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即興短編

そして音だけが残った

ギィコラ、ギィコラ──


「どこへ行くの、お父さん?」

「どこにも行く場所なんてないさ」




ギィコラ、ギィ、ギィ──


「舟を漕いでどこへ行くの、お父さん?」

「川のむこうさ」




ギィコラ、ギィコラ──


「川のむこうはあるの、お父さん?」

「行ってみなきゃわからないさ、坊主」




ギィコラ、ギィ、ギィ、ギィ──


「浸水してきたよ、お父さん?」

「ああ、船底に穴が空いてるからな」




ギィ、ギィ、ギィコラ、ギィコラ──


「この船、沈むの? お父さん」

「ああ、もう、そのうちに沈む」




ギィコラ、ギィ、ギィ、ギィ、ギィ──


「沈むのになんで漕いでいるの、お父さん?」

「おまえにはわからないだろう。でも、それでいいのさ」




ギィコラ、ギィコラ──


「もう、沈むね。お父さん」

「ああ、さよならだ。坊」




ギィコラ、ギィコラ──






ギィコラ、ギィ、ギィ──







ギィ、ギィ、ギィ──






ギィ、ギィ、ギィ、ギィ──





……コラ、ギィコラ、ギィコラ──







……ぴちゃん









……コラ、ギィ──














賑やかな音楽が聴こえてきた。

ハワイを思い起こさせるような、ウクレレとスチールギターに乗せてあかるい男の声が下手くそに歌う。

それが何もない川面を揺らしていた。

♪ほぅら、聞こえる君の声が

そんなポジティヴな歌詞を


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― 新着の感想 ―
ふたりの間にあるのは、諦念なのか諦観なのか…………。
最後のシーンがあるからこそ、切なく悲しくなりますね。どうか平穏と安らぎをと祈りたくなります。
2024/10/28 19:59 退会済み
管理
……なつかしい、なつかしいなぁ  (´;ω;`) 
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