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レンダとティティの宿  作者: 大石次郎


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32/49

開通と3層のカジオ隊

ミィルスと一定技量の錬金術師の心得のある助手達が展開させていた立体魔法式にマナを込めた。


荒れている野営地の地面にもベースになる魔法陣と、そこに並べられた対価になるジェム等の素材も発光しだすっ。

特徴的なのは『錬成を補助するゴーレム』を3体活用している所。


「錬成っ!」


悪環境と経年で劣化し半壊していた荒野の魔除けの野営地が、ある程度復元してゆくっ。


「わぁ~っ、補修見るの初めてだけど、凄いね!」


僕は、翼を持つ馬の幻獣ペガサスに乗って他に飛行幻獣4体とシルフ3体、それから最近雇ったバルタン族の警備部の人達5人を連れてミィルスに同伴していた。


今日の事務仕事が午前中に粗方片付いたのと、兄さんは地下の蘇生所のハーディさんと1階の礼拝堂で司祭をしてもらってるモノさんが口論になってるのを仲裁してたから、僕が来た。

荒野の野営地はここが最後だしね。


「ティティ言ってらんないからっ、ズラかろう! うわっ、来た来た!!」


慌てて、それぞれゴーレム付き飛行絨毯に乗り込み、錬成補助ゴーレムも飛行形態に変形させるミィルス達。


そう、近くのボーンジャイアント達は一掃したけど、僕らはこの荒野のモンスター達に『余計な事しやがるヤツら』と完全に認知されてしまってるっ。

野営地付近にいつも昼間でも動けるタイプのモンスターが待ち構えていて、直した側から襲ってくる!


今回は(さい)のような形状の中型アンデッドの集合体『スカルチャリオット』の群れだった。

コイツら身体中の『角』を射出して遠距離攻撃してくるから魔除けの範囲外からバンバン攻撃してくるんだっ。


幻獣達とバルタン達の弓で牽制したり撃ってきた角を弾きつつ、僕らシルフの風の補助を受けて一気に射程外の上空まで離脱した。


「うっっ、気圧・・」


大気の障壁の性能が追い付かなくて、一瞬クラっときて耳もオカシクなったけど、離脱は成功!


「ふぅ・・何か普通に僕らが追い払われたけど、魔除け利いてるのかな?」


「大丈夫! 連動型なのと肝心の道の補修が観測所付近と森の西端付近しか済んでないから、時間差あるんだよ。ほら、開通!」


伝声器でやり取りしてると、上空から見ると途方も無く長い蛇のような観測所と森を繋ぐ魔除けの道と点在する野営地が発光しだしたっ。


簡単に補修した野営地を覆う魔除けの障壁が一気に拡大し、スカルチャリオットを弾いて追い祓っていった。


「す~ご~い~っ!! 後は、ゼルアン達とワードッグの作業員主体でもいけそうだね」


「お願いするわ。もう、最近寝不足で・・ふわわ」


絨毯の上で大あくびするミィルス。


「ふふ、ミィルスとアトリエのメンバーは2日完全休息してよ?」


「やった~。でもゴーレム達、色々な作業担当してるから、輪番で様子見ながら6日くらい掛けて休暇消化していい?」


「うん、それでよろしく! この間、従業員用のお風呂大きくしたからね」


「最高~。・・というか二番館、今、どうなったっけ?」


二番館ね。


「取り敢えず塀とマナ障壁で覆ったけど、何か日に日に『成長』してるみたい」


「え? 何か、コワ~」


そんな事を話しながら僕らはベスドーアの森へと帰還していった。



・・一方、カジオ隊は『何だかんだあって』非戦闘員だったクピド『ポポエル』を仲間にして、剥き出しの土と樹木が入り組み、日の光と同じ性質の光を灯す『陽火灯(ようかとう)』の燈台があちこちに設置された地下3層の探索をしていた。のだが、


「ふんぬっっ」


目玉のある樹木型のモンスター『ウッドアイ』の強烈な、枝の腕による振り下ろし攻撃『エコロジーチョップ』を鉄の盾で受け切り、踏ん張った足元の土の地面に岩トカゲのブーツを少しめり込ませるカジオ。


カウンターで銀のサーベルをウッドアイの幹の身体にある大きな一つ目に突き刺して仕止めた。


「『エンチャントウィンド』!」


ノイレミアは、下位の土の巨人族レッサートロルと対峙しているアーママが二刀流で持ってる、短剣『クリティカルラビット』に風属性を付与した。


素早い動作で大味な動きをする、レッサートロルの丸太のような棍棒を回避し、


「よっとっ」


飛び付き、風で刃の拡大したクリティカルラビット2本で交錯様にレッサートロルの首を跳ね飛ばす。


「カッパ流、秘拳!『暴爆拳』っ!!」


別にカッパに限らず一般的な拳打技ではあるが、マナを込めた連撃攻撃で、飛び掛かってきた黒毛ファンシーラットの群れを逆に叩きのめして一掃するヤッチ。


そしてカジオ達の新しい仲間、ややポッチャリ体型のクピド、ポポエルはマージケムシーノの群れに熱弾を撃つヒートショットの魔法や、拘束魔法の『バインドリング』を連打されていた。


「暴力反対ですっ、シャインフェザー!」


回避しつつ、翼から小さな光の刃を多数放ってマージケムシーノ達に突き刺し魔法の詠唱を止めるポポエル。


「シャインドリル!」


刺した光の刃を旋回させて抉り込むポポエル。


「シャインボム!」


抉り込んだ光の刃を体内で炸裂させ、マージケムシーノを全滅させるポポエル。


「神よ、不浄の者達に安らぎを!」


「攻撃がグロい・・」


臓物を降らせながら祈るポポエルにドン引きするアーママ。


「拳の勝利だ!」


とヤッチが言った側から死骸が集まって、黒毛ファンシーラットとマージケムシーノ数体がコソコソと遁走していった。


「『可愛い系モンスターは何となく復活して逃げる』、ほんと謎ルールですわ・・」


改めて困惑するノイレミア。


「それより回収して、一旦近くの野営地で立て直そう。アーママ!」


「はいよ~」


部屋の奥の台座には『宝箱』があった。これはダンジョンの魔法の対価であり、階層相応の品をダンジョン主は『突破者(とっぱしゃ)』に提供せざるを得ない。


台座を含め、罠を確認するアーママ。宝箱は素直に提供されるとは限らず、それなりの頻度で罠が仕掛けられていた。


「ん~、罠というか仕掛けは『アラームで喚ばれたモンスターを撃退しないと開かない』、てヤツだね。ミミック(宝箱型のモンスター)でもない。開けるよ?」


言った側からあっさり宝箱を開けるアーママ。中には、『ヒビの入った奇怪な手鏡』があった。


「うわ~、『残照物(ざんしょうぶつ)』引いた~っ」


残照物とはダンジョン主の魂が反映された生成物で、階層に応じた力の物がダンジョン内に様々な形で発生、配置、される。

以前、カジオ達が1層で回収した悲鳴のルージュも残照物であった。


これらは、階層に対して強力な魔法道具や素材となるが総じて呪われている。


「まだ触ってはいけませんわ、鑑定します」


(きのこ)ワンド』からの念力で手鏡を宝箱から浮かせるノイレミア。


「『アプレイザルロール』」


鑑定魔法で手鏡を調べ上げ、その情報を手元に出現させたマナでできた広げた巻物に記してゆく。


「ダンジョン残照物、『嘆きの鏡』。所持者がマナを込めて鏡面に対象映し、『足を焼け!』と命ずると対象者の足が強制的に炎上する。火力は中位攻撃魔法。ただし所持者のマナを3割程上澄みして火勢が増す。対象の大小は問わず、大きければ大きい程効率的となる。尚、使用後、鏡は砕け、消滅。同時に所持者は数分から小一時間歩行不能になる呪いを受ける・・とありますわ」


「『大物狩り』には使えそうだが、随分リスキーだな」


「回りクドいっ!」


「依頼されてないけど、観測所に持ってって換金しちゃおうぜ~?」


「・・いえ、特に攻略に必須ではありません。おお神よ! 光をっ」


ポポエルは頭上の光輪を発光と共に、光の柱を嘆きの鏡の真下から発生させ、消滅させてしまった。


「「「あーーっっっ??!!!」」」


唖然とするカジオ達。


「ポポエル! おいくら万ゼムになると思っているのですのっ?!」


「レイドでも使えそうじゃんよっ?」


「残照物を使った探索者はダンジョン主と心が繋がってしまい、生存しても惑わされてしまいます。またうっかり残照物がダンジョン外に持ち出されば、呪いが思わぬ変質を経る可能性もあります。ゆ・え・にっ! 攻略に必須ではない残照物は発見っ、即っ、浄化なのですっっ!!!」


「いや~、ポポエル。今回は偶然だったけど、残照物回収はわりとよくあるクエスト何だよ。基本的にイグエル様の管理下の元に収まる訳だし、今後は相談してくれないか?」


口を尖らせるポポエル。


「・・考えないではないですが、神の御心(みこころ)のままにではあります」


「曖昧ですわっ」


「だからクピド連れてくのはめんどっちいって言っだよ~」


「過ぎた事はしょうがないっ、拳は前へ進めと示している!」


「ヤッチの『拳文法(こぶしぶんぽう)』便利過ぎじゃん?」


「まぁ、すぐに地上に帰還するには微妙なとこにいるし最近は残照物の横取りも横行してるから、今回は逆に良かったかも? て事にしとこっ。まずは野営地だ!『4号野営地』辺りがいいんじゃないか?」


カジオはマップを広げて見せながらこの話題を打ち切って部屋の出入口に歩きだし、ノイレミアも溜め息をついて茸ワンドをクルっと回してから腰の後ろの鞘に差して続くと、他の3人も続いた。


「あー、腹減ったね」


「特別にヘブンペロペロキャンディー食べてみますか?」


「それ、人間が食べると『飛んじまって』中毒になるって聞いたけど?」


「ふっふっふっ」


「悪い顔してるし・・」


「野営地に着いたら俺が『(こぶし)のパンケーキ』を作ってやるぞぉ?」


「『拳』いらないだろっ」


この後、カジオ達は無事、何組か他のパーティーも居た野営地に到着し、名前の割に至って普通のパンケーキを食べて腹ごしらえをしたのだった。

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