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真莉亜の悟り。

次に目が覚めた時は、また見知らぬ天井だった。


シンジ君、今ならあなたの気持ちが本当によくわかる。不安でしょうがないわ、うん。


ふと傍らを見るとお母さまが座っていた。

ややこしいけど、母ちゃんではなく、お母さまだ。


「真莉亜ちゃんっっ!!」

青ざめた顔をしたお母さまが、わたしの名前を呼んでヒシと抱いてくれた。


「お母さま、ここは?」

美しい顔を涙で濡らしたお母さまがわたしの頭をゆっくりと撫でてくれる。


「安心していいわ、ここは梯先生のところよ」

「かけはしせんせい……?」

「真莉亜ちゃん、学校でお友達とぶつかって倒れてしまったから、念のため病院に入院させていただいたのよ?」

「そうなの…お母さま、ご心配おかけしてごめんなさい」

お母さまを物凄く心配させてしまっていることは本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

ぶつかったことはなんとなく覚えているけど、まさか二度も気を失うとは、自分でもびっくりだ。


「いいのよ、真莉亜ちゃんは何も気にしないで」

お母さまは、まだ涙ぐんではいたものの微笑んでくれた。


その後、目が覚めた、とお母さまがナースコールでお知らせすると、梯先生が看護師さんとともに現れた。


「真莉亜ちゃん、どこか痛いところはない? 頭が痛いとか、気持ち悪いとかはないかな?」

爽やかな笑顔を振りまきながら、わたしの顔を覗き込みながら診察してくれる。


ん~眼福と思いながら頭を振った。


高学歴、高身長で顔面偏差値もかなり高い。これで男性看護師と一緒に診察にいらしていたら、完璧だったのにーーー。病院ものってなかなかないしねぇ。

リーマン、学園もの、後は刑事とヤのつくお仕事のカプはよくあるんだけどさ。


って、つい癖で妄想してしまう貴腐人脳。


CT画像見た先生から、お母さん、大変です!脳が腐ってます!って言われたら、お母さま卒倒しちゃうだろーなー…。


「…なさそうですが、大道寺さま、念のため2、3日様子見で入院していただいたほうがいいと思います 子供さんの場合、後から症状が出て取り返しのつかないことになることもありますから」


お母さまは手で口を覆って悲壮な顔。


「あくまで念のためですから 恐らく2、3日で退院出来ると思いますよ?」

梯先生の優しい笑顔に、ほっと胸を撫で下ろしたお母さまは、わたしに慈愛に満ちた微笑みを向けてくれる。


「真莉亜ちゃん、よかったわね」

「はい、お母さま」

わたしもにっこりと笑顔を向けると、お母さまはやっと安心したみたいだ。


梯先生をドアの所まで見送ると、お母さまは電話をしてくると言って病室を出て行った。



正直、まだ混乱しているので一人になれるのはありがたい。



ここは、わたしが以前プレイした乙女ゲームの世界で間違いない。

そもそも、なぜわたしがゲーム世界にいるのかがさっぱりわからないけど。とりあえずは自分の頭の中で整理してみる。


社会人になって、圧倒的に時間が足りなくなったわたしは、フルコンプ出来ずに積む癖がついた。


学生時代は、フルコンプしなきゃいけないものだと思い込んでた節があって、寝不足もなんのその、PCの前に座りっぱ、それに飽きたらベッドに寝転がって携帯ゲーム機という感じで、ゲームを2本以上平行して攻略していたものだ。

通称『乙女ゲーム』と呼ばれる恋愛AVGの他にも、アクションRPGも好きだった。


そして大道寺 真莉亜と言えばーーー。

わたしが好きだった恋愛AVGの中でも、攻略対象に大ハマりしたゲーム。

そのゲームに出てくる、サブキャラである。


攻略対象は4人だったと思う。その一人が大好きだったんだよね~!

わたしの好みは『クーデレ』なのだ。クールなのにデレた時のギャップがたまらんのですよ!

クーデレとは『ツンデレ』属性の中の一つなので、ツンデレにも弱い。


ただ、バドエンルートに入ると最悪だったのだ。4人が4人ともヤンデレになっていく。

ちなみに、わたしはヤンデレに萌えることはない、声高に主張する、断じて、ないっっ!!


なので、フルコンプした後のわたしは屍のようだった……あまりにもハードなバドエン、よく投げなかったと自分を褒めた覚えがある。



あまりにもハードなバドエン……?




ドシュっと頭に包丁が刺さった気がした。


何の罰ゲームなの、コレ?


大道寺 真莉亜はサブキャラ。

主人公であるヒロインをイジメ抜き、最後は制裁を加えられる。

それが誰のルートで、ベスト、ノーマル、バッドのどのエンディングであっても。



……すいません、また気を失ってもいいっすか?!













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