1日目 出会い
僕は、山本悠太。自分で言うのもあれだけど、陰キャだ。今は父と二人暮らしの高校二年生。母は、10年前に失踪した。今も行方が分からない。
―ピピピっ ピピピっ
地獄のような音が鳴る。朝だ。リビングに行くと父は今日も出かけているようだ。1人で朝ご飯を食べ、支度を済ませ、学校へ行く。
「あの子誰だ?」
「かわいくね?」
「内本春菜っていうらしいぜ」
「それじゃあ、春ちゃんだな」
どうやら、山本春菜という人物がこの学校へ転校してきたらしい。名前が母と一緒だ。まあ、日本には一億人を超える人がいるからな。かぶることもあるだろう。
***
放課後。いつもの道を歩いていると、同じ学校の女子制服を見かけた。こんな所で見かけたのは初めてだ。
ていうか、本当に高校生かどうか怪しいぐらい低身長だ。そんなこと気にせずそのまま歩いていると、なんと彼女が僕の家の隣の家の扉を開けたではないか! もしかして、朝聞いた転校生かも。まあ、しばらく様子を見ることにしよう。
***
―ピーポーン ピーポーン
帰ってきてしばらくたった時、チャイムが鳴った。一体誰が押したのやら。今、父はいないので僕が出ることにする。
「はい。どちら様ですか」
「あの、私隣に引っ越してきたものです」
そこには、帰りに見かけた転校生だ。彼女が引越しのあいさつに来たというのか。にしてもやっぱり、身長が低い。多分、140cmぐらいだと思う。
「良ければこれ、どうぞ」
「ありがとうございます」
僕は、受け取った紙袋を見てほほが赤くなった。こんな美少女に紙袋をもらったのは人生で初めてで緊張する。
「これからよろしくお願いしますねっ」
「よ、よろしくお願いします」
僕は、彼女の笑みについついにやけてしまったのであった―
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