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レンダとティティの宿  作者: 大石次郎


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二番館とボーンジャイアント狩り

ティティを後ろに乗せ、飛竜を駆っていた。

護衛は幻獣の猿と寅と狸と蛇の特徴を持つ空を駆ける『ヌエ』と、額に宝石を持つ竜『ヴィーヴル』と、巨鳥『アンズー』。

蝶の羽根と風車の杖を持つ風の精霊のシルフも飛竜の頭に乗せてる。


ベスドーアの森の西端の森の道の終点予定地点と、亡き谷の観測所を結ぶ魔除けの道の跡を辿って確認中。


ある程度間隔を空けて9箇所の魔除けの野営地の跡もあったが、内、森の西端に近い2ヶ所はゼルアン達がヒポグリフで降下して簡単に補修していた。

道と野営地の魔除けは連動していて、野営地の魔除けが機能すれば道の補修もやり易くなる、というワケ何だ。


「後、7ヶ所かぁ」


「いや兄さん、3ヶ所は状態が悪くて短時間でサッと直すのが難しいんだよ」


「じゃあミィルス達、錬金術が使えるヤツらを降ろしてドーン! と錬成させたらどうだ? 急場しのぎでいいんだろ?」


「錬金術・・その手があったね。ちょっと考えてみ」


ティティが言い終わらない内に幻獣達が殺気立ってシルフが緊張し、続けて飛竜とオイラ達も察知して下方の荒野の先を見た!


ボーンジャイアントが巨石を思い切り振りかぶってるっ! それも3体!!


「ちょっ?!」


「投擲だぞ!!」


魔法障壁の切れた小型の砦なら1発で吹っ飛びそうな巨石を一斉に、正確にっ、投げ付けてきた!


ヌエの『電撃』とヴィーヴルの『熱線』とアンズーの『怪音波』で3つの巨石を砕きっ、シルフの『大旋風』で牽制する!


「撤収っ!」


「シルフっ、飛竜をフォローしてあげて!」


シルフに風の護りを強化されたオイラ達を乗せた飛竜は幻獣達と共に高度を上げ、ベスドーアの森の方へと遁走を始めた。


ボーンジャイアント達は怯んでる間に攻撃が届かなくなった事を悔しがり「ボォオオッッ」と、吠えていた・・



戻ったオイラ達は取り敢えず、空いてる2階のパーティー用の小部屋に食堂が忙しくて抜けられないタツノジと、宿泊客とプラウニータワーのトーナメント戦イベントをやってるナガとツチタ以外の初期メンバーで集まって対策会議を始めた。


「ボーンジャイアントはダンジョンの成長に呼応して増えて凶暴化してる! 今日もサスケに乗ってたら危なかったよ」


「ちょっと間引きしないとマズいのは確かだぞ?」


「悪いが観測所から騎士団を出す余裕は無い。クピドはどうにゃ?」


「十数体・・、非戦闘員も補助で入れるなら二十体程度は出せるか? 非戦闘員も最近は地上階で訓練しているからそれなりらしい」


「駆除もいいが、工事までミィルス達に頼るというのはどうなんだい? 荒野の道の補修もゴーレム主体でいくんだろ?」


「ゴーレムは事前に量産するし、私1人で使役するワケじゃないから大丈夫だよ? ただ私、あくまで人形使いであって錬金術師じゃないからなぁ。ガチの錬金術師はむしろ転送門の専門家の人達だと思うけど?」


「うーん、それは無理かも? 今あるの転送門の維持とダンジョンの近距離転送門の新設や維持も手伝ってるから。少しは増員できたけどそれでも『5人』だけだし・・」


会議が軽く煮詰まる気配が出てきた。ブルーベリー食ってるマリユッカに振ってみるか。


「ピクシー達はどうだ?」


「ウチ以外は森から出れるけどな。まぁ『必殺ピクシーボム』くらいなら造ってもええよ?」


「何だよその雑な感じのアイテム・・」


ティティがロンダの手記何かの資料を纏めてるらしい手帳を凄い速さで繰りだした。


「あった! ピクシーボム。ピクシー族が造る『凄い爆弾』。物理とマナで木っ端微塵にする。ただし製造が大変な為、中々造ってくれない・・てロンダの手記にはあるね」


「へぇ~」


「貴重な物何やで?」


ドヤ顔のマリユッカだったが、ボーンジャイアント対策の目処は何とか立ちそう、かな?



クソヤバい事や『近い内にバトるの確定』となっても、通常業務は普通に山積してる!

随分混み合ってきた森の宿の中をちゃっちゃっと歩き、「全然来ない」と文句を言われてた『裁縫部』に厨房で造ってもらった焼き菓子を手土産を持って行った。

客の服系装備の補修具合や最近だいぶ埋まってきてるティティの部屋の商工店や森の門何かに卸す商品を見て、


「色味がいいなぁ!」


等とペラい事を言って裁縫部メンバーのご機嫌を伺い、ボロが出る前に早々に退散っ。続けてナガのブラウニータワーのトーナメントの優勝者を表彰をして、


「この大会は『ずっと君のターン』だった!」


これもテキトーな事を言って会場になってるクラン用の大部屋を盛り上げていると、


ゴゴゴゴッッッ!!!!


地響きっ、宿全体が少しの間揺れた。

直後、ティティの声がラッパ型のマナ式館内拡声器から流れた。


「お客様、地震ではありませんが落下物には御注意下さい。従業員は周囲の安全確認をお願いします。『鍵の管理者』は宿の前まで集まって下さい」


鍵の管理者というのは初期メンバーの事だ。でも『宿の前』なのか?

それでもオイラは途中で初期メンバーの何人かと合流しつつ、宿の前に出ていった。


そして、


「ええーーっっ?!」


「生えてる~」


「はぁい、これは」


「にゃー??」


「本質的には霊木何だろうな」


「あんれまぁ」


「元気ニ育チソウ」


ティティとゼルアンとマリユッカは先に来ていたが、後から来たオイラ達はかなり気圧されたっ。


農園の無い、宿の西側のただの草地だった所に『小型の森の宿』が生えてきていた!!


「オイっ、何だ? 家が生えてんぞ?」


「別所で建てて召喚したんじゃないの?」


「何だ何だ??」


宿の西側の窓から見たり、たまたま外や出入口近くにいた客が野次馬になりだしていた。


「『新館』を錬金術で造ってみたのですが、ちょっと派手に組み上げてしまって、お騒がせしました~」


ティティは収納ポーチからマナ式手持ち拡声器を取り出して呼び掛けた。


「何だ~」


「やっぱり!」


「まだ使えないのか?」


野次馬は多少は落ち着いたが、人は次々と中から出てきたり覗いたしてきていた。


「どーなってんだ?」


駆け寄って小声で確認する。


「御先祖様の手記にあった『二番館(にばんかん)』だよ」


「だいぶペース早いけど『本館』にそんだけマナが溜まった、ゆう事やな。因みに二番館は『また別に宿の主が』必要やで?」


「え~?」


「主が決まるまで補修も何も手が出せないそうだ。参ったね」


「でも何か、童話みたいに丸っこくて、可愛い宿ね」


ミィルスが気軽に言う。


「そやけど、二番館は『本館の有り様』と『ダンジョンの有り様』を学習して生えてくんねん。コレは切り札になるかもしれへんで~」


「そうなのかぁ?」


「でも、お客さん達がちょっかい出すとややこしいから、こっちの宿の主が決まるまで、塀何かで覆っておこうよ」


『ファンシーな兄弟姉妹館』は暫く保留になった。いや、急に生えてきたなぁ。



・・2日後、飛竜や飛行絨毯に乗ったオイラ達と飛行ゴーレム5体、観測所の助っ人クピド二十数体と飛行型の幻獣十数体は、必殺ピクシーボムを1人数個ずつ所持して件の亡き谷近くの荒野に来ていた。


地上でハーディ婆さんとその助手の霊術師チームと戦えないサラ猫が『屍鬼香(しきこう)』というアンデッドを呼び寄せる香を焚き、シルフ達が風を操って荒野の方々へと傷んだ豚骨スープみたいな臭いの香の煙を飛ばす。


「来たよ! レンダ兄さんっ」


荒野の向こうからボーンジャイアント『数十体』が現れた。午前中の日差しがあるから狙い通り、中級以下のアンデッド達は混ざってない。よしっ!


「婆さん、猫、撤収っ!」


「言われんでもっっ」


「にゃーっ」


伝声器で伝えると、ハーディ婆さん達は慌ててサスケを含むヒポグリフ達に乗って森へと逃げていった。シルフ達はオイラ達の支援に回るっ。


「工事の邪魔だっ、ボコすぞっ?!」


伝声器を繋いでる全員に地上げ屋みたいな事を呼び掛けたら、全員勝手な掛け声で応えてくるから、


「ウェオアゥワァアアーーッッ!!!!」


とよくわからない声しか聴き取れないがっ、やってやんぞ!!!


数十体のボーンジャイアント達は早速オイラ達に投擲してくるが、これは幻獣達が一斉遠距離攻撃で迎撃! 続けてシルフ達が旋風で怯ませる!!

ここまでは前回と同じだが、今回のオイラ達は突進するっ!


中距離になり、オイラ達を巻き込まない為に旋風が解除されるとクピド達の神聖属性の放出系攻撃と幻獣達の追撃で牽制を継続しつつ削るっ!


接近するとオイラ達とゴーレムでピクシーボムで全弾爆撃!! ドドドドッッ!!! と幻獣達やクピド達の攻撃を上回る火力で一気にボーンジャイアント達の半数を仕止め、残りもさらに削って、仰け反らせた。


だが、こっから厄介! ボーンジャイアントは近接になると『日光で即、消滅しない程度の浮遊する分体』を身体からガンガン出してくるっ。


「幻獣とクピドの火力メインだっ、オイラ達は陽動と牽制! シルフはオイラ達を守れ!!」


総力戦で残存の巨体で暴れるボーンジャイアントと、喰い付いてくる分体の始末に掛かった! コンニャロ~っっ。



そうして昼過ぎ、全員ボロボロになり、ゴーレムは全機撃墜されたがオイラ達は完勝した・・


「勝、た・・・ぞ」


さすがにオイラ達は全員地上でヘバっちまった。


「さ、先にクピド達を、回復させよう。天使は、ペロペロキャンディーで、すぐ元気に、なるから・・」


気力を振り絞ってヘブンペロペロキャンディーを取り出し、ボロボロのコック服でヘタり込んでるヨムエルの頬に押し付けるティティ。


「我々を『アホの子』みたいに言うな、たくっ。ちょっと待て、順にどうにかする。ここはアンデッド以外にもモンスターが多い」


ヘブンペロペロキャンディーを奪って、ペロペロせずにバキバキ噛み砕いて食べだすヨムエル。


まぁどうにか、助かりそうだぞ・・はぁ、しんどっ!

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