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レンダとティティの宿  作者: 大石次郎


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レイドミッション

環境が環境だけに植えた側からどんどん育つ!

ホクホク美味しい森スィートポテトに森ジャガイモに森里芋に擦って生でも美味しい森長芋!

森トウモロコシ、各種森豆、森の野菜も続々っ! 温室に向かない果樹も順調に育ち、結構増えたヤーケン山羊にメルメル鶏、灰茶(はいちゃ)豚何かもスクスク育つ!!

飼料だけはフラ草原から仕入れなきゃだが、補って余りある収穫ボリューム!!


「のっほっほっほっ」


「にゃっはっはっはっ」


これにオイラも猫役人のサラも上機嫌! 獣舎を拡大するついでに森の宿の脇に『農園』を造る事にしたんだぞ?

ナガの相棒のツチタの『大地のパワー』がどんどん高まって、仕事の合間のブラウニータワー遊びだけじゃ発散できなくなったから、農園の管理に活用する事にも生ったのさぁ。

今も中央の『ツチタの祭壇』でナガとマリユッカに応援されながら農園にパワーを注入してる。


「私はこれを機会にこっちの小屋に移るからな! 温室は暑苦しいにゃっ」


勝手に端っこに小屋を建てさせた猫役人。


「おお? サラ猫、温室はどーすんだよ?」


「何となく『あそこの顔役』にみたいにされてたが、温室管理はそもそも専門家が何人も居る! あっちの小屋はセバスチャンに任す。彼は南国出身だからお気に入りにゃ」


「お前の護衛だろ?」


「『改まった時』は同伴させるにゃ!」


「・・ま、お前らがそれでいいならいいんだぞ。それよりヤーケン山羊の乳搾りに行こうぜ? アイスクリーム作るとめちゃ売れるんだ! 試食できるぞぉ~?」


「しょうがないにゃ~」


「のっほっほっほっ」


「にゃっはっはっはっ」


オイラとサラ猫は小躍りしながら新しい従者に向かったんだが、試食まで長々とやり過ぎて、


「兄さんっ、ドラゴリリーさんっ、いつまで農園でサボってるんだいっ?! 観光客なのっ?!!」


と品質チェックに来たティティにバチクソに怒られて(オイラ達は農園の仕上がり具合を見たらすぐ通常業務に戻る予定だった)慌てて退散した。

サラ猫も物産の交易調整やらされてるからな・・トホホ、だぞ。



本国から派遣された最初の冒険者パーティー、カジオ隊が亡き谷のダンジョンに投入されて20日が経とうとしていた。

迷宮初心者対応を済ませたパリカリは既にフラ草原へと帰還している。


一通りの探索の終わった地下1層の7ヶ所に仮設の聖堂が建てられ安定化させられる中、地下3層では・・


生え抜きの冒険者、新たに投入された本国の選抜トーナメント中位者、徐々に休息から復帰しだした初期から対応している騎士団とクピド達で構成された『攻略隊』による、3層の階層守護者『魔獣クック』に対するレイドがまさに今、行われていた。


「コッケェエエーーーーッッッ!!!!」


木と土の身体を持つ巨大な鶏のような魔獣は首から提げた『クック』と魔族の言葉の印されたプレートを震わせ、大量の石化ガス『メガペトロブレス』を撒き散らした。


上層の守護者達同様、無数に眷属の3層のモンスター達を従えていたが、やはりお構い無しに石化させ、続けて放った『大地響(だいじひび)き』で打ち砕いてゆく。


攻略隊は魔法障壁を張られた最前列の戦士職達が大盾にマナを込めてそれを防ぎきり、クピドや魔法使いや僧侶系職の物達の魔法支援を受けた攻撃役の戦士職達が石化と地の衝撃に耐えた眷属群を蹴散らし、クックの足元に殺到する。


「コカァッッ!!!」


巨大な鶏足による連続踏みつけ『巨人の地団駄』、巨大な嘴による石化のつつき『大凶鳥(だいきょうちょう)の口付け』、羽ばたきによる竜巻『大旋風』、百数十発の石の槍魔法『ロックランス』を続け様に放つ魔獣クック。


不運な者や力の及ばない者は、即死し、石化し、早期回復困難な重傷を負ってリタイアさせられたが、


数の暴力がこの損害を圧倒してゆく。


「オオォォォーーーっっっ!!!!」


「頭部を狙えっ!!!」


「目だっ!!」


「登れないヤツは足首いけっ!」


「クピドも前衛来いよっ?!」


攻撃役は蟻の大群のように魔獣クックに集り、後衛の魔法攻撃で翼は破壊され、回復の済んだ大盾持ちも合流し、片眼と片足が破壊された。


これにフロアを揺らし十数名の間の悪い者達を下敷きにしながら魔獣クックが倒れ込み、これを合図にクピド達も虚空から出した武器を手に突進を始めた。


「正義ぃいーーーっっ!!!」


「エンジェルナイトに出世だぁーっ!!」


「捕捉! 有罪! 実刑っ!!」


一気に全体の攻撃力が上昇し、こうなると魔獣クックはロクに反撃できずに頭部を粉砕され、全身を塵に変換されながら、プレートだけを遺して滅びていった。


同時に魔獣クックの眷属の内、黒毛ファンシーラットや、マージケムシーノといったヌイグルミじみたモンスターだけは『死骸の破片が集まって』いくらか復活して広間の隙間から逃れていった。

挑戦者達はそんな事には構わず、


「完勝っ!!」


「3層踏破ぁーーーっっ!!!」


「うぉおおおーーーっっ!!!」


「石化解いてやれっ!」


「『綺麗に死んでるヤツ』はこの場で蘇生だ!」


「無理そうな死体の復元すっぞ~」


それなりの損害を出しつつも見事、魔獣クックに対するレイドを成功させ勝鬨(かちどき)を上げていた。



・・・一方で、最初の冒険者として妙に悪目立ちしてしまい、やや気まずい立場であったりもするカジオ隊は地下ではなく、地上階にいた。


休暇ではなく、遺跡そのままの地上階は放置されがちな為、魔除けの甘いエリアにポツポツと涌いたりする弱いモンスターの処理が定期的に必要であり、そのクエストで来ていた。

但しメンバーは彼らだけではない。


「ううっっ、実戦! 実戦だっ!」


「くくく、我がザーモント家に伝わりし、『蜃気楼の呼吸の秘剣』! 今こそ見せようぅ」


「おお神よっ、暴力反対です!」


見習い騎士や武芸の心得のある武官、非戦闘員のクピド達も十数名同伴している。

カジオ隊はその同伴であった。


「「「・・・・」」」


堅実に資金を貯め、装備を買い直し、3層に突入できそうな格好のカジオ隊であったが、今は『無の表情』で緊張感の無い『演習者達』に付いていた。


「カジオ、ホイホイ引き受け過ぎですわっ」


「しょうがないだろ? 新しい装備は揃ったけど持ち道具や他の物資代が足りなかったし、俺達、観測所の人らに覚えられちゃってるし!」


「あの『美人褐色天使』に頼まれたからじゃないの~?」


「っ?! 違うしっ」


「何でもいいから、俺達もちょっとは戦おう。拳が鈍る」


「戦うって言っても、地上1階だしな」


と言ってる側から、物陰から野犬と変わらない戦闘力の『栗毛ファンシーラット』、根型の植物モンスター『オドロネ』、小型のスライム『シラタマスライム』が続々と現れた。

どよめく演習者達。


「あ、落ち着いて下さいね~、栗毛ファンシーラットは動きは激しいですがパワー無いんでパニックにならないように。オドロネは絡み付かれなかったらどってことないです。シラタマはまぁ、囲まれなければ」


「わぁーっ?! 何て狂暴な獣だっ!!」


「『3の呼吸』・・あっ? 待て、まだ技を出してないっ、あ痛たたっ?! 絡みつかれたっ!」


「暴力反対っ!『シャインフェザー』っ!!」


クピド達は口とは裏腹に普通に反撃していたがやや大雑把で同士討ちしそうな勢いで、見習い騎士達と武芸の心得のある武官達はひたすら混乱していた。


「あ~・・ノイレミアは回復よろしく。ヤッチとアーママで程々に敵の数を減らしてやって。俺はクピド達がやり過ぎて他の人巻き込まないように誘導するよ」


カジオ達は困惑顔でフォローに入る。


実は、『半端な実力と準備で3層の魔獣クックへのレイドミッションに参加させられそうになったから』この仕事を独断で引き受けたカジオだったが、これはこれで厄介な仕事であった。

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