剣士は過去を思う
まさかのなろうでスポーツもの。
とはいえ、ラブコメ多めのつもりなのであっさり読めるようにする予定です。
意味を見いだせなかった。
ただ、実家が剣道教室を開いていたからなんとなく始めた。
楽しくもなく、かといって他にやることもないから練習ばかりしていた。
家族は俺には才能があると言ってくれた。
ただ、一人お祖父様を除いて。
お祖父様は厳格な人だった。
俺がいくら練習しても認めてくれなかった。
いつも言う言葉は同じ。
『竹刀とは侍のいうことろの刀。お前の剣には魂がない。そんな意味のない剣など価値はない。』
魂などわからなかった。
俺が空っぽなのは確かにその通りだったが、意味が分からなかった。
唯一お祖父様に褒められたことがある姉に聞いてみると
『そうね・・・謙吾にはまだ難しいかもしれないね。だったら謙吾はこれから常に考えなさい。何のためなら竹刀を振れるのかを。お姉ちゃんは謙吾のこと見守ってるからね。』
大好きな姉にそう言われたので考えてみた。
それでも分からなかった。
結局、何年も意味のない稽古を続けて、時々大会にも出て、俺はいつの間にか同年代で最強の剣士になっていた。
意味をみつけるために何人もの人と試合をした。
それでも、勝っても何も分からなかった。
いつも圧勝してしまう。
時には接戦もできたけど、それでも俺は何も見えなかった。
だから俺は・・・
表舞台から姿を消した。