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幻獣の供物

翌朝、オイラ達は夜の内に初期加工済みの集めた素材を前にしていた。ティティもすっかり体調いいようだ。


「レン坊、ティティ。今日はどうする?」


「幻獣の供物にする食材はなる早で仕上げた方がいいかも? まぁ収納道具の冷凍冷蔵スペースに放り込んじゃってもいいけど」


「供物の調理は任せて下さい。ワタクシは『飼育係』ではありませんが宿に住み着いてる幻獣の餌は心得てますから」


「はよ決めや~、明後日には他の大工やワンコちゃん(獣人)達が来て、ここわちゃわちゃしだすでぇ~」


ふんっ、手順については昨日の内にティティと打ち合わせ済みだ!


「予定通りでいこう、兄さん」


「おっし、ゼルアンと初孫とマリユッカはトーテム造り! オイラとティティとホネホネは供物造り! 先に済んだ方が終わってない方に合流だっ」


「ウチも勘定に入ってるやん??」


「精霊好みのトーテムとか、お前の方が詳しそうだろ? 監督するだけでいいからさ」


「まー、それくらいやったらええけど~」


コイツは宿の魔法を体現するのが領分何だろうけど、人手が足りないからな。


「問題無いな? 今日中に形を付けるぞ? エイエイオーっ!」


「「「オーっ!!」」」


取り敢えず勢いで作業開始だっ!



はい、約2時間後にティティがまたマナと薬効に当てられてノビちまった。


「兄さんタツノジさん、またごめん・・」


今日もキ〇タマ氷嚢を頭に乗せた。

ヒポグリフは1日寝かせてるワケにもゆかないから、単純作業の多いトーテム造りの方を軽く手伝わせていて、代わりに初孫が『話し相手&警戒仕様』の小型ゴーレムを近くに置いてくれてた。


「いいって事よ、元々トレーニングを兼ねてこっちに配置したし」


「そうですティティ様。着実に魔力や体力、各種耐性は上がってきてますよ?」


「ホントかな~?」


「オイラだって素材収集してた頃は、金になるからって調子に乗って+1評価のキノコ素材ばっかし集めてたら、身体のあちこちからキノコが生えだしてさ、街に戻るのが遅れてたら『何かしらのキノコ型モンスター』に進化しちゃってたぜ?」


あれはヤバかったな。


「兄さん、そんなんだから1年足らずでフラの素材収集ギルドからクビになっちゃうんだよ・・」


「何だよっ? そこは蒸し返さなくていいだろ~?」


カチンと来たぞ?


「まぁまぁ御二人共! とにかく、ティティ様は御安静に。我々はお昼までに簡単は供物を仕上げてしまいましょう」


ムッツリ顔で寝かされてるティティに軽くシャドーボクシングしつつ、オイラは作業員に戻った。


・・昼ちょい前、オイラとホネホネはわりと簡単な『団子系』『ジェル系』の供物を一通り仕上げていた。樽にどっさりだ。

ホネホネがチェックを始める。


「葉っぱ系団子、芋系団子、樹液系団子、蜂蜜系、甘い果実系、酸っぱい果実系、虫肉系、鳥肉系、猪肉系、鹿肉系、魚系、甲殻類系、カタツムリ系、鉱物系、土系。ジェルもまぁ一通り、ありますね」


「コレは残りの難しい供物も仕上げてから纏めてやった方がいいのか?」


「いえ、先に済ませられる方にあげてしまいましょう。その者達が宿の周囲を守ってくれるので収集できる範囲が広がります。足りない素材も集められますよ?」


「そういう感じかぁ。よし! じゃあコレ、やっちゃおう」


「はぁい。しかしその前にティティ様も呼びましょう。これはただの餌付けではなく契約なので宿の主には『2人共』居てもらわないと」


「ふん? ・・じゃ鍵もいるな」


オイラは収納ポーチからベスドーアの鍵を取り出し、もう起きて頭に氷嚢の乗せたままゴーレム相手に逃げまくった方が勝つルールの『フェザーフットチェス』をしていたティティを呼びにいった。


「お~い、ティティ! 出番だぞ?」


「んん?」


まだ軽くふらふらしてるティティを連れてきて、オイラとホネホネで樽の中の団子をそれぞれ地面にブチ撒けて山積みし、ジェルは樽ごとに離して置いた。


「ジェル系の餌、食べ難くないか?」


「普通に食べるならまぁそう何ですが、吸えますし、契約なので。・・では、レンダ様、ティティ様、供物を対応した幻獣達に与えて下さい」


「おお」


「じぁあ・・」


オイラはティティと小声で打ち合わせをしてから鍵を持ち直し、掲げた。


「「レンダとティティの名において、供物を与える!!」」


カッ! と輝くベスドーアの鍵っ。熱いくらいだ! それに反応して森に飲まれそうな宿から、『流動化した』無数の幻獣達が奔流になって飛び出してきたっ!


手足の無い飛竜ワイアーム、炎の犬ガルム、二本角の馬バイコーン、一本角のユニコーン、夢を食らう鼻の長い獣バク、頭に皿を乗せた亀のような魚人カッパ、木の精エント・・他にも様々な幻獣達が混ざり合って逆巻いてる!


「ちょっ、兄さん?!」


「どぉおおっ? ホネホネ! 思ってたのとだいぶ違う感じだぞっ?」


「契約ですから」


「「ええ~っっ??」」


ビビるオイラ達に構わず、幻獣の渦は取り囲み、狭まり、やがていくつかのグループに分かれて山積みの団子やジェルの樽に突進して、あっという間に食い尽くし、


「「「ギョウウゥゥーーンン!!!」」」


と全種の混ざった声で嬉しそうに吠えて、上昇して弾け、周囲の森に散っていった。


「あわわわ・・・」


「ランチの食べ方っ、ダイナミック過ぎるだろ?!」


「これで7割程の幻獣達と契約完了です」


オイラ達が唖然とする中、あっさり言うホネホネ料理長だった。

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