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料理長

集めた素材の初期加工ぐらいはしたい所だが、まずは野営の準備だ!


「もう起きれるから調理しやすいように炉くらいはどうにかするよ・・」


起きだしたティティがモソモソとオイラが簡単に作った焚き火用の炉を改良しだした。危なっかしいが、まぁよし。


「あたしは『スライム式トイレ』を作るかな・・」


「じゃ、私はゴーレム達に東屋と衝立を作らせよっと」


「オイラは給水樽(きゅうすいたる)でも設置するぞ」


それぞれ作業を始めたワケだが、


「・・んぐんぐ」


フラフラしてるティティの頭の上で、集めた『輝きのベリー』の1つを噛ってオイラ達を観察してるマリユッカ。


「オイ、『ナントカユッカ』」


「元の呼び名より呼び(にく)ない?」


「くっ、マリユッカ! 鍵見せてオイラとティティは正式に宿の主になったんだから、宿守のお前もオイラ達一味だろ?」


「一味て」


「仲間なら手伝えよっ」


「しゃーないなぁ、ほな、夕飯作るのにプロを()んだるわ」


「『夕飯のプロ』?」


マリユッカは光る粉を撒きながら羽根をはためかせ、地面に魔方陣を展開した!


「おいでましや~!『料理長』タツノジっ!」


魔方陣から闇のマナが噴出し、禍々しく白骨の腕が飛び出したっ。


「うっ、うう・・・ごごぉぉ」


少しずつ、陣から姿を表す白骨の人物!


「この気配! アンデッドかっ?」


「何か、予想がつくんだけど・・」


魔方陣からっ、コックの服を着た骸骨のモンスター、スケルトンが現れた!!


「スケルトンじゃん?!」


「兄さんコレはっ??」


コック服スケルトンは手に持っていたお玉とフライパンを構え、言い放った!


「はぁい、いらっしゃいまっせ~~」


「いや、いらっしゃったのは自分やし」


「あ、そうでしたぁ~、ナッハッハ!」


闇のマナと魔方陣は消え、そこには笑うスケルトンだけが残った・・


「おい、マリユッカ。色々わからない」


「説明お願いします」


「んー? コイツはタツノジ! 森の宿の前の料理長の弟子の1人やったけど、アンデッドだけに宿がこの世から消えてる間、ず~~~~~~とっっ、修行して、何やかんやで今回の料理長に出世したんや」


「ワタクシ、頑張りましたっ!」


胸を張るスケルトン料理長タツノジ。


「お前ら地味にきっちり世代交代してるよな」


「スケルトンが料理長・・」


「そう言えば宿の厨房にスケルトンが何体かいたね。下働きに使役してるだけじゃなかったのかい」


「というか、『その口と鼻』で味とか匂いわかるの?」


サクッと核心を突いてくる初孫!


「大丈夫です! ワタクシは『後天的超ユニーク個体スケルトン』なのですっ」


「後天的超ユニーク個体?」


困惑する初孫。


「はぁい、まず。ワタクシは亡き谷のダンジョンの一番最初の地上1階で、何かの拍子に『自我』を取り戻しました」


お、この話、長くなるヤツか?


「『色々あって』ダンジョンを抜けたワタクシは、ベスドーアの森でひっそり『フォレストハイスペクター』に進化しました」


色々あり過ぎだろっ。


「生前料理人だった事を思い出したのですが、骨系アンデッドでは味見もままならず、思い切って『モンスターとして進化した事実』を対価に食事する力を獲得したのです!」


思い切ったらイケるもんか??


「そこから森の宿の就職試験を受けて、厨房で働く事になったという経緯でした」


「そっかー、ユニークだね!」


軽っ、初孫??


「そやろ? 料理長にしたのも『逆に有りやな』ってなっ、アハハ」


「・・ま、いいや。ホネホネ、お前が料理長何だな」


「タツノジです! マスター」


「はいはい、じゃあティティが炉を造ってるから手伝って、出来たら何か有り合わせで夕飯作ってくれよ?」


「かしこりました。もう1人のマスター、よろしくお願いします」


「あ、はい。僕はティティ。兄さんの方はレンダだよ」


とにかく、オイラ達は急に地面から生えてきた料理長をゲットしたぜ!



すっかり夜になり、ちょい値段高めな虫を寄せないタイプのマナ灯のカンテラを点けた。虫除けの香も焚いてる。


既に専用種を仕込んだスライム式トイレ、東屋、着替えと湯浴み用の衝立、給水樽、しっかりした炉と即席の竈を仕上げ済み。


骨料理長作の夕飯タイムとなった!


「『ルイジ茸と玉葱とフラ豆と玉子のスープ』『ドワーフ好みの揚げ芋』『ベスドーア岩魚のスモークの柑橘締め』『森ルッコラと木の実と干しチーズのサラダ』『餅麦のソーダブレッド』『輝きベリーのパイ』『エールと冷やし煎り豆茶とハーブ水とジャム炭酸水はお好みで』となります」


どどんと! 東屋に敷いた防水敷き布の上に並べ立てるホネホネ料理長っ。2時間かけずにこのボリュームとクォリティ!!


オイラ達は歓声を上げ、ゼルアンが真面目なので食前の祈りをして食べだしたっ。


「スープ! 食べ易いっ」


「同じ料理なのに芋に癖が無いぞっ」


「ソーダブレッドがちゃんとパンだね」


「サラダ、無限に食べれそう!」


「良かったな~、タツノジぃ。現世でも通用してるで~?」


「はぁい。光栄です! ナハハハ!!」


すぐ調子に乗りそうだが、骨料理長! 即戦力だっ。

ついでに光画も撮っとくかっ! マリユッカ、ホネホネ、仲間になったぞ。

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