかったが。



 そんな中、とうとう最後尾に座っていた俺達にまで順番が回ってきた。



 席の並び的に、どうやら俺が最初のようだ。



 もっと身構えてしまうかもしれないとも思っていたが、思い過ごしだったらしい。


 それもこれも、やはりエルフィアとラフィーのおかげだ。


 俺はそろっと立ち上がり、一息だけ吸い込んで、



「ユウ・クラウスだ。 これといって話すこともないが、ひとまずよろしく頼む────」



 そう言い終えて、そのまま着席しようとしたその時。



「───は? おいおい、なんでてめぇがこんな所にいる?」



 前方から突然聞こえてきた、その驚愕したような声に、俺は再び腸が煮えくりかえるような気分に陥った。


 喉の奥に不快な感覚をおぼえる。



 しかし、今回の俺は至って冷静だった。

 頭に血が上ることはなく、怒りに冷静さを欠くようなこともない。



 俺は落ち着いてその声の主を見下ろして、ふっと1つ吐息を零した。



「なんのことだ?」と、すっとぼけて、そのまま一切関わらず放置するという選択肢も当然あっただろう。


 いやむしろ、それが正解だったのかもしれない。


 だが、俺と奴との因縁に対する決着は、きっとこうしなければ何も始まらなかったし、何も終わらなかった。


 それに、やつに勝ち逃げされたままにするのはどうにも堪えが効かなかった。



 だから俺は、迷わず真っ向から対抗してやることにしたのだ。

 その口火にはこれしかないだろう。



「それはこっちのセリフだ。 晴人(アーサ)……!」





最後までご拝読ありがとうございます。

当初の予定では、アーサとユウが直接対面するのはもう少し先にしようかとも思っていたのですが、色々な都合上、今話で再会させました。


ここから物語はまた大きく動いていくので、ぜひ楽しみにしてくださると幸いです。

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