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やばい!!妖精がいなくなった!






玲奈が脱走してからしばらく時間が経った後・・・






「・・アニキ」



「・・アニキ!!」



「・・アニキ起きてよ!」






俺を揺さぶる声がしてきた。


・・・この声は我が弟の声だ。


なんだ・・・やけに焦っているようだが・・・


たくっ!ほんとう俺がいねえとどうしようもねえ奴だな・・・





「なんだ・・・!騒々しいな!もう、店開ける時間か?」





俺はまだ眠い目をこすりながらむくりと起き上がった。


窓を見るとそろそろ夜が明けそうな時間だった。


俺達兄弟は店を経営している。


営んでいる雑貨店は俺たち唯一の生命線だ。


親父たちが残してくれた財産であり、俺たちがなんとか生きてこれたのもこの店があったおかげだ。


あまり客は来ねえが、出さねえと金も入ってこねえ。


店のオープンだけは朝早くから済ませておく。


もっとも店にいるのはもっぱら弟の役目だがな。





「・・・アニキたいへんだよぉ・・・」





弟が今にも泣きそうにこちらを見ていた。





「朝早くからなんだってんだ・・・!?」



「ようせいが・・・妖精が・・・」



「妖精がどうしたってんだ?・・あいつなら籠の中にいるだろう・・・」





俺はまた弟が心配症をおこしたと思い、うんざりした。





「妖精が消えたんだ・・・」



「はあ?バカかてめえは?消える訳ねえだろうが・・・」





ばからしい。


あのとり籠はキッチリ施錠をしておいた。内からは開けられないフックが付けてある。


妖精の娘があれを開けられるはずがない。





「いいからこっち来てよ!」





弟が俺の手を掴み俺を引き連れようとする。


いつになく強引だった。


ここまで強引な弟はなかなか見ない。


たくっ・・・





俺達は隣の部屋の妖精がいる籠まで行った。





「ほらっ!」





弟がとり籠を指でさした。


俺はそれにつられ籠をみた。





どうせ寝てるだけだろう・・・





だが、そこで見た光景はあまりにも予想外な光景だった。





完全にもぬけの殻だった・・・・





「お・・おい奴はどうしたんだよ・・・・!」



「だから言っただろ!いなくなったんだって!」



「ん・・・んなわけないだろう?鍵だってかかってんだぞ・・!?」





フックは付いたままだ。外された形跡もない。


どうやって逃げたんだ・・・・!!??


わからねえ・・・!?


だがそんなことより・・・





「さ・・・さがせええええ!!!!!!家の中をくまなくだああああaaaaaaala!!!」





俺は特大の大声を出して叫んだ!!





ここまで叫んだことは生まれてから数えるほどだ。


あまりにも動転して、息をするのがくるしい・・・!!


やばい、やばい、やばい、やばい、やばい、やばい・・・・!!!!


あいつがいないと俺の未来が全てぱあになる・・・!!!


ようやく俺は金のなる木を手にできたと思ったんだ・・・!


富や名声、権力、女。好きなものを好きなだけ使える自由を手に入れることが出来たと思ったんだ。


くそ、くっそくっそくっそおおおおおおおおおおおおお!!!


あの女…ただじゃおかねえええぞおおおおお


このままじゃ・・・このままじゃ・・・・このままじゃ・・・・






彼らの運命がこの後どうなるかは誰も知る由もなかった・・・









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