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オヴィラプトルはどこにいる

作者: 小波
掲載日:2025/08/08

守りたいものがあるから強くなれる様に感じて』と322.1km先にいる彼女の声が四角い小さな脳みそみたいなiPhoneから届く。

地元には私と同じくちっちゃなガールやボーイを育ててるシングルマザーの友達がいる。この人は小学生からの同級生で幸運な事に今も大変親しい。在学時よりも容量の増えた私達、話のネタは尽きない。その彼女にも同じ様な感想が出る。シングルになった彼女の方がパートナーがいた頃より魅力的だ。

輝いている。独身の頃に戻った様によそよそしさも減ってあの人は自由になった。本来の輝きも取り戻した。

そして子育てに奮闘する姿がまたかっこよくて新しい魅力を引き出した。この全てをいいなぁ!と感じる素敵な出会いが来ますように、来るでしょうなと思った。

「新しい魅力」を感じると最初の遠くの彼女は私に言ってくれた。そして私にもそういうのがあったら強くなれるのかな?と言っていた。

結婚や出産、子育てにちょっとそうなりたくはなかったけど離婚。怒涛の30代を超えて彼女の質問に答える記憶も持ってない。強くなって何かを兼ね備えたとしても、自分を生かすそんな働き方もまだしていない。そもそも守りたいものってなんだろう。4人で築く家庭は守れなかった。愛して結婚したはずの彼を嫌って憎んで怖くて避けて守るどころの話ではない。思いつくのは最初のこの人好きだなぁのその一歩。昔の私はここから急スピードが出る悪い輩だった。誰かに心奪われている男性もこちらを向かせる困りものだった。現在の私はそんな若い貴方を「やんでる」と一刀両断できます。しゃあないなと笑顔で。

だけど最初の一歩、『すき』

私をここまで運んできてくれたのはちょっと重たくて子供の頃からだるがっていた体を動かして移動させたのは、好きという気持ち。


好きと好奇心とこのままではいけないという身に染みついたような焦りだと思った。私が守りたかったのは私の未来だ。


きらきらとたくさんの色が入ったピンバッチを先週目にした。子を育てながら少しずつ増えてきた顔見知りの方だった。それは「オビラクトル」という恐竜と教えてもらう。うちにはニホンカナヘビがいるんです、と会話は弾んで楽しかった。‥オビラクトル、オビラクトル、忘れそうだからメモメモ。別れた夫のラインにオビラクトルって知ってる?と入れる。(そんな使い方をするなんて‥)


スマホで調べた午後22時33分、子育てをする恐竜なのらしい。それもオスが温めるから珍しい。そして卵泥棒とも記述してある。泥棒しようとしてるところを化石にされて誤解された。本当は卵の中身も側にいたのも、どっちもオヴィラプトルだったんだって。そして聞き間違いもわかった。


まあ私のオヴィラプトルの仲間は遠く離れた小島から「お銭」を運ぶタイプです。元夫でした。


恐竜図鑑を手に取ったら、なんとか泥棒という名を持たされたギャオギャオは結構いた。ずいぶん不名誉ですけど、もう化石だし言いたい放題ですか。面白がられてると思う。説明文に、「ほぼ鳥」ともあった。あの図鑑が特殊なんだろうか。また児童館に読みに行きたい。


卵を守るオヴィラプトルは温めたままの姿で化石になって、美しいピンバッチになって人の縁をもってくれた。


見たこともなくて、もう化石でしか見れなくて、そんなオヴィラプトルに(ピンバッチに)私はほっとする。引き寄せられて知りたくて遠ざかっていた背の低い本棚から一冊『恐竜』を抜き取る。


好きだ。ただ、それだけ。好きな自分のまま、好きなものを抱きしめたまま、そんな姿で歴史を残して行けたら良いなと思った。

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