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神斬髪切り屋(かみきりや)  作者: 秀時周 冶志 (しゅうじしゅうじしるす)
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神斬髪切り屋(かみきりや) 参の巻 金剛 10.女人 二

 神 斬


髪 切 り屋



参の巻     金剛 10.女人 二


 着ているのか、着ていないのかわからぬ装束(しょうぞく)を着ている。それは、まさに女人であった。

さかのぼる事、5秒前、それはものすごいスピードで形を成しながら、朱右に今まさに、回し蹴りを食らわせたのである。

 敵である、黒髪がその5秒の間に形を成す瞬間に朱右は思わず見とれて思っていた。


朱右

(黒髪の形がはっきり見えた、これは、髪の毛の長い空海さん?、いや、胸が・・・ということは、黒髪の白狐さんにも見えるが、しかもほとんど裸に見えるが)

挿絵(By みてみん)

 ここまで考えていた朱右は次の瞬間、黒髪女人の回し蹴りをくらい、吹き飛ばされて、今まさに宙を舞っていた。

 あまりの、一瞬の出来事に、後ろで見ていた空海はその場に立ち尽くしていた。


白狐

「くうかぃ-、やはりじゃが、そやつは、使い物にならなんだぁ-すておけぇぇ」


 その間、約2ないし3秒であろうか?稲荷神の叫びで、空海は我に返った。

 黒髪女人の二撃目の蹴りが、白狐を襲うが、何とか、小狐丸【白狐の刀】を具現化して受け流しながら稲荷伸が叫んでいる。

さらに黒髪女人の攻撃は、白狐に一撃、一撃と繰り出されているが、やっと空海は見えずとも、識をもってその様を感じ取っていた。

白狐は黒髪女人の攻撃に応戦し耐えながら、さらに言葉を発した。


白狐

「空海、其方(そなた)が教えた、識も無駄に終わったのぉ、昨夜の我の忠告を無視したから当然の結果と言えば結果なのじゃが」

 

 空海には、昨夜の朱右に対する稲荷神の忠告が何なのか?知るすべはなかったが、やっとの一歩を踏み出し駆けだしていた。 

 さらに白狐が黒髪女人と戦いながら、まくしたてるように言った


白狐

「朱右め、女人の色気に対する耐性がなさすぎる」

 

 その言葉を聞きながら、空海は地面に倒れていた、朱右に駆け寄っていた。

朱右は、先ほどの黒髪の一撃を受け、ピクリとも動かない、すでに魂は砕かれているのであろうか?

 空海は祈る思いで、朱右に近づき、両手で印を結び、何かを唱えだした。


空海

「オン・マユラ・キランディ・ソワカ【孔雀明王 真言】マ(梵字)」

結ばれた印は孔雀明王印、すなわち孔雀明王には魔除けや煩悩退散の力が宿っている


空海

(なんとか、間に合って)


 そう思いながら、空海はその場に倒れていた、朱右をおぶさりだした。


空海

「稲荷よ、拙僧に考えがある、時を稼ぎながら、黒髪を少しの間、防いではくれまいか」


 そして、空海は朱右をおんぶして、一目散に走りだした。


白狐

(そんなに簡単に言うでない、黒髪の攻撃を防ぐので精一杯じゃ)

 

 心の中で思う白狐をよそに、空海の後ろ姿はみるみるちいさくなっていった。

空海は、蓮華場院(れんげじょういん)の前に停めてあった自分の車の助手席に朱右を乗せシートベルトを絞める


空海

「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ【薬師如来 真言】」「ベイ(梵字)」

空海は手のひらを薬師如来印に結び朱右に唱えた、そして自らは、運転席に乗りこみシートベルトを絞め、車を走らせた。


神 斬

髪 切 り屋    参の巻     金剛 10.女人 三に続く

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