活動記録3
「心配ご無用。バカにしないでよね。水鉄砲のガンマンさん」
少女は窓の方に向き直り、いったんしゃがんで一言。
「にゃあ」
両手、両足をまっすぐのばしたその姿。
ばんざいしているようでした。
火の輪をくぐるライオンみたいに開け放たれた窓をくぐり抜けます。
静かにふわっと太くて長い枝に見事に着地を決めました。
少女は枝から枝へ、木から木へ、ピョンピョンとジャンプを繰り返します。
風作は少女がどこへ行くのか見極めようと窓からその体を乗り出して見ていました。
茂った葉っぱの陰に隠れてあっという間に少女の姿は見えなくなってしまいました。
風作がやれやれとでも言いたそうに両手を上に向けて肩をすくめてジュリアンを見つめます。
ジュリアンはフードを頭から外しました。
ジュリアンの栗色でゆるく波打つ髪の毛が現れました。
彼女の首ぐらいまでの長さです。
そして首にかけていたヘッドホンを装着するとポケットから小さなマイクを取り出しました。
マイクに向かってジュリアンは言いました。
「マシュ。コレット。カミュ。緊急連絡。暗号だからよく聞いて」
ジュリアンは風作の目を見ながら言いました。
「水鉄砲のガンマンはお嬢様には甘すぎる。水鉄砲のガンマンはお嬢様には甘すぎる。大事なことだから2回言ったわ」
風作はおでこあたりに右手でひさしをつくって窓から外を覗き込み始めました。
なぜでしょう?
もうとっくに少女は見えなくなっているというのに。
ジュリアンはそんな風作をちらりと見て言いました。
「水鉄砲のガンマンはお嬢様には甘すぎる。これはオマケよ」
風作はサングラスをかけなおすと言いました。
「なあに。勝負はこれからさ」
「賞金の分け前が欲しかったら今度はちゃんと撃ちなさいよね」
風作はジュリアンの前でうやうやしく片膝をつきました。
西洋の騎士を気取っているようです。
ジュリアンのゆるく波打つ髪とその白い頬は太陽の光を浴びて輝いて見えました。
風作はジュリアンを見上げると微笑みました。
そして言いました。
「お任せを。お姫様に栄光あれ」




