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レベルアップ!




「・・・・・・」





私は今日も座禅を組んで座っている。


目の前にはお馴染みの消しゴムと定規だ。


そろそろ前回の能力を使用して4時間が経つ。


私は巻物を取り出して、自分のMPを確認した。





"MP:5"





よし!行ける。


つい今しがたまで<3>だったMP表示が今は<5>になっていた。


最近は何となくだが、自分のMPの貯蔵が今どれくらいなのか体感的に分かるようになってきた。


巻物は確認の為に一応出してはいるけどね。


これも日ごろ能力を使って空の時と満タンのときをそれぞれ味わっているおかげかしら?


なにが違うのかと言われると説明するのは難しいんだけど、満タンの時は自分の中にある力が満ちている感覚がある。


一方能力を使ったときはそれが外へ向かって放出されるという感覚があり、時間が経って徐々にそれが補充されていくイメージだ。


能力を使った後のMPの経過だが、最初の1時間で”1”、次の1時間で”2”、次の1時間で"3"、そして最後の1時間で”5”になる。


まあ、単純に考えれば4時間で満タンになるわけだから、1時間で最大MPの1/4回復しているって想像がつくわね。


つまり、1時間当たりの回復量は"1.25"というわけだ。


小数点以下は表示されていないが、切り捨てられているというわけではないらしい。


私は手のひらを目の前に消しゴムに向けて突き出した。





「ミニマム!!!」





チュン・・・





消しゴムは僅かな質量感と共にその体積を減らした。


私は定規の方を確認する。





”4.54cm”





・・・





今更何か感慨が沸くわけでもない。


もう、見慣れた光景だ。


”グロース”は1.1倍大きくなり、”ミニマム”は1/1.1だけ小さくなる。


この家に来て、そろそろ3週間がたつ。


この横の長さが5cmの消しゴムを使うのも何度目になるか分からない。


そして、能力を使い終わった後、巻物を取り出して確認する。


これもいつもの光景だ。もはや、習慣と化している。


どうせ変わってないだろうけど・・・





そう思いながら私は巻物を開いた。







◇転生者基本情報




名前:遠坂 玲奈

年齢:18歳(寿命:未設定)

身長:17.5cm

体重:52.6g

BWH:8.7 5.7 9.0



Lv:2

HP:5.5

MP:0

STR:3.6

DEF:1.9

INT:1.4

VIT:2.4

CRI:0.6

DEX:2.0

AGI:5.4

LUK:1.1



プライマリースキル:グロース、ミニマム


タレントスキル:大器晩成、酒乱、逃げ脚、テンプテーション


バッドステータス:1/10縮小化(永続)


所持アイテム:転生者の巻物


所持クレジット:0



現在位置:クレスの町 ブロンズ通り302番地 フランベルジュ家



---------------------------------------------------------------






えっ・・・・?





私はいつものようにさらっと目を通してから巻物をしまうつもりだったが、なんかこれまでと変わっていた気がした。


もう一度確認してみる・・・・







Lvが上がっている・・・・!!?


う・・・嘘、ついにやったのかしら私?


念のためもう一度見てみましょう・・・





私はもう一度目を凝らして、ステータス欄を確認した。


Lvの所を確認すると"2"という文字が確かにそこには入っていた。





・・・間違いない・・・LVがついに上がったんだ・・・・!


やった・・・・・・・・・やったわよ、わたし!!!





苦節3週間、私はついにやったのだ。


LVの上昇によってステータスも微々たるものだったが、上がっているようだ。


だが、そんな僅かな上昇でも今の私にとってはもの凄く嬉しいことだった。


BGM付きでなんか踊りたい気分よね♪


私は思わずその場で喜びの舞を踊ってしまった。





テテテ~テーテーレッテレー♪(謎のファンファーレ





レイナはレベルが2に上がった!!!





HPが0.5ポイント上昇した!


MPが・・・


えむぴーが・・・・・


・・・


あれ? MP"0”のままじゃん。これじゃどれだけ上がったかわからないじゃない・・・


そっか、レベルアップでMPは回復しないのね・・・


ちょっと待つしかないのか・・・仕方ない。喜びの舞はちょっとお預けね。


私はそのまま4時間待つことにした。







そして、4時間後・・・




◇転生者基本情報



名前:遠坂 玲奈

年齢:18歳(寿命:未設定)

身長:17.5cm

体重:52.6g

BWH:8.7 5.7 9.0



Lv:2

HP:5.5

MP:8

STR:3.6

DEF:1.9

INT:1.4

VIT:2.4

CRI:0.6

DEX:2.0

AGI:5.4

LUK:1.1




プライマリースキル:グロース、ミニマム


タレントスキル:大器晩成、酒乱、逃げ脚、テンプテーション


バッドステータス:1/10縮小化(永続)


所持アイテム:転生者の巻物


所持クレジット:0



現在位置:クレスの町 ブロンズ通り302番地 フランベルジュ家



---------------------------------------------------------------






よしっ!


どうやら最大までMPが回復した様ね。


1時間毎に"2"ずつ回復していたからこれが最大で間違いないでしょ。


では、改めて・・・・私の喜びの舞を披露してあげましょう。





テテテ~テーテーレッテレー♪(何かのファンファーレ





レイナはレベルが<2>に上がった!!!


HP (ヒットポイント)が0.5ポイント上昇した!


MP (マジックポイント)が3ポイント上昇した!


STR (攻撃力)が0.5ポイント上昇した!


DEF (防御力)が0.3ポイント上昇した!


INT (魔法効果)が0.2ポイント上昇した!


VIT (体力)が0.4ポイント上昇した!


CRI (クリティカル)が0.1ポイント上昇した!


DEX (器用さ)が0.3ポイント上昇した!


AGI (素早さ)が0.6ポイント上昇した!


LUK(運の良さ)が0.1ポイント上昇した!


W (ウエスト)が0.1ポイント上昇した!






・・・・・っておい!!


最後の奴はいらんわっ!!!


なにが、0.1ポイント上昇した!・・・よ


あんたは上がらなくていいのよ!!





衝撃のステータスの変動で私は思わず頭を抱え込んだ





・・・・マズイ


よく考えたら、この3週間筋トレはしていたものの、走り込みをしていなかったわね・・・


実質、この家で食っちゃ寝状態だった気がする。


これじゃウエスト周りが”増量”してしまったとしても無理からぬことなのかもしれない・・・・


でも、だからと言ってどうしよう・・・


外に出て行けるのだったら走りに行ったんだけど、この体じゃ危険すぎるわ。





そう思って私は辺りを見回してみた。





うーん・・・家の中を走り回る?


でも、あんまりスペースないのよね、ここ・・・


エノクの寝室は相変わらず物が散らかっている。


ここで走るのは物に躓きそうでちょっと危なかった。


仕方ない。


ダイニングルームの床の上をぐるぐる回っているしかないか・・・





そう考えた私は作業台から降りて、ダイニングルームへと向かった。







「ただいま~・・・・・うん・・??」





床の上を走っていた私はエノクとばったり目が合ってしまった。





「どうしたのレイナ・・・そんな所走ったりして・・・」



「いや・・・・・なんとなく」





走るのに夢中でエノクの足音に気付かなかった・・・







「ははは・・・なんだ急にどうしたのかと心配しちゃったよ」





エノクが私の事情を知って、和やかにほほ笑んだ。


変なことになってなくてとりあえず安心した様だ。


ちなみに”太ったから”なんて事は私は断じて一言も言っていない。


あくまで、日課の訓練の一環とだけエノクには説明しておいた。


言えるわけないわよ・・・そんなこと。


エノクにはまた隠し事が一つ増えてしまった。


これから毎日彼が留守の時には走り込み決定ね・・・


私はそう決意を新たにした。


同時に私は話題を変えるべく彼に”例のこと”を聞いた。





「そういえばそろそろじゃない?」





私は今自分の仮設住宅に戻っている。


目の前には彼が作ってくれた料理が並べられていた。


料理は小人用に作られた食器の上に盛られていて、いつも彼が食べる分を綺麗に取り分けて乗せてもらっている。


体が小さい唯一のメリットは食事も少なくて済むということだ。


食費に関しては彼にほとんど負担を掛けずに済むのは幸いだった。


ちなみに彼は器用なだけあって料理も上手だ。


下手な主婦よりよっぼど彼の方が上手いと思う。


まったく、私より女子力高いってどういうことよ・・・


ちなみに私の母上はなにもそういうところは教えてくれなかった。良い意味で、放任主義なのよねあの人・・・





「うん。明日だね」





エノクが私の言葉にそう答える。


そう、アモンギルドへ情報提供の依頼をしたのが今から6日前。


つまり明日がギルドの依頼が公布される日という事だ。





「依頼が公布されたら、そのまま待っていればいいの?」



「うん。公布されてもすぐに冒険者が受託するとは限らないからね」



「もし、依頼を受けた冒険者が現れたのなら、ギルドから連絡が入るはずだよ」





そっか、じゃあ明日なにか進展があるとは限らないのね。


でも、どうやって連絡が入るのかしら?


エノクは契約書に自分の名前をサインしただけで、他の個人情報は相手に与えてないと思うんだけど。


ちょっと気にはなったが、大したことではなかったので私はそのまま流すことにした。





「まあ、ギルドへの依頼は様子見だね。僕の方は僕の方で中和の方も引き続き当たってみるつもりだよ」



「うん。ありがとう」





話が一段落したところで、私は料理を味わうことに専念した。





はぁ・・・相変わらず、美味しいわね。


エノクは将来良い旦那さんになるわ、これは。


仕事も出来て、家事も出来て、工作も出来るって3拍子揃っているんですけど・・・ちょっとずるいわよ。


それに対して私は家事らしいことは洗濯くらいしかできない。


お裁縫は家庭科の授業でミシンを使ったことくらい。


料理はカレーやシチューくらいなら作れるけど、凝った料理は作ったことがない。


昔の女の人は嫁ぐ前に花嫁修業という事で、家事全般を叩きこまれたらしいけど、


私にはもちろんそんなことはない。


私が唯一彼に誇れるものって言ったら、陸上くらいかしらね。


足の速さだけは自信がある。


もっとも、日常生活ではまるで役に立たない能力だろうけど・・・


現代日本は女性の社会進出が著しくなり、昔と比べて家事スキルはそこまで重要視されなくなった。


しかし、それでも料理が出来る子は依然としてよくモテる。


私が通っていた高校でも彼氏にお手製のお弁当作ってきた子いたっけ。


”男子を射んと欲すれば先ず腹を射よ”


私のクラスの女子が古典の授業を受けていた時に冗談で言っていた台詞だ。


でも、あながち間違いではないところがこの台詞の怖いところでもある。


私も少しなにか料理の修業した方が良いかしら・・・


もっともこの体じゃ修業もへったくれもないだろうが。





・・・





・・・そういえばこの世界では”能力”は覚えることが出来るものだったわね。


巻物の能力一覧を見た時もそれに類する能力がいくつかあった気がする。


つまり、セカンダリースキルで”家事スキル”みたいなものを覚えたら、私も料理が出来るようになるという事かしら?


でも、なんかそれはずるい気がする・・・


料理するだけでMPを使うというのもあるし、なんかいかさまをして作っている気分。


せっかく料理を作るのなら、自分が苦労して習得したものを披露したいと思うのが”乙女心”というものだ。


料理を覚えるにしても、それは元の体に戻って、自分の体で覚える様にしよう。





・・・なによ、私が”乙女”という言葉使うのになんか文句あるの?


殴るわよ・・・





おほんっ・・・失礼。


ちなみに、セカンダリースキルの習得はまだちょっと早い。


能力の最低MPコストはいずれも<10>以上が基本だからだ。


私はLvが2になったとは言え、MPが<8>までしかないから今は選択肢がないに等しい。


能力の中には<7>とか<8>で覚えられるのもあるにはある。


しかし、それらの能力があまり役に立つとは思えなかった。


だって、”字が上手く書ける”とか”相手を笑わせる”とか、そんなんバッカだったんだもの・・・


人によっては有用な能力であるかもしれないけど、今の私にとっては必要ないわね。


それにセカンダリースキルを覚えるためにはその能力を一回見ないといけないが、エノクは当然そんな能力を覚えていなかった。


もう一回レベルが上がれば私のMPもおそらく<10>を超えるし、それだとエノクが覚えている能力もあるらしいから、そこで初めて選択肢が出てくると言っていいだろう。


ちなみにセカンダリースキルは覚える数に限度はないらしい。


しかし、その能力を十二分にイメージする必要があるので、よほどの天才でない限りはそんな何十個も覚えられるものではないとの事。


二兎を追う者は一兎をも得ずじゃないけど、覚えたいものに狙いをつけて着実に一個一個覚えたほうが良いとエノクは言っていた。





実はエノクとも話していて、覚えたいスキルについてはもう狙いは定めてある。


後はどれくらいでそれが習得できるかが問題よね・・・


十分なイメージをつける為にはまずそれを欲することから始め、


毎日の様に自分自身がそれを使っている姿を想像することでイメージが完全なものに近づいていく。


彼には申し訳ないけど、暇な時間は私の特訓に付き合ってもらう事にしよう。





私はそう考えた後、彼の作ってくれた料理を引き続き味わった。









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