2 聖ヶ丘高校剣道部
要望あったので、頑張って書いてみます。不定期でも温かく見守ってもらえると助かりますm(__)m
翌日の放課後、道場の前の階段に座りながら謙語は空を見上げていた。
聖ヶ丘高校女子剣道部があるのは一般的な体育館の隣の二階スペースにあたる場所だ。
階段を昇るのは少々面倒だが他の運動部と合同でないだけマシだろう。
剣道とは武士で言うところの鎧を着けて行うスポーツ。
それだけに他の運動部とは分けることが大切なのだ。
さて、では何故謙語はそんなところに座って空を見てるのか・・・端的に言えば道場の鍵が空いてないからだ。
「凜よ・・・頼むから時間くらいは守ってくれ」
何の因果か、鍵を管理しているのは妹の凜と同じ一年生らしいが、一年生は全体的に学年ミーティングをやってるせいで遅くなってるそうなのだ。
そうなると、謙語には出来ることはないのでそうして道場の前で待っていると、やがて終わったのか凜が凄い勢いでこちらに突撃してきた。
「お兄様、お待たせしてすみません」
「いや、構わないが他のメンバーは?」
「すぐに来ると思います。着替えてきますのでお兄様はここでお待ちください」
「ああ、わかった」
そう言ってから離れていく凜。
この聖ヶ丘高校には剣道部は女子しかないが、それでもきちんと剣道部専用の更衣室が与えられているのはかなり厚待遇だろう。
過去の戦績しだいでここまで待遇が良くなるのだから部活動というのは恐ろしいものだ。
そんなことを考えていると、何やら慌てて走ってくる複数の気配が。
その気配に思わず立ち上がると階段の死角で見えてなかったのか、誰かとぶつかった。
謙語はすぐ体勢を立て直すと、崩れかけている相手を抱き寄せてから立て直して謝罪をした。
「すまない、怪我はないか?」
「は、はい・・・」
そうして、謝ってから謙語は少しだけ驚いてしまった。
彼の眼前には初めて見る白銀の髪と、透き通るほどの白い肌、そしてそれらをまとめるような可愛いらしい容姿とまさに完璧なほどの美少女がいたからだ。
自分の妹ほどの美少女がいるとは思わず謙語はしばらく見惚れてしまうが、相手はそれが恥ずかしいのか頬を赤くして言った。
「あの・・・そろそろ、離してほしいのですが・・・」
「あ、ああ、すまない。その綺麗な髪に見惚れてしまってね」
「ふぇ!?」
「あっ・・・」
しなくてもいい失言をしてしまい、思わず口を覆うと彼女の後ろから元気な声が聞こえてきた。
「にっししー、紗耶ったら早速口説かれてるねー」
「も、もう!綾ちゃん!」
「まあ、紗耶は美少女だから仕方ない」
「だねー、それで紗耶を口説く上級生のあなたは誰なのかな?うちには男子剣道部はありませんが?」
少しだけ警戒したような質問に謙語は納得してから答えた。
「なるほど、凜が話してた元気な綾ちゃんというのが君か」
「ん?凜のって・・・もしかして、あなたが今日から指導してくれる凜のお兄さんなの?」
「ああ、二年生の御劔謙語だ」
そうして、彼と彼女達は出会ったのだった。
運命なのかそうじゃないのかは些細な問題。
この場合出会ったという結果が大切なのだ。