二人の友達
蝉の声が聞こえ初めて、日に日に日差しが強くなってきた頃、学校は夏休みに入ったが、なぜか私と結城2人は学校に居る
「なんで夏休みなのに学校に居るんだよ、俺らは、しかも数学の補習とか、何が微分積分だよ、ふざけんなよ」
「文句言ってないで、早くしてください、でないといつまで経っても夏休み入れませんよ、だいたい結城くんがいけないんでしょ、学期末テスト最下位オール赤点、初めて見ましたよ」
「しょうがないだろ、勉強なんて普段全くしないんだから、俺は数式や英文なんかを見ると蕁麻疹が出るの」
「それがホントなら今頃救急車来てますよ、早く課題してください、私まで夏休み無くなるんですよ」
二人でそんな話してをしていると、気だるそうに一人の教師が入ってくる、彼は数学の担当の教師で私と結城の担任でもある
「おーす、真面目にやってるか、祈神早く終わらせないと、夏休み終わるぞ、オール赤点くん」
「しげさん、どうにかして無くせないのこの課題の山」
「オール赤点が何言ってんだ、真面目にやれよ、それより喜べ学園の華の生徒会長とマンツーマンだぞ、これ以上に嬉しいことはないだろ」
「何言ってんだセクハラ教師、だいたいなんで結奈が居るの、こいつもオール赤点?」
「そんな訳ないだろお前監視置いてないとサボるだろ、だから監視で探してたら、桐生が自分がやるって言い出したの」
「なるほど、しげさんこの課題の山何とかなんないの、夏休み終わるよこれ」
「さっさと終わらせろ、夏休みは長いんだ1日ぐらい遊べるよ」
「結城くん早くしてください、お昼から私友達と、ショッピングの予定」
結城は二人からの冷たい言葉に少し落胆する、結局今日の分の課題は重松先生の恩情により、昼までに終わる量に調整してもらい、昼からはフリーになった
「シャバの空気は美味いぜ、俺は自由だ」
「明日も学校ですよ、数学の課題は終わっても、あと英語と古文が残ってるんですから」
私が結城に明日の予定を言うと、結城は耳を塞ぎ大声で言葉を遮る
「あーあ聞こえないなんにも聞こえない」
「全くこのままでは進級できませんよ、留年してもいいんですか」
「別にダブってもいいかなって、別になりたいもんがあるって訳じゃないし、何となくこの学校に来たから」
そう言う結城の顔はどこか切なげだ、少し気まずくなり、腕時計を見て時間を確認する
「大変、もう11時すぎてるじゃないですか、約束の時間ギリギリ、結城くんは先帰ってください、私はこのまま約束の場所に行くのでお母さんに伝えてください」
「了解」
私が結城を置いて、急いで駅に向かう
「俺は何しよ、映画でも行くか」
約束のショッピングモールに到着する、約束の時間ギリギリだ
「ゆいにゃ、珍しいにゃんね、いつもは繭の方が遅刻なのに、ゆいにゃは今日はお疲れにゃ?」
私の腕を組み話しかけてくるこの子は私の数少ない友人の二階堂繭理、私の保育園の時からの友人だ、彼女の服装は夏なのにも関わらず厚手のパーカーを着ていて袖が長いのか、萌え袖のようになっている、そして可愛らしい猫のリュックを背負っている
「暑いから抱きつかないでくれ、繭理夏なのに暑そうな服を着ているね、で呼び出して今日は何するの?」
「ゆいにゃつれないにゃあ、繭はゆいにゃと引っ付きたいのにゃ、でもそんなゆいにゃも可愛いのにゃ
映画を観るんだにゃバイトでお給料日貰ったから奢るのにゃ」
そんなことを言いながらさらに体を密着させてくる
「映画ですか、良いですよ何見るの?ホラー以外にね」
「相変わらずホラーは無理なのにゃ、そんなとこも可愛いのにゃ」
「はいはい、映画行きましょ」
私と繭理は結局腕を組んだ状態でシッピングモールに併設してある映画館に行く、映画館に付くと受付にすごく見慣れた顔が目に入る、見間違うはずもない、結城なのだから
「なぜここにいるんですか、結城くん」
「結奈、俺は暇だなら、ダチに誘われてた映画観ようと思って」
私はその言葉を聞いて少し驚くなぜなら、結城に友人が居るということに
「結城くんに映画を一緒に観るような友人が居たのですか、それは妄想の中の友達ですか、それとも危ないお友達ですか」
「喧嘩売ってるよね、結奈俺だって友達のひとりやふたり居るっての、それを言うなら堅物の近寄り難い生徒会長様にお友達が居るとは思わなかったよ」
「私にだって友達は居ますよ、そもそも私のどこが堅物なんですか、どこが近寄り難いんですか、あなたと違って私は誰にでも分け隔てなく接してますよ
」
「俺だって、最近は分け隔てなく」
私と結城が言い合っていると、繭理が間に入って来る
「ゆいにゃ何を言い合いしてるにゃ、私もかまって欲しいのにゃ、ゆうにゃとばっか話してにゃいで、繭とも話して欲しいのにゃあ」
「誰がゆうにゃだ、変なあだ名で呼ぶな、てか誰お前」
「酷いのにゃ、最低なのにゃ同じ学校にゃのに同じクラスにゃのに、クラスメイトの顔も覚えてないのかにゃ、同じクラスの二階堂繭理にゃ」
繭理はそう言いながら、結城のことをポカポカ叩く
「ポカポカ叩くな、結奈なんとかしろ、この不思議生物を」
私は結城と繭理を引き剥がす、私が引き剥がすと、繭理は前で暴れている
「離すのにゃ、ゆいにゃこの子にお仕置するのにゃ、この薄情者に」
「暴れないで、繭理ほら映画観るんでしょ」
そんな話をしていると結城の後ろから声がする、その相手は同じクラスのアニメ好き吉良克樹くんだ
「結城くん、何してるんですか、また問題事ですか、なんで会長と二階堂さんが居るの?結城くんが呼んだの?」
「そんな訳ないだろ、偶然だよ偶然、克樹映画やめてゲーセンにしない?」
「しないよ、この映画今日で上映終了するし、だいたい結城くんが観ようて言ってきたんでしょ」
克樹が結城と話しているうちに、私と繭理は、上映室の席に向かう、少しして、再び結城達がやってくる、どうやら同じ映画らしい
「どんな偶然ですか、結城くんなんで同じ、映画で隣同士なんですか、狙ってますか」
私がムスッとして結城に聞くと結城は頭を抱えて話す
「知らんがな、俺だって驚いてるよ、どんなバグだよ、結奈今からでも映画変えない?これ特撮アニメだよ」
結城深く溜息をつき結局4人で同じ映画を見ることになった、上映が終わり4人で帰路に着く時、繭理が少し疑問そうに口を開く
「ゆいにゃ、ひとつ聞いてもいいかにゃ、ゆいにゃとゆうにゃはなんでそんなに仲良しなのにゃ、お互い名前で呼んでるし」
「確かに、それは僕も疑問でした、最近まで結城くん会長と読んでいたのに、なぜ急に名前で、まさかお2人は親密な関係なのでか」
「アホかよ、結奈この2人になら言ってもいいか?」
「そうですねこの2人なら」
私と結城は2人にずっと黙っていた親が再婚したことで兄妹になったことを話した、最初2人は驚いていたがすぐに順応してくれた
「結城くんが弟だと、会長大変でしょ頑張って」
「ゆいにゃずるいのにゃ、私とも姉妹になってほしいのにゃ」
「暑いから抱きつかないでよ、繭理、結城くん助けて」
「結奈の友達だろ抱きつく、ぐらい良いだろなら俺先帰るから、また家で」
そう言うと結城は足早に帰っていく