エルフの女王
ウイルフリート国のハーレイの港町に着いたアルバとフォルスは、まず港で情報を集めをした。
町の人の話では荘厳な森の中に大きい湖があり、その中央に城が沈んでいるらしい、城を浮上させるには浮上魔法が必要だが、城に入るには湖の先のエルフ村で、許可を貰う事が必要だと教えられた。
フォルスはアルバとともにエルフ村に向かう為、荘厳な森に入った。
ウイルフリート国の荘厳の森はアルカディアの森とは違い、言霊精霊の棲む森だった。
木々は囁きかけるように声をかけ、動物は冒険者に挨拶をした。
彼らの話によるとエルフ村は森の奥にあるらしく、彼らはフォルスとアルバをエルフ村の入り口へ案内してくれた。
《凄い森ですね…。彼らの案内が無ければ迷ってしまいそうです》
《あぁ…。しかも、モンスターも中級レベルの強さだ、一年前なら太刀打ち出来なかっただろうな。この国に人間族が入って来れないのは分かるな‥》
《えぇ…、動物達も私達に対してかなり友好的です。人間族を見た事が無いのでしょう。アルバ…気をつけて下さい、なるべく彼らを傷つけず城に辿り着けたら良いのですが…》
《あぁ、エルフが俺達の話を聞いてくれると良いんだが…。彼らは異種族を嫌うからな…》
エルフ村入り口に辿り着いたフォルスは、動物達にお礼を伝え村に足を踏み入れた。
その瞬間目の前に木の葉が舞い上がり、フォルス達の歩みを止めた。
《立ち去りなさい、人間族…ここは貴方達が足を踏み入れて良い場所ではありません》
目の前に年若いエルフの少女が現れた。
《すいません。エルフのお嬢さん、私達はヴィアパレス城に入りたいのです。許可を頂けませんか?》
《ヴィアパレス城…!!、あそこは貴方達が入る事など出来ません。立ち去りなさい》
そう言うとエルフは魔法を唱え、姿を消した。
《おい!!待て!》
アルバが声を掛けると同時に、エルフの少女と村は目の前から消え失せた。
《どうやら、話は聞いて貰えそうに無いですね…。仕方が無い、まずは湖に行って見ましょう》
フォルス達は森の奥の湖に向かった。
暫くするとアスライル先生から教えられた景色が、目の前に広がった。
《ここにヴィアパレス城が…、アルバさがって下さい。浮上魔法を詠唱して見ます》
浮上魔法を詠唱し始めると、湖の水面が波打ち暫くするとヴィアパレス城が目の前に現れた。
《はぁ…はぁ…、出来ました。》
《大丈夫かフォルス!!》
アルバがフォルスに駆け寄り彼の身体を支えた。
《えぇ…、かなり気力を消耗したようです。すいませんアルバ。とにかく城に入って見ましょう》
アルバに支えて貰いながら、フォルスはヴィアパレス城に足を踏み入れた。
ヴィアパレス城に入ると、すぐにドワーフの近衛兵が現れ、地下牢に連れていかれた。
《フォルス、このままじゃ俺達はここから出られないぞ。どうする?暴れるか?》
《いいえ、ここで事を荒らしては、エルフの泉から水をとる事は叶わないでしょう。彼らの魔法力には私程度ではたちうち出来ません》
《じゃあ、このままここで大人しく捕まってるしかないのか?》
《きっとエルフ達も私達人間族は珍しいと思うので、このままと言う事は無いと思います。何かしらの動きはおこすと思います。暫く様子を見ましょう》
1時間程経った後、ドワーフの近衛兵が牢の前に現れた。
《お前達、ついて来い女王様がお前達をお呼びになった。》
フォルスとアルバは顔を見合わせ、訝しがりながらもドワーフの後をついて行った。
《どう言う事でしょう?私達は勝手に城に侵入した者なのに、一国の代表者が自分の元に呼ぶなんてまず有り得ない…》
《まぁ良いじゃないか。取り敢えず会えば分かるし、相手が会ってくれるなら話もしやすいしな》
《...そうですね。とにかく女王に会って見ましょう》
ドワーフについて行くと、重厚な扉の前に案内された。
《ここが女王様のお部屋だ、失礼の無いように振る舞え》
そう言うとドワーフは重厚な扉を押し開いた。
部屋に入るとフォルスの目の前には、三人のエルフが立っていた。