04 前編
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嫁との邂逅によって、私の学校生活にひとつの楽しみが増えた。
友人いわく【ちょっとした有名人】らしい嫁は、外見だけでなく様々な意味で目立っていた。
そこかしこを歩けば嫁の姿が目につき、なんとなく耳を済ませば【本宮】という名詞を簡単に拾うことができる。
生徒だけではない、教師もだ。
彼は教師受けも良いらしく、ほとんどの教員に顔を覚えられているらしい。よく頼まれ事を引き受けていることから、彼がいかに可愛がられているかが伺える。
放送部の活動だけでなく、役員でもないのに生徒会の手伝いをしていたりもするのだとか。
私は思う。彼こそ、学内一顔が広い生徒ではなかろうか、と。
つい最近まで嫁の存在にこれっぽっちも気づいていなかった私が語っても、説得力はないのだが。
「あ、本宮先輩だ」
友人の言葉に、落書きをしていた手を止めて顔をあげる。
一年生の教室は職員室のある階にあり、私の属する七組は階段の目の前にある。
結構な頻度で職員室を往復している彼は、自然と私たちの教室を横切ることとなる。
「ラッキ~。今日は五回も見れちゃった」
「その内に何回シャッターチャンスがあったんだい?」
「失礼な! そんな危ない橋渡らなくても画像くらい出回ってるわ」
「ワーオ。冗談で言ったのに予想を超える発言が返ってきたよ」
学校でアイドル扱いとか、二次元だけだと思ってたよ。世の中って怖い。
これでは嫁の自衛能力が心配になってきた。
徐に鞄から携帯を取り出すと、それを見た悪友も同じくポケットから携帯を取り出した。彼女は素早く操作をすると、私にカメラ目線で苦笑いを向けながらピースサインをしている嫁の画像を見せてきた。
「見てよこれ! うちの部活の先輩がくれたんだけど、はにかみ笑顔がたまらなく可愛いの!!」
「あー、うんソウダネー」
「なにその反応。ちょっと待ってろよー、今校内人気ランキングTOP3の画像を見せてあげるから」
「この学校大丈夫か……?」
生徒の画像が無断で出回ってるとか、これってある意味一種のいじめにはならないのか。
教育委員会に訴えればなんとかなるか? 念のため嫁に教えておこうと、私はツイッターで嫁にダイレクトメッセージで警告した。
《嫁のブロマイド画像は大人気らしい。炎上する前に出るとこでてもいいんだぜ?》
返信は早かった。
《オカズにするなら時間のたった俺より新鮮な俺をどうぞ(笑)》
「いらんわっ!!」
「どうした? 迷惑メールでもきた?」
「……何でもない」
検討違いの答えについ反射的に叫んでしまった。
まったく、最近の嫁はなんだか機嫌がよくてこちらの調子が狂うばかりだ。
ふと、教室内の時計に視線を向ける。
時間を確認した後、鞄から財布を取り出し席をたつ。
「何かいる?」
「ボス、微糖」
「あいよ」
友人に後ろ手を振り、私は購買へと向かった。
我が校の購買は、昼休み時間以外は閉まっている。時間外に食物が欲しい場合は、購買横の大型自販機で購入することが可能だ。
その自販機で売っている菓子パンのミニチョコチップメロンパンが、入学当時から続くマイブームなのだ。
隣校舎の階段を降り、左手に曲がると目的地というところで、私はこっそりと購買を覗いた。
そこには先程見かけた嫁が、自販機の前に立っていた。
11/18 一部改稿