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『オウエン減票マン』伝説 ~蓬莱帝国最強の逆神議員~  作者: 如月妙美


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第二章:進化する逆神力 ~伝説的失言事件簿~

 オウエンゲンピョウマンこと田中減票郎の悪名は、初回の惨事から3年後、さらなる高みへと到達することになった。この頃の彼は既に「応援を頼んではいけない議員リスト」の筆頭に名前を連ねていたが、なぜか時々現れる「勇気ある」候補者たちが彼に応援を依頼することがあった。

 その日の犠牲者...いや、候補者は、女性活躍推進を掲げる県議会議員候補の田村ウーマン子だった。彼女は企業の管理職として働いた経験を活かし、「働く女性の味方」として立候補していた。

「田中先生、私は先生の『正直さ』に期待しています」ウーマン子は言った。「建前ではなく、本音で応援していただきたいんです」

「分かりました!本音で語らせていただきます!」減票郎は力強く答えた。この「本音」という言葉が、後に大惨事を招くキーワードとなる。

 当日の演説会場は、働く女性たちで満員だった。子育て中の母親、キャリアウーマン、起業家など、ウーマン子の政策に共感する女性たちが期待の眼差しを向けていた。

 減票郎は意気揚々と壇上に上がった。「皆さん!田村ウーマン子さんは素晴らしい女性候補者です!」

 ここまでは問題なかった。しかし次の瞬間、彼の「本音」が炸裂した。

「実は正直に言いますと、最初は女性の政治家なんて信用できないと思っていました!」

 会場の空気が一瞬で凍りついた。だが減票郎は「本音トーク」のつもりで続ける。

「でも田村さんに会って考えが変わりました!女性でもちゃんと論理的に考えられる人がいるんですね!普通の女性は感情的ですが、彼女は別です!」

 聴衆の表情が険しくなっていく。しかし減票郎の「本音爆弾」は止まらない。

「しかも!彼女は家事もちゃんとできるんです!政治家になっても、旦那さんの面倒をしっかり見ると約束しています!これは女性にとって大切なことですよね!」

 ウーマン子は演壇の陰で頭を抱えた。彼女が訴えていたのは「性別に関係なく能力で評価される社会」だったのに、減票郎によって「家事のできる良妻賢母型政治家」というイメージに変えられてしまった。

 さらに減票郎は致命的な一撃を放った。「そして最後に!彼女は『女性専用車両なんて逆差別だ』と勇気ある発言をしています!」

 これも完全な聞き間違いだった。ウーマン子が言ったのは「女性専用車両が必要ない社会を目指したい」という意味だったのだが、減票郎には「女性専用車両反対派」として聞こえていたのだ。

 会場は大荒れになった。「何それ!」「話が違う!」「騙された!」という声が飛び交い、何人もの女性が席を立った。ウーマン子は急遽マイクを奪い取り、必死に弁明を始めたが、減票郎の「応援」の後では何を言っても火に油を注ぐだけだった。

 この事件はテレビのワイドショーで「女性活躍推進候補の正体」として大々的に報道された。フェミニスト団体からは抗議文が届き、働く女性からの支持は地に落ちた。一方で、一部の保守的な男性からは「正直でいい」という声も上がったが、これが火に油を注ぎ、「女性を見下している候補者」というレッテルが決定的になった。

 選挙結果は、またしても惨敗。ウーマン子は得票率3.2%という屈辱的な数字で落選した。彼女は後に「あの日以来、電車に乗るのが怖くなった」と語っている。

 この事件の後、減票郎の事務所には「オウエンゲンピョウマン研究会」なる謎の団体から研究協力の依頼が届いた。彼らは減票郎の発言パターンを分析し、「逆神効果の法則」を解明しようとしていた。

 研究会の会長、学者の山田教授はこう分析している。「田中議員の特徴は、相手を褒めようとする善意が、必ず相手にとって最もダメージの大きい方向に向かうことです。まるで『相手の弱点を的確に突く天才』のような精度です」

 減票郎の秘書、佐藤はため息混じりにこう語る。「先生は本当に相手を応援したいんです。でも、なぜか必ず地雷を踏む。しかも一番踏んではいけない地雷を、ピンポイントで踏むんです。ある意味、天才的な能力だと思います...悪い意味で」

 当の減票郎は今でも首をかしげている。「僕は本当のことを言っただけなのに...。でも確かに、僕が応援すると皆さん落選するんですよね。もしかして僕には何か呪いがかかっているんでしょうか?」

 こうして「オウエンゲンピョウマン伝説」はさらなる高みへと達した。しかし彼の物語には、まだ最大のクライマックスが待っていた。


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