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レンダとティティの宿  作者: 大石次郎


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カジオ隊の特訓

観測所の話だとサエモン達は今朝、ダンジョンに潜ったらしい。『5人だけで』2層の階層主を始末するとか。どんだけだ・・


ま、『ガチ勢』は一先ず置いとくとして、現状問題はコイツらだっ。


「よし、ダッシュダッシュ!!」


頭にマリユッカを乗せゴーグルをしたオイラは幻獣バイコーンの背に乗って、トーテムの周りで走り込みをさせてるカジオ達を先導していた。


「ふぉおおっっ!」


「拳王への一歩ぉーーっ!!」


「ちょっとっ、わたくしっっ、賢者職何ですけどっ?!」


「はぁ~、まず客何だけどさぁ・・」


賢者のハーフノーム、ノイレミア以外は付いて来れてるな。うむ。


「トーテムの周りはめちゃ片寄った各属性のマナに満ちてて、足腰心肺を鍛えつつ、魔法の適性もズンズン上がるぞっ?」


「客があんたらだけで暇やねん。構ったるわ~」


「暇潰しですかっ?!」


「後30周っ!」


「「「え~っ?!」」」


「途中で死なんときや? ほい、ヒールライト!」


「皆、頑張るべさ~」


「一層デ全滅シナイデネ?」


ナガとツチタも日課のトーテムの調整をしながら一応、応援してくれてる。


カジオ隊は初日は転送酔いになってたけど、そこから4日、ダラダラと国費で食っちゃ寝させて風呂に入れ続けても、『元々弱っちいのによりフニャフニャにして出荷するだけ』だ。

今日明日くらいは宿で手の空いてるタイミングで従業員が交代で特訓に付き合ってやる事になったんだ。この『トーテムダッシュ』はオイラの特訓にもなるしさ。



はい、兄さんとマリユッカのトーテムダッシュの後は男女別に大浴場で汗を流してもらうワケだけど、折角だからここでも特訓してもらおうかな?


「じゃ、カジオさん。ヤッチさん。『特上薬草風呂の中で棍棒を持った幻獣カッパから逃げ回って下さい。疲れても溺れても殴られても、特上薬草風呂の効果ですぐ回復しますから』」


「頭オカシイんですかっ?!」


「ふぉーっ、やってやるーっ!!」


「カッッパァアーーーっ!!!」


よし、カッパさんもやる気満々で素振りしてるね。と、


「きゃーっ!!」


「最悪っっ!!」


女風呂の方でも始まったみたいだね。あっちはミィルスが『水陸両用型拳闘ゴーレム』をけし掛けてるからね・・。


「じゃ、スタート!」


「カッッパァアーーーっ!!!」


「うわぁーーっ?!」


「拳王背泳ぎっ!」


うん、いい機会だから薬草風呂の回復力や風呂自体の耐久性も計測しないとね。メモメモ、と。



よれよれになってしまっているお風呂上がりのカジオ隊の皆さんを食堂にて、ワタクシとヨムエルさんで合作した『スペシャルトレーニングランチ』でおもてなししていました。


「はぁ~、タツノジさんとヨムエルさんの料理はホント癒されます」


「魔法食材をふんだんに使ってますわね? マナで満ちてますわ!」


「ここだけ普通の宿だよ」


「ウマいっ!」


機嫌よく大盛りのランチを皆さん完食され、食後のドリンクをそれぞれ飲まれ始めました。


「・・タツノジ、そろそろだな?」


「はぁい、『遅効性』なので」


「え? 何です?? ・・うっっ?! っ!」


「ああっ?」


「がっ?!」


「ふぉおおっっ?!」


カジオさんは『毒』と『沈黙』、ノイレミアさんは『石化』と『小人化』、アーママさんは『混乱』と『麻痺』、ヤッチさんは『魅了』と『老化』の状態異常を発症した。


「お前達にはそれぞれの耐性でギリギリ克服できる成分量の『状態異常料理』を食べさせた」


「はぁい。効果は時間差で全種類まんべんなく発症します。しっかり克服して、実際のダンジョン攻略でも役立てて下さいねぇ?」


「「「・・・ッッ」」」


ただしどれも美味しく、栄養は満点ですからねぇ?! ナハハハっ!



午後、側に老騎士セバスチャンが控える緑と熱気に満ちた『私の職務室』のティーテーブルにカップを置き、カッと目を見開き言い放った。


「部屋が暑苦しいにゃっっ!!」


「温室ですからね・・」


温室内にカジオ達の連中が来ていた。すっかり、やさぐれた顔をしているな。


「またイカれた特訓でしょ?」


「絶対ダンジョン一層の方がここより楽だよ」


「ふぅーっ、来い!」


私は椅子から立ち上がり、溜め息を吐いた。


「言っておくが、私は『そっち側』だからな? この宿の様子のおかしい連中と一緒にするなよ?」


と言いつつ、4人の足元の土に既に植物活性化に特化した『ファームポーション』を適度に染ませて置いた『種』をスッと撒いてやった。


「「「?!」」」


種は一瞬で芽吹き、発生した食人植物はあっという間に4人を一呑みにしてしまった。


「「「んーっっ?!!」」」


中で喚くが上手く脱出できないようだ。フッ、それもそのはず、


「ダンジョンに食人植物等の『丸呑み系』のモンスター類は付き物だ。そして、これらの存在の大半は『何らかの無力化特性』を持っているにゃっ! そこでカジオには『無気力化』、ノイレミアには『マナ吸収』、アーママには『緩慢化』、ヤッチには『非力化』の特性の物を当てがった。それぞれギリギリ地力で脱出できる塩梅になっているはずだ。生存力を見せてみろ! ・・因みに『3分で全ての体毛と非金属装備が溶ける計算』だからにゃ?」


「「「むーーっっっ??!!!」」」


急に内部からの抵抗が激しくなったが、私はセバスチャンにお茶のお代わりを頼み、山積している国に属する観測所と森の門の人員と物資と現金予算の調整の書類に取り掛かった。


こっちが本業にゃ。



ガレージは壊れたら困るし、他も下手な事はできないから、宿の中でも頑丈かつ『地力で再生する力も強い』、ピクシー達の広大な屋根裏部屋で待っていた。


ここは精霊界に近い環境らしく、草花や地衣類や茸が生え放題で、発光現象もかなり有る。特異だ。大工の勘としては『本来の森の宿はこのような妖精の溜まり場に過ぎない』のではないだろうか?

ま、それはともかく、カジオ隊が来た。全員風呂に入り直して平服に妙につるんと角質が新しくなったような顔をしているが、目だけは完全に据わっていた。


「いい具合に仕上がってるね?」


「・・ゼルアンさんの特訓は? もう最初から油断しませんよ?」


「ふふ、あたしのはシンプルだよ?」


ピクシー達に手で合図して守りの魔方陣を周囲に展開してもらいつつ、近くに置いていた丸太を旋回させてから担いだ。


「ただの模擬戦。あたしに1本入れてごらん。『材木』はミスリルハンマーより柔らかいから、優しくしてやるよ?」


「甘く見られては困りますわっ!」


「既にここまででステータス爆上がりだからさ!」


(こぶし)の王に、俺はなるっ!!」


「行くぞ皆っ」


「「(おう)っ!」」


4人はカジオは変則的、ヤッチは直線的な突進。ノイレミアは『ヒートショット』の魔法を連射、アーママは死角からのブーメラン投擲、か。


「悪くないね」


けどまぁ、パコォンッ!!! と、丸太の一振りで全員魔方陣の障壁まで吹っ飛ばして昏倒させた。


「ピクシー達が『エリクサー』くれたから、後3回くらいは『起こせる』かな?」


あたしは早速エリクサーをノビてるカジオ達に振り掛けに行った。



・・・夜、カジオ達が地下の転送門から脱走しようとしたから、先読みしていたオイラ達は即、捕獲した。


「おい、チェックアウトは早いぜ?」


「あと3日分、既に料金を払い込んでもらってますよ?」


「ゆっくりしてきぃや~~っ?」


「「「嫌だぁーーーっっっ!!!!」」」


カジオ隊の悲鳴が森の宿の地下室に響き渡った。心外だぞ?

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