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精霊のトーテム

昼食準備はティティとホネホネに任せ、オイラはトーテム造りに合流する事にした。


「お~い、昼メシまでこっち手伝うぞ?」


「何か凄い事になってたね!」


「あたしは前回途中参加だったから、幻獣達との契約は始めて見たよ」


「供物に代わり映えはなかったけど、今回は強めの契約やったで? 乗用獣使えるあんたの素養に反応したんかもしれへんな~」


「そう言われてもなぁ・・」


オイラだけじゃなく、商売の契約にうるさいティティの気質もあったような??

ま、それはそれとしてトーテムだ。


「トーテムってこんな感じでいいのか?」


トーテム組はゼルアンが簡単に加工した大小の霊木の柱をゴーレム達や人力(といってもゴーレム達がハンドルを回してるけど)吊り上げ器を使って10本ちょうど立て終わるところだった。


柱の加工は、皮を剥ぎ、ゼルアンと初孫が使える初歩的な錬金術で乾燥させて各精霊が好む彫刻をざっとして、配合塗料を塗り、魔法素材を嵌め込み、きっちり馴染むように錬金術で定着させただけだ。


「最初はこんなもんや。素材は揃ってるし、まぁ調整したらイケるんちゃう?」


「大雑把な監督だぞ・・」


何にしてもこっからは足りない素材を足して微調整するだけらしい。設備的に大掛かりに見えたトーテムの方が先に全部終わりそうな感じ?

オイラは錬金術は使えないから、素材の追加嵌め込みや塗装の追加何かを手伝った。



小一時間でその作業も完了。精霊を宿からトーテムに移すのにも必要だと言われ昼メシを支度していたティティも呼んできた。


「何か、立派なのが立ったね!」


もう顔色がいいティティ。


「大体ゼルアンと初孫がやったけどな~」


「大工だからさ」


「単純労働は『質より量』だよ! ふふん」


「よ~し、幻獣は纏めてイケたけど、精霊はマナの塊やし、あの宿は精霊にはか~な~り! 居心地ええからな? 引っ越しは4回に分けるで?」


「多いのは植物と土の精霊だけだろ?」


慎重だな、と。


「あかんあかん。前回ロンダのアホが横着して、最初の契約でいきなり死にかけとったからな~?」


「「ええ~?」」


結構やらかす人だよな。


「まず数は少ないけど扱い難い3種を移し、数少なくて扱い易い5種を移し、3番目に結構おるブラウニー。最後にめちゃおるドリアードや」


「最初に扱い難いのいくのか?」


「最初は余力があるやろ?」


「消耗するんだ・・」


急にヤバそうっ。

戦々恐々とさせられたが、オイラ達は鍵を手に、まずは闇の精霊シン、光の精霊ラカ、時の精霊ノーモンを小さなトーテムに移す事になった。


ベスドーアの鍵を2人で持ち、言い放つ。


「「トーテムに来たれっ、闇のシン! 光のラカ! 時のノーモン!」」


呼び掛けに応え荒れた森の宿から、蝙蝠のような翼を持つ不定形な影の姿のシン、光の玉を抱えた小人の姿のラカ、輪状の歯車に囲まれた単眼の姿のノーモンが飛び出し、オイラ達をまじまじと見詰めてきた。


「うっ!」


「わわっ」


凄いマナの圧っ。本調子じゃないティティがヘタりかけて、オイラが支えた。


「「「・・・」」」


闇、光、時の精霊達はそれぞれトーテムに吸い込まれ、鎮まった。


「「はぁ~っっ」」


オイラ達は揃ってヘタり込んだ。


宿から過剰な影やマナの発光現象が消え、また逆にそこまで古びていないような部位が急に劣化して崩れだしたりした!


「暗過ぎに光り過ぎ、直ったやん。ついでに余計壊れたけど、時が正しく経っただけやから。こうならんと修理できへんし」


「時の精霊の干渉は一番厄介だからな」


ゼルアンが腕組みして宿の様子を伺っていると、初孫がマナを込めた回復薬マジックポーションを持ってきた。


「ありがと、ミィルス」


「おう、初孫。気が利くな」


「ミィルスね」


「・・まぁ、その、ミィルスな」


くっ、根負けだ。


「しゃっ! 2人は休憩した方がいいから続きはお昼食べてからにしない?」


ミィルスが提案すると、声を掛けるタイミングを見てたらしいホネホネが呼び掛けてきた。そのまま昼メシになった。



野営してるのを忘れそうな豪華なランチの後で、わりと穏健だった火の精霊サラマンダー、氷の精霊ユール、雷の精霊シュガール、水の精霊ウンディーネ、風の精霊シルフをトーテムに移し、オイラとティティは少し休憩。

そっから、そこそこ宿に憑いてる数の多い地のブラウニーを中くらいのトーテムに移し、ちょい長めにオイラとティティはまたまた休憩。


で、夕方。いよいよ最後の宿憑き精霊。植物霊ドリアードの引っ越しの段となった!


「うおぉっ、来たぁ! ラスト引っ越しフォーっっ!!」


「僕も慣れてきたぁ! 来いマナ! 来いドリアード! サマークラウン家の底力ぁーっ!!」


テンションがおかしくなってきたオイラ達は他のメンバーを軽く引かせつつ、


「「トーテムに来たれ、森のドリアードっ!!」」


と呼び掛け、大量のドリアード達を宿から引き寄せた。


数百は居そうなドリアードは集まって1体の輝く個体に変化してオイラ達に『広大なお花畑の幻想』を魅せてきた!


「おおおおっっっ???」


「あはっ、お花畑だよ兄さん! あははっ」


2人で白眼を剥いてると集合ドリアードは笑って幻想を消し、ウィンクして大きなトーテムへと消えていった。


同時に宿に絡んでいた植物や大きなキノコは枯れたり、森へと引っ込んでゆく。


森の宿は『素の古びて傷んだ巨大なタダの建物』になった。


「お、終わったぞ。ティティ・・」


「ううっっ、いや、まだ難度の高い幻獣の供物が残ってるよ、兄さん・・」


「それは、明日に、しよ、う・・」


オイラ達はベスドーアの鍵を抱えて昏倒し、夕飯前に介抱されるハメになった。

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