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巨人兄弟の要求




私は開口一番すかさず抗議をした。





「ちょっと痛いじゃない!?ケガしたらどうするのよ!」



「おう・・・元気そうだな?妖精さん。移動中はほとんど身動きしてなかったら、心配してたんだぜ? こっちもあんたに怪我されちゃ困るんでね」





その台詞に私は完全にブチ切れそうになったが、なんとか堪えられた。





「・・・そりゃ、どうも」





さすがにそう返すので精いっぱいだったが・・・。


もし、あいつらと同じサイズだったら私はとっくに奴らを殴り飛ばしているだろう。


私の顔は怒りの表情で満ちていた。


なんとか堪えられた理由はただ一つ。相手がこちらの身の安全を保障する台詞を言ったからに他ならない。


変な方向に話を持っていきたくなかった。


少なくとも相手は私になんらかの価値があると思っていることは確かなようだ。


・・・もしかしたら”あの能力”を使えばこの現状を打開出来るかもしれない・・・


上手くいけばこの体を大きくして、奴らをぶっ飛ばせるかもしれない・・・


しかし、”あの能力”はまだ一回も試したことがなくて未知数すぎた。


今ここで使うのは博打すぎる・・・


どうしようもなくなったら使うしかないが、今はその時ではない。





「・・おお、こわいこわい。そんな睨み付けないでくれよ。妖精ちゃん♪」





相手がおどけた感じで言ってきた。


私はそれに一切反応せず、質問を返した。





「私に用があってここまで連れてきたんでしょ?なに?」





相手はこちらが反応しないことを認めると、舌打ちをしてから本題に入ってきた。





「ふんっ・・・俺はな、おめえに聞きたいことがあるんだ。」





そう言って、ずいっと籠に顔を近づけてきた・・・


ちょっと・・・臭い息吹きかけないでくれる?


最初会った時から感じていたが、目の前にいる男は不潔としか思えなかった。


まともにお風呂とか入っているのかしら・・・


そんなこちらの思惑などお構いなく、男はそのまま話を続けてきた。





「・・・おめえ、金を得る能力は持っているか?」



「・・・は?」





私は思わずぽかーんと口を開けてしまった。


いきなりなにを言っているのよ?こいつは?


寄りによってお金?


そんなものの為に私を誘拐してきたというの?


なんかもっと違う事を聞いてくるものとばかり思っていた。


人間にとってはおそらく珍しい存在である妖精にせっかく会えたのだ。


それの知識や、秘密を知りたいからこそ誘拐してくるのだったら、まだ百歩譲って意味は分かる。


だいたい、お金儲けの能力なんて、それこそ商人にでも聞いた方がよっぽどいい回答を得られるだろう。


この世界の妖精が地球の世界の妖精像と同じなら、妖精なんてお金儲けにもっとも程遠い存在だ。


どっか頭のネジ外れてるんじゃないの・・・?


私は少しの間、そんな感じで呆れていたのだが・・・


奴にはそのちょっとの間でも我慢できなかったらしい。





「質問に答えろ!!!」





突然奴は、大声で叫ぶと同時に「どんっ!!」とテーブルを強く叩いてきた!!





「ひっ・・・!」





そのあまりの迫力に私は完全にすくみあがってしまった・・・


ただでさえ体格差があるのに、目の前であんなことをされたのだ。


私はなんとか返答しようとしたが、今のショックで体がぶるぶる震えてしまっている。


まともに会話が出来ない。涙も自然と溢れ出てきていた。


くっ・・・脅されて泣くなんて・・・なんて情けないのよ・・・私


しかし、力を入れようにも体は言うことを聞かなかった・・・


そんな、私の状態を見て奴は舌打ちをした。





「チッ・・・脅かせすぎたか・・・」





兄の巨人が、毒づいているところを見て弟の方が話しかけてきた。





「アニキ、妖精は確か運を上げる能力を持っているって聞いたことがある」





運を・・・上げる・・・?


兄が弟の方に向いて言った。





「本当か?だが、運の能力向上なんて、ありふれているしな・・・」



「妖精だったら、とてつもなく運が上がる能力とか持っているかもよ? 異種族は俺たち人間が知らない未知の能力を持っているっていうし」



「・・・なるほどな・・」





兄の巨人が弟の言葉に頷いた。


そして、兄がこちらに向き直ろうとした瞬間・・・




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