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プロローグ

「どうしてこうなった・・・」


うっかり声に出して呟いてしまう。しかも道の真ん中で立ち止まり右手を額に当てて天を仰ぐというオーバーアクションをつけてだ。


よく某掲示板などで見かける言葉ではあるが、そこで見られるような軽いノリの煽りやがっかり感といったものは微塵も感じられない真剣なものであった。


幸いなことに誰に対して呟いたわけでもない言葉は喧騒の中に消えた様だが天下の往来でいきなり立ち止まった人物を怪訝な目で見るものは多い。


(考えていても仕方がない)


周囲の視線に気付き手を額から下ろし、天を仰いだ際に見えた『見たことのない星?が浮かぶ空』から視線を街並みに向け歩き出す。


そこに映るのは不審な人物が視線を戻したのであわてて目をそらす人達。その後ろに映るのは木造と石造りの建物。それも一軒や二軒ではない。全面歩行者天国状態の石畳の道の両脇に並ぶ民家とおぼしき建物から商店、宿のようなものまでがそういった造りになっており現代日本で見かけるような近代的な建設物は見当たらない。


例えるならば中世から近世ヨーロッパと西部劇の舞台足して二で割ったような…。と考えたところで先ほど目をそらした人たちの何人かを思い出しもっといい例えを思いつく。


(どこぞのネズミーなテーマパークに似てるな…)


と、友人に誘われて -拉致されて、とも言う- 行ったテーマパークを思い出す。


(あれは酷かった…)


その時ああいったテーマパークに初めて行った彼を友人たちは弄り倒したのだった。


「ここに来た以上これは絶対に着けなきゃいけない決まりなの」


と言い、ついてまず最初にねず耳を装着させられた。着けなきゃいけないと言った割りに自分たちは着けない彼女たちに文句を言うと、


「私達はいいの」


の一言でばっさりと切り捨てられた。


「プッ、ハハッ、な、なかなか似合ってるぜ。アハハハッ」


その後ろで大爆笑しているもう一人の男性陣である彼には背後から忍び寄りリボン付のねず耳を装着してやったのはいい思い出だ。その証拠に酷いと思いつつもその表情は緩んでいる。


(っと、今は思い出に浸ってる場合じゃない)


数秒前に考え事している場合じゃないと戒めたばかりだと言うのに…。

どうも脳が現実から目をそらそうとしているようだ。


今の彼にとって何にも換えがたい思い出をいったん心の奥に仕舞い込み、その思い出を引っ張り出した元凶に目をやる。


そこには彼が装着させられたのとは別の種類の耳、いわゆるネコ耳を着けた少女がいた。


それだけではない。ダックスフンドのような垂れた耳を着けた男性、ウサギのような耳を着けた老夫婦。

さらにはエルフと言われるようなとがった耳をしている美女までもがさも当然と言わんばかりに闊歩している。


いや、『着けた』と言う表現は間違っている。


最近では脳波を受けて動くネコ耳なんてものもあるようだが、彼らの耳の質感や動きはどう見ても本物である。


(それに…)


もちろん普通の人もいるのだが、彼らを含む多くの人が


(日本なら一発逮捕だよなぁ。あぁ、アメリカでもアウトか…)


銃刀法違反?なにそれ?うまいの?と言った具合にこれ見よがしに武装している。


(まぁ、これが『この世界』では普通ってことなんだろうけど)


「まずは情報収集…か」


声に出したのは先ほどとは違い行動指針を明確にするためだ。


(今回ばかりはいつも通りに行かないかもしれない。だとしても…)


そして再び立ち止まるとおもむろに振り返る。-また視線を集めてしまうが今回は気にしない-


そこに映るのは○ンデレ○城どころか、世界の名だたる名城も真っ青の巨大な城。


彼は先ほどまでいたその城を見つめ三度(みたび)、声に出した。


「必ずあの日常を取り戻してみせる」


そう呟き歩き出す。


不審な人物として注意を払っている者もいたが、1秒たりとも彼の姿を捉え続けられる者はおらず、そのまま彼は喧騒の中へと消えていった。

初投稿になります。至らぬ点が多々あるかと思いますが、ご指摘いただければ幸いです。

少なくとも今まで読んだ小説と内容がかぶったりしないように気をつけていますが(といっても革新的な設定やストーリーなど思いつけるはずも無いのでいわゆるテンプレのような大まかな流れなどは似てしまうと思います。)、ほとんど同じ内容の小説があると言ったことがありましたら教えていただければ修正するなり、一旦終わらせて書き直すなりしていきたいと考えています。


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