政治家―明石組―未成年、接着剤B
隼人が話し終えると、
「なんとまあ、もうマンガみたいだね」と幸雄。
「さすが肉体派」と美里。
龍博が立って言った。
「ここで、やっと道京会が出てきた。なおB氏とやくざ、未成年売春について新しい情報がある」
「何だ」と隼人。
「B氏は十年前、二本のドキュメンタリーを作っている」
「ほう」と四人が声を漏らした。
「すなわち「ザ、やくざ」と「未成年売春」だ」
これは副島雅子からの情報だった。
由紀子がハッと息を吐きだした
「まったく、分かりやすいこと」
「そのネーミングやめてくれないかな」
そっちじゃないだろ龍博はココロのうちで突っ込んだが、
「つまり、B氏は本業でかかわったわけだ、やくざと未成年に」と政治家―明石組―未成年、接着剤Bとボードに龍博は書いた
ボードを見ながら、由紀子が言った。
「B氏と政治家、B氏と未成年、政治家―未成年の関係が実証されればいいということ」
「ゴージャスの様子で、まずB氏と未成年売春は繋がっていると見ていいんじゃない」と美里。
「そうだ、そして敵の一番弱いのは政治家と未成年売春だ。これを突き止めればいい」と龍博。
「それには未成年の方を調べればいいのでは」と幸雄。
「未成年の相手客が政治家だって分かればね」とこれは美里の言だが隼人は一枚の写真をにやりと笑って出した。
「サクチャイが持っていた、客のスマホの写真」
「誰だ?」と龍博が聞くと、
「総務省政務官の三枝洋二」
この答えには一同驚愕した。
「本当か?」と龍博が答えた。
「さすがに、サクチャイから足がつくとは思ってなかったんだろ。外国人は日本人の顔がよく覚えられないからな」
龍博がみんなを見回した。
「どんな組織も完ぺきではない。彼らは末端の外国人などを使うべきではなかった。こういうふうに穴は見つかるものだ」
「ほかにも末端の外国人いるんじゃない」とは由紀子。
「ふうん、ちょっと情報集めてみようか」と美里が言うと、
「何かあてはあるの」と由紀子が聞いた。
「不法滞在関係の外国人の専門の弁護士がいる。タイ人の情報聞いてみる」
「あなたも、たいがいね、外資系のM&A、DV被害に、こんどは不法滞在とはね」
龍博がにっと笑った。
「美里さんも不良弁護士だな」。
「三枝の写真を見せる。こういうの絶対常習犯だから」
「しかし、未成年売春に、不法外国人、悪徳マスコミに、悪徳政治家か、日本大丈夫かね」この言は意外にも幸雄である。
他の者が「ほー」と声を上げる。
「何、何、何か変なこと言った」
龍博がまあまあと手を上げて言った。
「ハハ、何でもない、幸雄君、天皇キャンペーンはどうなっている?」
「順調だよ。天皇陛下は何回かトレンドになっている」
「トレンドってなんだ?」と隼人。
「ツイッターで話題になっている」
「なら、そう言え」
由紀子が割って入った。
「漫才は止めて、確かにネットでは話題になっている。ドキュメンタリーも絶賛制作中」
幸雄が髪をぼりぼり掻いて苦い顔になった。なので龍博が聞いた
「何だ、幸雄君、何かあるのか」
「前も言ったけど、とにかく、なんちゃって愛国者が増殖して気持ち悪い」
「大和会議がネットに積極的だからね」と由紀子。
大和会議か、まったくもって笑える主張を繰り広げる右翼? 団体だが、その幼稚な言説に賛同する国会議員が多い。まったく笑えない状況だ。だいたい明治時代国家体制が天皇制の理想形とする時点で、天皇が日本にとって、どういう存在かをまったく理解していない。主張するのは自由だからと言って、こういうのをほっておくと増長する。国会議員とは、あまり目立たないが強力なインフルエンサーなんだ、これに宗教家というインフルエンサーが加わると、強力なパワーを持つ。
隼人が難しい顔をして言った。
「正しい天皇の形ってなんだ」
龍博が答える。
「それは難しい問題だが、一つ言えるのは皇室の祭礼儀式が、いわゆる民衆の祭りと、時間的にも空間的にも呼応しているのではないか。昔から言うではないか、政治とは祭りごとと。天皇の祭りは民衆の祭りを基盤にしている」
「なるほど」
「俺は、専門家ではないから、俺なりに理解したことを言ったが、似非右翼があくまで百年前の明治政治制度を神格化するのは明らかに歴史の逆行だ。そして今や、そいつらがインターネットという武器を持ったわけだ。つまりインターネットは道具に過ぎない。人間が道具を駆使して何をやるかは原初的な問題だな」と龍博は言った。
「ドキュメンタリーにしても、戦後七〇年経った今、どういうふうに視聴者に映るかは、もう作品を出してみないと分からない。実際に経験した人々がどんどんいなくなっているのだから」とは由紀子。




