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神斬髪切り屋(かみきりや)  作者: 秀時周 冶志 (しゅうじしゅうじしるす)
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神斬髪切り屋(かみきりや) 参の巻 金剛 11.霊屋

 神 斬

髪 切 り屋


参の巻     金剛 11.霊屋


 六文銭、石が積まれた河原に綺麗な川、その先には何があるのか?

 孔雀に乗った仏様、薬壺を持った仏様、長い黒髪の綺麗な女性が必死に自分の手を引いて川から引き戻そうとしている

朱右は思った、ここは極楽浄土なのかと。

 しかし、なぜか自分の体が微妙に上下に振動しているようにも感じるが、うっすらと目に見えたものは、どこかで見たことのあるような建物のような気もしたが、再び、何も見えなくなった。


 空海は今、上杉謙信の霊屋の前に立っていた。霊屋たまやとは、 死者の霊魂を祭ってあるお堂のことである。

 ここは、光野山の一の橋から奥の院に続く道より左に曲がり階段を上った、少し離れた場所にある。

昨日、朱右と話した事が空海の脳裏に浮かんでくる

「僧としての性質なのでしょうか、いかにして、守りとおして、負けない、あらゆる状況を想定して、いざという時に、備える事を第一に・・・」

 ただ、大切な者を守るために、時には攻めなければならない時もある、今がその時だ。

 空海は霊屋の扉を開け、中に収められていた、白鞘の錫杖を持ち、朱右をおぶさり、再び走り出した。

 霊屋から階段を下る、右斜めに立つ、赤っぽい大きな石は、先ほどの霊屋の主、上杉謙信公の好敵手すなわち武田信玄公の墓所である。

そこを左に曲がり、一の橋から奥の院に続く道に復帰して、空海は奥の院を目指す、道の傍らには、有名な戦国武将の大きな墓、道端の小さな墓が並んでいる。

釈迦の入滅後56億7千万年後の未来にこの世界に現われ悟りを開き、説法し多くの人々を救済するとされる弥勒菩薩

ここにある多数の墓は弥勒菩薩が、この世に出現し 説法される時に、弘法大師とともに聴聞したいとの願いから、その日を待ち望んで建っているのである。

この気の遠くなる年数は、弥勒の兜率天とそつてんでの寿命が4000年であり、兜率天の1日は地上の400年に匹敵するという説から、下生までに4000年×12ヶ月×30日×400年=5億7600万年かかるという計算に由来する。

そして、後代になって5億7600万年が56億7000万年に入れ替わったと考えられている。


 ただ、今の空海は、現代の約束の時間、小半時(こはんとき)『現代の時間の約15分』との戦いの最中である。

本来、一の橋から奥の院御廟橋までは、歩いて四半時しはんとき『現代の時間の約30分』はかかるのであるが、朱右をおぶって、常夜灯の光が足元を照らす薄暗い道を急ぎ駆け抜けて行った。


 時間にして、一の橋を出てすでに5分以上の時間が過ぎていた。

 

神 斬

髪 切 り屋    参の巻     金剛 12.清高 に続く

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