第三十一章59 【アンサー・クリエイト/さよなら真の強者(きょうしゃ)達1】59/【前半ラブエピソード?5】04
その日、【芳一/捨吉】は、【真弓】の依頼を仕上げた。
出来としては十分といえるものだったが、彼は納得せず、【真弓】への請求書の金額は12円だった。
理由は納得行くものが出来なかったからである。
【真弓】は、
「ど、どういう事ですか?
じゅ、12円って・・・
1体1円って事ですか?」
と聞いた。
【芳一/捨吉】は、
「そうです。
納得行くものが出来ませんでしたので、その金額を設定させていただきました」
と答えた。
「そんな・・・
これは納得行きません。
【捨吉さん】のデザインは素晴らしいものでした。
これまでのものと比べても遜色のない出来です。
私は3倍出すと言ったんですよ?
なのに1円って・・・
これでは逆に私が納得しません」
「なら、真実の愛に気付かせていただいた。
そのお礼としてその金額・・・
と言うのはどうですか?
僕は、創作の段階で、本当に美しいと思えるものを思いついた。
13番目に描いた【ハーフアップ】のキャラクターが正にそれでした。
それからは他の作業がろくに手がつきませんでした。
その過程で完成させたのが、貴女に提供した12体です。
つまり、貴女への作品には僕の魂が込められなかった。
僕はこの先、魂を込める作品を生み出せないでしょう。
だから、ここで引退します。
これからは、その13番目の【作品】と向き合って生きていたいと思います」
「そんな・・・
私が引退させてしまったのですか?」
「僕は恨んでなど居ませんよ。
むしろ感謝しかない。
真実の愛に気付かせてくれて。
ありがとう。
本当は僕がお金を払いたいくらいだったけど、仕事は仕事。
それで12円です。
それで納得していただきたい」
と言う話になった。




