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活動記録2

「お楽しみはそこまでだ! 子猫ちゃん! そのゲームは君にはまだ早いぜ!」


 振り返った標的の少女。目を見開いて言いいました。


「ノックくらいしなさいよっ! バカァっ!」


 そう叫ぶ少女。それでも整った顔であることはわかります。

 

 西洋のお人形のようにキレイな顔をしています。


 白い肌を真っ赤にさせてつま先立ちです。


 両手はぎゅうっと握っています。


 そのぎゅうっと握った両手を床に向けて一杯に伸ばした腕は細く頼りなげ。


 そして頭の猫のような耳。


 そこから生えている毛は髪の毛とは違います。


 激しく逆立つ毛に覆われた猫の耳。


 耳だけ見たら猫そのものです。

 

 風作は水鉄砲を腰に付けたホルスターにしまいます。


 怒っている人に水鉄砲を向るのは火に油というものです。


 水鉄砲からでてくるのは水ですけれど。


 水だってかけられるのは嫌なもの。


 しまうくらいなら取り出さなければいいのにね。


 そうですね。


 でも、作もそれなりに考えてはいるのです。


 ドアを開けたとたんに跳びかかれたら迷わず撃ったことでしょう。


 少女はいきなり跳びかかるようなことはしませんでした。


 レディかもしれません。


 でも叫んでます。


 じゃじゃ馬レディ。


 そういうことにしておきますか。


 風作は猫を捕まえるときみたいにゆっくりと静かに少女に近づいて行きました。


 少女はいつでも飛びかかれるように膝を曲げて腰を落とします。


 高く跳ぶにはいったんしゃがむもの。


 少女は何をする気でしょう?。 


 風作は腰をかがめてゆっくりゆっくり近づきます。


 ようやく少女の前に近づくと膝を付いて手を差し上げます。

 

 閉じ込められた姫を救いだしに来た騎士を思わせます。


 風作はサングラスを外して少女を見上げてやさしく言いました。


「おうちに帰りな。お嬢さん。君の星のミルクが懐かしいころだろう? さあ、プチ家出なんて止めてお帰り。僕はコイツをつかいたくないんだ」


 そうして風作は腰のホルスターを軽くトントンと叩きます。


 少女は水鉄砲を思い出したのでしょうか。


 唇をわなわなと震わせながら言いました。

 

 「なんでよ? わたしはまだアキバにだって行ってないのよ! 帰らないからね!」


 少女は水鉄砲が大層キライなようですね。

 

「そう言っていられるのも今のうちさ。子猫ちゃん。君はだんだん帰りたくなーる。おうちでミルクを飲みたくなーる」


「そう言われてみるとなんだかミルクのことばっかり考えちゃう。あなた何をしたの?」


 風作は少女を見上げて片手を差し出した。


「なあに。僕はちょっとした魔法がつかえてね。君が無事におうちに帰れるおまじないさ。さあ。迎えが来ている。おうちにお帰り。子猫ちゃん」


「あーあ。気取っちゃって。僕。だってぇ。相手がお嬢様だとそんな感じなんだぁ」


 風作が声をした方に顔を向けるとそこには10代半ばと思しき少女。


 活動的なファッションの女の子。


 ジーンズにパーカー。パーカーのフードは被っています。


 フードを後ろに少しずらして顔は良く見えるようにしているのは女心というものでしょうか。


 話す言葉とは反対に柔らかな顔つきをしています。


「誤解を招くような言い方はよしたまえ。ジュリアン君。それより車の手配はできているのかい?」


「普段は呼び捨てのくせに。ま、いいけど。カミュが運転席で首を長くして待ってるわよ」


「オーケー。上出来だ。あとはお嬢様を車までエスコートするだけだ。早く終わらせてオフィスで熱いブラックコーヒーを淹れるとしよう」


「そんなこと言ってていいのかしら?」


 ジュリアンは風作の後ろを見ています。


 風作は振り返って見てみると。


 少女の後ろ姿。


 抜き足、差し足、忍び足。


 こそこそと歩いています。


 「待ちたまえ!」


 少女は一瞬身を固めましたがすぐに窓に向かって駆け出しました。


「危ないよ。ここは2階なんだから。全く。お転婆なお嬢さんだ」


 風作がやさしく言います。


 少女は窓を開け放つと振り返り、


 ペロっと舌を出しアッカンベー。


 少女は誇らしげに胸を張ります。


「心配ご無用。バカにしないでよね。水鉄砲のガンマンさん」 

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