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レンダとティティの宿  作者: 大石次郎


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亡き谷の観測所

久し振りに空を駆ける。やっほぅっ。


オイラとティティはヒポグリフに乗って、飛竜を使う管理監の猫女と騎士団の連中と亡き谷の観測所に向かう事になった。


その間、ゼルアンと大工達はゼルアンのガレージとミィルスのアトリエ造りをやってもらってる。

ミィルスとゴーレム達はマリユッカの指導で数が足りない精霊達用のトーテムの補強材を集めてもらうことにした。

タツノジは保存食造り。

雑用で雇ってる連中は2階に発生していた温室の手入れ。マリユッカ以外のピクシー達はハーブ集めは済んだんで幻獣達に餌を配って様子を見てもらう事にした。


ミィルスは観測所の設備を見たかったみたいだけどしょうがないぜ。


「猫! 観測所ってどんなとこだ?」


伝声器で聞いてみる。


「ドラゴリリー卿と呼べ!」


「ゲロ猫卿!」


「兄さん」


「・・もういい。幼児かっ。はぁ最悪だ。なぜ私がこんな辺境で・・。このような最果てのダンジョン監視施設には私も行った事はない。大体、お前達の方がすぐそこにしばらく居たんだろう? 遠目にダンジョン付近の偵察くらいしたらどうだったのだ」


「忙しかったんだよぉ」


「それに、案内してくれる人がいないと観測所は入れてくれないでしょうし」


「我々は案内人ではない」


「管理監殿、そろそろ森を抜けます。ここからはモンスターに襲われるリスクが上がりますので」


「にゃっ? ・・おほん。わかった」


西へ飛び続けて森を抜けると、一気に大気が殺気立った物に変わった。まずは荒野が続く。

荒野にはまだ明るいのに骨の巨人『ボーンジャイアント』何かがウロついてる。


「ここは冥府に近い、雑魚でも無数に集まればあのようになる。高度を上げるぞ?」


「はっ!」


「投擲ヤバそうだしな」


「ダンジョンのせいで増えてるんだろね」


一旦高度を上げて飛ぶ事にした。

内心、ダンジョンまでの地上の道通すのやっぱ大変だな、て思いつつ・・



いよいよ近付くと荒野は岩場に変わり、大気はより明確に邪気をはらみだす。やがて北東から南西へと大地に裂け目が現れる。


アンデッドの巣食う忌み地、亡き谷だ。


オイラ達は全員、聖水を被り直し、谷の上空を北東へと進んだ。

その先に朽ちたような遺跡が見えてきた。ダンジョンだ。入り口は、開いてる。


観測所はそこからやや離れた位置の崖の上にあった。

マナ式のアイロンを逆さまにしたよう形で、平たい屋上に温室と発着場とドワーフ式の砲台が見えた。

観測所を覆う魔除けの障壁はかなり強固で、発着場や地上の検問所まですっぽりと覆ってる。


「どーやって出入りすんだ? コレ??」


「昨日、水晶通信で確認した限りでは『案内』を出すらしいがな」


「案内?」


「人が障壁の外に? それもリスキーですね。資料では天使族を」


何て伝声器では話していると、オイラ達の周囲で急速に光のマナが高まり、幼い合唱のような声が周囲に響き、宙に子供の姿をした天使達が出現した。


「クピド! 小天使(しょうてんし)かよっ」


「にゃあ・・」


「何と神々しい」


「昔からこの観測所は天使を使った、とあったけど、わりとダイレクトっ」


クピド達は冷然とした顔でオイラ達を光の魔法陣で鑑定し、問題無いと見るとテレポート用らしい魔方陣を展開し直した。


「わたしは粗相を許さないからな? 森の者ども」


転送される直前に巻き毛のクピドの1人がそう警告してきた。当たり強ぇ。



テレポートした先は窓の見晴らしのいい広間で、上空からいきなり床近くに飛ばされてヒポグリフと飛竜達が大気の護りを解いて着地するのにあたふたした。


広間には神像が飾られ、聖堂風でもあったが、神像の前に置かれた竜の装飾された玉座のような椅子には頭上に光の輪を浮かせた褐色の肌のロングフット族のように見える女が座っていた。

古風な軽量鎧を着ているが、+3評価は付きそうな白物だ。


褐色女の左右には国の武官と文官らしいヤツらがズラっと並んでる。

オイラ達と一緒に転送してきたクピド達は飛んで褐色女の側に控えた。


「『亡き谷の物見台(ものみだい)』へよく来た。サマークラウン氏の小人達よ。・・猫もな」


「っ?! 無礼なっ。私は西部辺境特別管理監のサラ・ドラゴリリーだ!」


「管理監殿っ、この方はおそらくっっ」


「何だっ??」


ちょっとわからん感じになってきたぞ?


「あんた誰だ? 頭の上に輪っかがあるから天使関係か?」


「その関係だ」


褐色の女は立ち上がり、背に翼を出し、頭上の光の輪を強く光らせ浮き上がった。


「私はエンジェルナイト、イグエル。この時代のこの物見台を守護し、亡き谷の迷宮に便乗する魔族どもを見張る者だ」


「守護天使様?! うっ、失礼しました・・」


猫と騎士達は慌てて飛竜から降りて、膝をついた。


「兄さん、僕らも降りるよ」


「え? そんな偉いのか?」


「いや、僕らは教会とかはあんまり関係無いけど、責任者的な人だし、乗用獣からは降りるでしょ?」


「あ~、まぁなぁ」


取り敢えずサスケからは降りた。サスケが無駄にピカピカ光る天使達にビビってるからこっそり林檎も1個やる。


「・・で? イグエル。お前、ダンジョン見張ってんだろ? 今、どんな感じよ?」


「兄さんっ?」


「小人っっ」


「イグエル様に無礼だぞっ?」


「観測所内でも滅多に姿をお見せにならないのにっ!」


「とっても良い匂いがするんだぞ?!」


何かざわざわしてきた。え~?? 敬語か? 要敬語だったか??


当のイグエルは笑みを浮かべた。


「よい。ロンダの子孫ならばこんな物だ。アレにはクピドであった頃、林檎をもらった事もあった」


林檎を食べてるサスケを見てるイグエル。サスケは「渡さんぞ?」て感じでイグエルに尻を向けて林檎を食べだした。


「元より情報交換だ。森の宿の回復具合も聞きたい」


「よっしっ」


何だかんだで話し合いになったぞ? 林檎で機嫌取れそう何て、結構チョロいヤツかもしんないぜ?

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