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最強剣士の剣道教室 ~刀に込めるは魂の誓い~  作者: サウスのサウス
弱小剣道部指導編
6/6

5 綾と紗耶の実力

まずはこの二人。


「よし、じゃあ始めようか」


久しぶりに着けた防具に懐かしさを感じる謙語。

適度な重量と視界の悪さ。

こんなハンデを背負って戦う剣道とはなかなかに過酷な競技だが、そんなことは口にはせずに謙語は言った。


「最初は松原さんだっけ?」

「綾でいいよー、うんお願いしまーす」


そう言ってから構える綾。

本来なら掛かり稽古(ローテーションで同じ人に打ち込む稽古)などで流すべきだが、きちんと実力を知りたいので形式に乗っ取り試合をはじめる。


「はじめ!」

「やぁ!」


凜の掛け声により打ち込んでくる綾。

思ったよりも素早い動きに一瞬反応が遅れたので謙語はその一撃を面の位置を反らしてかわす。


剣道というのは大きく別けて3つの部分で構成されている。

面と呼ばれる頭の部分。

胴と呼ばれる胴体の部分。

籠手と呼ばれる手首の部分。

なお、高校からはそこに突と呼ばれる首もとの部位が追加されるが、ここ最近はその危険さから禁止やマナー違反にされるところも少なくい。


剣道とは薄い上に動きにくい防具をつけて戦う性質上、どうしても痛みというのがついて回る。

的確に部位に当たってもかなりダメージがあるので忍耐力なども必要になってくる。

だからこそ、必然的に痣も出来るのだが、謙語は幼い頃より鍛えてきた精神で耐える。


素人の一振りは無駄に力が入っておりかなり痛いが、そんなことは気にせずに謙語は構えて言った。


「綾、いい踏み込みだけど今のじゃ一本にはならないよ」


その言葉に綾は構えなおして再度打ち込んでくる。

それを捌いて時には返し技のための攻めをしながら謙語はじっくりと観察する。


綾は言動の軽さからは信じられないくらいに反応がいい。

反射神経が優れているので、素人ながらもそれなりに試合になっている。

まあ、とはいえまだまだ打ち込みの時のリズムや残心などが未熟なので一本にはならない。


そうして捌いてからいつの間にか時間になっていたので、凜が止めを宣言してから竹刀を収めて謙語は綾に言った。


「度胸は買うし、運動神経もいいからこれからに期待かな」

「にっしっしー、当然。むしろ、先輩がここまで出来るとは思わなかったよー」

「当たり前です。お兄様ですから」

「さて、次は・・・」

「わ、私です」


そう手を上げたのは紗耶だった。

防具を重そうにしながら危なく竹刀を構える姿に謙語は少なからず違和感を感じていたが、そんなことを気にする間もなく試合は始まる。


「や、やぁ!」


なんとか竹刀を振るが、力がないのかえらく非力な一撃がくる。しばらく打たせてから彼女には圧倒的に身体能力が足りないことに気づいたので謙語は紗耶に言った。


「花風さん。これから俺が弱めに打ち込むから返し技やってみて」

「は、はい!」


試しにゆっくりと面に打ち込む。

それをなんとか防いでから彼女は切り替えしで胴を狙ってくるが、狙いがそれて脇の部分に当たる。


「あ・・・す、すみません」

「気にしないでいいよ。試合ではよくあることだから」


それからしばらく彼女に打ち込ませてわかったが、やはり彼女は初心者だというのがよくわかった。

無論それだけではコーチの意味がないので、分析すると、彼女は力はないが空間把握能力は悪くない。

だからこそ返し技を覚えればかなり強くなりそうだが・・・芽が出るのは一ヶ月以上先の話だろう。


「花風さんはこれから先、返し技さえ覚えれば劇的に強くなると思うよ」

「返し技ですか?」

「そう、相手の剣の力をいなして敵に打ち込む技。器用な花風さんならきっと大丈夫だよ」

「そうですか・・・えへへ」


嬉しそうに微笑む彼女に少しだけ照れくさくなるが、そんな謙語をじーっと見てから凜は言った。


「お兄様。先ほどから甘くありませんか?」

「そうかな?悪いけど俺はスパルタに向いてないよ」

「それはわかってますが・・・その、限度があります」


そう妹に注意されてしまうが、謙語としては特別甘くはしてないので気にせずに次へいくのだった。







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