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クラス転生譚 〜最弱無職の成り上がり〜  作者: 美夜尾maru
第10章 〜望まぬ再会〜
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第109話 望まぬ再会③

活動報告でも報告させて頂きましたが、本日より更新再開です!

 



 入学式が終了すると、学園の職員に先導され、各々が割り当てられたクラスの教室に向かった。



『Sクラス』はアリーナ前方の扉から退場したため、俺達3人は依然最後尾につき、誘導されるがままについていく。



 ただ、教室へ向かうのが少しだけ憂鬱ではあった。



 どうやら、どこの世界でも入学式というやつは似たようなものらしく、この後の流れは容易に想像がつく。



 先程までは、常に最後尾についていたため、あいつらはまだ俺の存在に気づいていない。



 しかし、このあとの教室で待っているのは、もはや言うまでもなく当然のように行われる自己紹介だ。



 俺は今『ユウ・クラウス』と名乗っているが、どうしてか、しっかりとステータスプレートにも反映されている。



 名前が変わっているから、もしすればバレずに済むかとも思ったが、恐らくそれは楽観だろう。



 最後にやつらと顔を合わせたのが、いくら3年以上前だと言っても、当時既に12歳だ。



 身長や顔つきに多少の変化はあれど、別人だとシラを着るには、なかなかに無理がある。

 まあ、俺のことなど覚えてもいない可能性もかなりあるが。



 ロークなんて最初の自己紹介の時には俺のことなんて居ないものとして扱ってたし。



 なんにせよ、あいつらとの接触はなるべく避けるのがベストだろう。



 色々と考え込んでいるうちに、この先が思いやられて、思わず溜息をついてしまった。



「やっぱり、不安ですか?」


「まあ、少しな。 多分、何事もなくってわけにはいかないだろうし」


「そうですよね……。 でも、大丈夫ですよ! ね、フィア?」



 ラフィーは俺を元気づけるように快活な調子でそう言うと、俺を見上げていた視線をエルフィアの方へずらす。



 すると、エルフィアは「そうよ!」と、ラフィーに同調して、



「例え、あの人達が今でもユウのことを目の敵にしていても、私たちが絶対にユウを傷つけさせたりしない。 私たちは絶対に味方だから」


「そうですよ。 それに、みんなきっとすぐに気が付きます。 マスターが、とっても凄い人なんだって」



 2人は、真っ直ぐと俺の目を見つめて、勇気づけるようにそう言ってくれた。



 そうさ。

 今の俺には、ミルザの意志、そして仲間がいる。

 それで一体、何を臆する必要があるのか。


 2人の厚意で、改めて実感した。



「……ああ、そうだよな。 ありがとう、2人とも。 安心した」



 そう感謝すると、2人も安心したように優しげに微笑んだ。



 そうしたやりとりをしてるうちに、ついに『Sクラス教室(ホーム)』に到着した。




 1年生の教室(ホーム)は全てが高等科棟の1階フロアに位置している。

 2年になると2階、3年で3階というふうに階が上がっていく仕組みだ。


 追加で4年、5年と進む者には特別教室が用意されている。



 教室へと入ると、そこは1クラス50人を収容するにしては、やや広い印象を受けた。



 3人が座れる長机が横3列、階段状に縦6列で配置されていて、どの席からでも前方にある教卓及び黒板が見やすいようになっている。



 言うなれば、入学式を行ったアリーナの縮小版のようだ。



 席順等は特に決まっていないらしく、各々が自由に着席していく。



「はぁ、やっぱり居たか……」



 俺は目立たぬよう、後方から少しざわつく教室内を見回し、予想していた複数の人影を見つけてため息混じりにそう零した。



 エルフィアとラフィーも俺の態度を直ぐに理解して、俺が見据えていた人物に視線を向ける。



 正直なところ、元クラスメイトの顔や名前はほとんど覚えていない。



 だが、あの連中だけは憎しみ故に記憶に強く残っている。

 河村 晴人(アーサ・ライルボード)

 佐藤 和也(メルク・キルバレット)



 この2人は相変わらず一緒に行動しているようだ。

 彼らの取り巻きには、覚えのある顔ぶれが数人と、複数人の女生徒達が群がっていた。


 勇者の隣の席の取り合いでもしているのだろうか。

 まあどうでもいいが。



 そして当然、この教室にはあいつもいた。

 瀬戸 裕也(ローク・ラシュダット)



 だだ、彼に関しては少しだけ驚いたことがあった。

 クラスの中心、先頭に立っていた頃の彼とは、少し異なる印象を受けたことだ。



 いつだって人の輪の中にいた彼が、どうにも孤立しているように見える。



 ただ、ひとりぼっちという訳ではなく、どこか見覚えのある数人が彼の周りにはいるのだが、その集団自体がなんだかひっそりとしているような感じだった。


 簡単に言えば、あまり輝いていなかった。

 俺が羨んでいた頃のやつとは程遠い。


 正直、違和感が半端じゃない。


 もしかしたら、俺がいない間に、あのクラス内で何かあったのかもしれないが、今の俺には何ら関係ない事だろう。



 首を突っ込んでやる筋合いは、あちらにもこちらにもない訳なのだから。



 そう思いながら、俺達も最後尾の座席に腰を下ろそうとした時、前方の扉が、がらがらと開く音が聞こえた。



 そして次の瞬間、聞き覚えのある声が耳に入ってくる。



「全員揃っているね」



 その声を聞くと、少しざわついていた学生達はその場の席へと速やかに腰を下ろした。

 入ってきたのが、講師であることに気づいたからだろう。


 この学園は基本的に自由な校風だが、その分、礼儀は慮られる。



 声の主と思われる人物を見て、俺は思わず目を見開いた。



 桑茶色のやや長い髪に、整った顔立ち、キリッとしたツリ目が印象的な彼は、ゆっくりと教卓につくと、教室内をさっと見渡す。



 そして、俺と目が合うと、彼はニコリと微笑し、再び1周、室内を見渡して、1つ咳払いをすると、



「初めまして。 僕がこの『Sクラス』の担任兼、1学年の主任を務めることになった、副講師長のアルド・オルフィスだ。 みんな、よろしく!」



 俺の『特別推薦枠試験』の対戦講師であり、これから担任講師となる彼、アルドは、にこやかにそう自己紹介した。





更新日は毎週水曜日、金曜日、日曜日の20時を予定しております。

諸事情により、お休みや変更させて頂くこともあるかもしれませんので、その時は都度活動報告にてお伝えさせていただきます。

これからも本作を何卒、よろしくお願いします!

次回更新は明後日、金曜日です。

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[気になる点] これからの展開が楽しみです。 [一言] 応援してます
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