活動記録4
「お任せを。お姫様に栄光あれ」
こつん。
ジュリアンは微笑む風作のおでこを弾くように指でつつきました。
そしてその黒い瞳で風作のサングラスの奥の瞳をちらっと見ました。
風作の瞳は良く見えませんでした。
「かわかわないでよ。わたしはただの賞金稼ぎなんだからね」
そう言うとそのまま歩き出してしまいました。
「あ、待ってくれよ。ジュリアン」
ジュリアンはヘッドホンのスピーカーを手で押さえると首を横に振り始めました。
その後ろ姿。
『素敵な音楽に夢中で何も聞こえないわ』
そう言っているように見えました。
「やきもちをやく女の子。かわいいもんさ」
風作はそっとつぶやきました。
ジュリアンの後を少し離れてついていきました。
長い廊下を歩きました。
広くてゆったりと曲がった階段を降りました。
広間みたいな玄関を通りました。
白や赤やオレンジ色の花々が咲いている花壇の前を通りました。
彫刻が施されている白くて大きな噴水の前を通りました。
お庭をどんどんすすんでとうとう森の中に入って行きました。
その森の中の大きな木の前でした。
1人の男の子と1人の女の子がいました。
マシューとコレットです。
マシューは10歳くらいの男の子。
ハンチング帽をかぶっています。
帽子からはみ出した髪の毛は銀色でぐしゃぐしゃです
両手を腰にあてています。
その青い瞳はジュリアンの後ろからついてくる風作をじっと見ていました。
コレットは10代半ばくらいの女の子。
白いワンピースを着ています。
白いつばの広い帽子を被っています。
黒くて長い髪の毛が風に吹かれて時々揺れます。
細いその両腕で雑誌くらいの大きさの情報端末を抱えています。
そんな彼女の眼鏡の奥の黒い瞳は木の上の方を見つめていました。
風作が近づいてくるとマシューは人さし指で指さし言いました。
「あっ。役立たずのガンマンだ」
コレットが小さな声でたしなめます。
「だめですよ。マシュー。賞金首から目を離しては。それから人を指さすもんじゃありません」




