意外だ
8月の中旬、結城の補習も終わり完全に夏休みを楽しんでいる頃、生徒会の仕事でプール掃除をしに私と生徒会メンバーと補習の罰で結城と数名で学校に併設されている、プールに集まっていた
「やっと補習が終わったのに、なんでプール掃除をしなくちゃいけないんだよ生徒会の仕事だろいつから生徒会になったいつから生徒の見本になった」
「騒ぐ前に手を動かしてください、今日中に終わりませんよ、そもそもプール掃除させられてるのは、結城くんの補習のペナルティですよ、嫌なら今後、赤点なんて取らないことですね、だいたいテストなんて授業をきちんと聞いていたらある程度は点数取れるんですから」
「それは頭の良い奴のセリフ、俺みたいな馬鹿は授業聞いても分からないの」
「結城くんの場合、授業なんて聞いてないでしょ、ほとんど寝てるし」
「夢の中はちゃんと授業聞いてるぞ」
そんな話をしながら掃除をしていると、結城の頭から水がかけられる、結城が鬼の形相で見るとそこには繭理が立っていた
「猫何しやがる、俺が珍しく掃除してるのに」
「ずるいのにゃ、ゆうにゃだけゆいにゃと遊ぶの羨ましいのにゃ、兄妹だからって独り占めはダメだにゃ」
「やかましい、結奈と遊びたいなら掃除手伝え」
そういってモップを差し出す
「仕方ないにゃ、この繭がピッカピカに掃除してゆうにゃと遊ぶのにゃ」
繭理は結城からモップを受け取り黙々と掃除を始める
「そういえばなんで猫は夏休みに学校にまさか結奈に会いにか」
「違うのにゃ、ママに呼ばれたのにゃ」
繭理の顔が少し暗い表情をしている、いつもは明るい繭理からは想像も出来ないほどに落ち込んでいる
「何かあった繭理」
「なんでもないのにゃ心配しないで欲しいのにゃ」
「そうならいいけど、何かあったらなんでも相談して」
「所でなんで猫の母さんに会いに学校に来るんだよ、ここの教師なのか」
「結城くん何を言ってるんですか、繭理の母親は二階堂財閥の会長でこの学校の理事長ですよ、だから繭理はその二階堂財閥の一人娘ですよ」
結城はそれを聞いて少し呆然とする、結城は自身の通っている学校の理事長の名前すら知らなかったのだ
「待てよ、ここって財閥系の学校だったのかよ、そもそもこの不思議生物の猫が財閥の一人娘て嘘だろ」
「私もはじめて聞いた時は耳を疑いましたが、これは現実です」
「へぇこの猫がね」
そう言いながらも結城はまだ疑っている、すると遠くから聞き覚えのない声が聞こえてくる
「繭理から離れろ」
その方をむくと黒服を着た1人の好青年が立っていた、その青年は言葉を放つやいなやプールの柵を飛び越え結城に蹴り飛ばされる、咄嗟のことに結城は防げず地面を転がる
「下賎の者が繭理に触れるな、穢れる」
「てめぇ急に出てきたと思ったら急に蹴りを入れるとはいい根性してんじゃねぇか、1発の借りはでかいぞ」
結城は怒りながら青年に飛びかかろうとする、私は結城と青年の間に立つ
「落ち着いてください、結城くん相手は先輩ですよ、落ち着いてください」
「どけぇ結奈その野郎に…」
怒っていたが急に動きを止め少し戸惑いながら言葉を放つ
「結奈そいつのこと今先輩て言ったか」
「はい、この方はうちの高校の3年生の星空昴先輩ですよ、先輩はうちの学校の柔道部主将でオリンピックの強化選手にも選ばれてるすごい方なんですよ、学校でも何度も表彰されてるのに知らないんですか」
「知らん、表彰式なんてだるいもんわざわざ参加するわけないだろ、そんなことよりなんでそのすごい先輩様が猫を庇うんだよ」
「貴様のようなクズに話す道理はない」
「なんだと、てめぇ急に蹴るは、人をクズ呼ばわりするは、何様だ」
「貴様のことは知っているぞ、この学校1の問題児喧嘩恐喝は当たり前、ヤクザや反社との関わり貴様のことで聞く話は悪いことしか聞かないぞ」
私は少し結城から離れ軽蔑の視線を送る、すると結城は少し震えながら昴の言葉を否定する
「喧嘩は確かにするが最近はしてないし、俺から売ったことは1度たりともない、ヤクザと反社との関わりなんてのは一切ない」
「悪人ほどよく喚く、どれだけ否定しようと聞く耳持たんとにかく繭理に近寄るな、貴様のようなクズが近寄れば二階堂家の名に傷がつく、行くぞ繭理」
昴は繭理の手を掴みその場を後にしようとするが繭理が手を払い除ける
「勝手なこと言わないでよ、だいたいなんで昴がいるのにゃ繭はゆいにゃ一緒にいるのにゃだから帰るなら昴だけで帰るにゃ」
「そうだそうだ、帰るならお前だけで帰れ」
すると昴は繭理の頬を叩く
「わがままもいい加減にしろ繭理、お前は俺の言うことを聞いていればいいんだよ何度言ったらわかる」
すると結城が握りこぶしを作り、昴殴ろうとするが軽い身のこなしでかわされる
「何のつもりだクズ」
「テメェこそ何のつもりだ、急に女の顔を叩くとは猫とお前がどんな関係かなんざ興味は無いがな、女に手を上げるような奴は見過ごせない」
「これは俺と繭理の問題だ、クズは消えろ目障りだ」
「なら消えてやるよ、猫と一緒にな」
そう言うと結城は地面に置かれているホースを踏みつけ勢いがました水が昴の顔にかかり一瞬昴の動きが鈍る、その隙に結城が昴の頬に拳を入れる
「今だ猫連れて逃げろ結奈」
結城の言葉を聞き私は繭理の手を取り逃げ出す
「待て生徒会長、繭理をどこに連れていくつもりだ」
「お前の手の届かない場所だよ、よそ見すんなよ、クソ野郎」
「いい加減しつこいぞ、クズ野郎」
私は急いで学校から逃げ出した、繭理も私も咄嗟のことで上履きのまま逃げ出してしまった、少しして学校から少し離れた公園で私たち二人は身を隠す
「全く結城くんも急に逃げろだなんて段取りぐらいして欲しいものです、繭理、顔は大丈夫見せて」
「大丈夫にゃ、ゆいにゃごめんにゃさい、迷惑かけて」
「迷惑なんてないよ、大丈夫だから、そんなことより星空先輩とはどんな関係なの?」
「昴とは幼馴染で許嫁にゃ昔はもっと優しかったのに変わっちゃたのにゃ」
「…そうなんだ許嫁が居るって言ってたね、けど友達として暴力を振るうような人の元に繭理をかえせないだから、繭理少しの間だけ私の家に来ない?」
「でも、迷惑じゃにゃい」
「迷惑じゃないよ、友達だから私の家でお泊まり会しましょ」
そういい私は優しく繭理に手を差し伸べる、すると繭理は私の手を取ってくれる、その手は少しだけ震えている
「後々のことは結城くんが帰ってきてから考えましょ、それしゃ行こっか私の家に、手を繋いで」
「うん、ありがとにゃゆいにゃ、やっぱりゆいにゃは優しいのにゃ」