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第8話 打ち砕かれた淡い期待

勢いに任せてまた最新話を更新してしまいました。

 



 メルクは震える神父の手から魔版を受け取る。



「あぁ、なんということだ。 まさかこんなことが……」



 神父は今にも昇天しそうな面持ちである。



 一方、メルクの方も受け取った自分のステータスプレートを見て。



「なんだ、これ……?」



 目を大きく見開き、そこに浮かびあががるそれを見つめてただ呆然と呟いた。



 《メルク・キルバレット

 ・人種 Lv1

 天職 【勇者(赤)】

 スキル

 ・身体能力向上Lv1


 ・武器使用効率化Lv1


 ・物理耐性Lv1


 ・魔法耐性Lv1


 ・魔力向上Lv1


 ・気配感知Lv1


 ・俊敏補正Lv1


 生命力─4925/4925


 体力─1975/1975


 攻撃力─1080/1080


 防御力─612/612


 MP─790/790


 SP─2590/2590


 身体能力─1134/1134


【固有スキル】

 ・炎精(サラマンダー)気配(オーラ)




「俺が、勇者……」



 メルクはまだ実感がわかないように立ち尽くしている。



 神父は完全に腰を抜かし、尻が純白の床に張り付いたままだ。



「良かったじゃないか! 僕と同じ勇者だ。 これからよろしく」



 呆気に取られているメルクの背をニコリと微笑むロークがパンっと叩いた。



 その一撃で、彼は正気を取り戻したように息を吸ってロークに抱きついた。




「ああ、俺、ほんとに勇者なんだ。 夢みたいだ」



 彼の目はうるうると湿っていた。



 そしてステータスプレートの授与は続々と行われた。



 その度に神父はひっくりかえる。



「はは、もう抜かす腰もないわい」



 神父はもう、寝そべったまま作業をしていた。


 その光景には思わずプッと吹き出してしまう。



 メルク以来、勇者があと2人、賢者が5人、魔術師8人、騎士11人、戦士1人。



 どれもこれもが優秀職と言われる、人種にとって、とても希少な職業だ。



 現段階で人種の戦力の5分の1程度を占めるだろう。


 成長すれば3分の1、半分かそれ以上。


 まさに奇跡と言える。


 神父が圧倒されるのも無理はないか。



「この流れで行けば、俺も……」


 俺は騒がしい神殿の隅で小さく呟いた。


 内心には淡い期待があった。



 これで賢者や勇者なら俺もみんなに()()()()()()()かもしれない、と。



 俺はそんな期待を胸に結晶の元へと向かった。



 ざわめく雑踏の中をくぐり抜けて。



 俺が漸くたどり着くと「はやくしてくれぇ」と、神父が力なくせがむ。


 言われた通りに結晶体に手をかざした。



 再び見慣れた燐光が淡く煌めいた。



(頼む、勇者来てくれ)



 輝きが薄くなっていき、俺はまず神父の表情を見ることにした。



 そこにはロークたちの時とは若干違う驚きの表情があった。



「────なんだ、()()は?」



 それを見て最初俺は「きたか!?」とわくわくした声音で呟いた。



 しかし、受け取ったステータスプレートには本当に予想だにしていなかったものが浮かび上がった。




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