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2人の少女と8匹のドラゴン  作者: あうまる
第三章

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3-6

「いったいどんな魔法を使ったのかは知らないが助かったよ。昨日もこんな連戦で大変だったんだ。」


 仮面の人が頭をかきながら言う。


「昨日からここに?」


「ああ。この奥のものを守ってほしいって依頼があったから受けてみたらこんなんだよ。正直依頼書の内容と違いが大きすぎるから文句言って出て行こうとしたら元の町に帰るには一月待たないといけないと来たものだ。あのくそエルフどもが。」


 なかなかあくどい依頼方法だな。


「あんたがよければ明日からも手伝ってくれないか?」


「それは構わないけど…この奥って何があるんだ?」


「さあな。これ以上奥には行くなって言われているから行ってないが見に行くか?」


「大丈夫なのか?」


「大丈夫なのかどうかは知らんが、少なくとも生物がいることは確かだな。」


「なんで?」


「昨日の夜、食料を持ってきてくれた爺さんがこの奥にも食料を持って行っていた。財宝とかならそんなことしないだろ?それに金銭的価値が高いものなら冒険者ギルドに依頼なんか出さないだろ。」


「なるほどね。勝手に持ってかれるリスクもあるからってことね。じゃあ、何がいるんだろうな…」


 2人で洞窟の奥を見る。しばし考えて奥に進むことを決めた。


「ちょっと奥に行ってくるよ。君は依頼を受けているんだから奥に行かない方がいいでしょ。」


「ん?そうか?それじゃあ何がいたかわかったら教えてくれよ。写真とかあると簡単だけどな。」


「あはは、確かにね。」


 そう言って仮面の人と別れて奥に進む。1本道を進みどんどん奥へと進むと鉄格子が見えてきた。そしてその奥に誰かがいた。


「誰だ?」


 壁を背に座っていた人物が立ち上がり鉄格子の方までやってくる。


「見ない顔だな?いったい誰だ?」


 明かりを向けると頬のこけた男性が立っていた。耳がとがっているから彼もエルフだろう。


「僕はレイヤ。成り行きでこの村に滞在している。貴方は?」


「俺はアーニージャックス。この村の村長だ。」


 思わず男性の顔を見る。


「貴方が風竜と会って追放されたっていう村長?」


「追放か。まあそう言った方が俺が消えるのには好都合だったんだろうな。」


「どういう事?」


 格子の向こうにいる男性、アーニーさんは再び壁に寄りかかり座る。


「この村が結界に守られているのは知ってるよな?元々あの結界は風竜から身を隠すために発動させたもの。風竜は自分の縄張りに俺たちがいるのが気に食わないから。」


「それは聞いた。」


「というのは嘘だ。」


「え?」


「嘘というのも少し言い過ぎかもな。風竜は昔住んでいた山を消されて怒り、消した犯人を探しているのさ。それがこの村にいる。」


 そう言えば風竜はもともと山に住んでいたんだった。


「実を言うと代々の村長は風竜と接触しててな、風竜からそのことを聞いていたんだ。だけど見つけることが出来なかった。」


「それと、貴方がここに閉じ込められているのはどういう関係が…」


「簡単な話さ。俺はその犯人を見つけた。正確に言えば俺の親、先代の村長がだがな。」


「そ、それって…」


「ジリアル、この村最年長のあのくそ爺さ。あいつは村長が風竜と接触してるのを知らなかったが先代の時代にたまたま知ってしまったんだろう。それで風竜に突き出されるのを恐れて俺の両親を…」


 暗がりで表情は見えないがアーニーさんは悲しい表情をしていると思う。


「俺も最初は知りもしなかったけどな。でも親の遺品から風竜とのやり取りをメモしていたノートが出てきてそれで俺は風竜と接触したんだ。ずっと見たくないと思っていた親の遺品をたまたま見てしまったからこんな事に…こんな事になるとわかっていたら見ずにさっさと捨てたのにな…」


「両親の遺品ならしょうがないよ…僕も…」


 確か大切にしてたものがある。何だったか思い出せないけど。


「まあいい。それよりここにいていいのか?まだ時間じゃないがジリアルがここに来るかもしれないぞ。」


「ああうん。そうだね。…アーニーさん、クラットをここに連れてきてもいいかな?」


 クラットの名前を出したらアーニーさんは飛び上がった。


「クラットが帰ってきてるのか!?」


「う、うん…クラットの案内でこの村に来たんだ。」


「そうか、帰って来たんだな…せっかく逃がしたのに…」


「逃がした?」


「ああ。クラットに旅に出るように勧めたのはあいつの祖父であるジリアルの断罪を見せないようにするためだ。まあ、結局ヘマしておれが断罪されたがな。」


「そういう理由で…」


「クラットはここに連れてくるな。」


「でもクラットはアーニーさんが追い出されたって聞いて泣いて…」


「この村で追い出すっていうのは掟を破ったために殺されたという意味だ。クラットが泣いたのは俺ともう二度と会えないとわかったからだ。」


「そんな…」


「わかったか?クラットにとっては俺は死人なんだよ。だから会う必要なんかないのさ。」


 アーニーさんは横になって背を向けた。


「それじゃあ大人しく帰れ。くれぐれもクラットには言うなよ。」


「…最後に聞きたいんですが、ここに来る前、羽の生えたトカゲと対峙しました。あれは何か知ってますか?」


「なんだお前、貴族の出か。あれは俺を助けるために風竜が送ってくれている分身体みたいなものらしいな。結界内に分身を作るからあまり強くないみたいだが。」


 だからあのトカゲたちはここに来るのか。


「…わかりました。失礼します。」


 来た道を引き返し仮面の男の元に戻る。


「奥に何がいたんだ?猛獣とかか?」


「まあ…そんなところかな…」


 この人に本当のことを言ってもいいとは思うが今はどうすればいいか整理がつかない。


「ふーん。唸り声も聞こえないならずいぶんとおとなしいやつなんだな。」


 仮面の男は億を見ながら言う。


「それじゃあ僕は帰るよ。明日も来た方がいい?」


「まあそうだな。できるなら来てもらえると楽なんだが。」


 それを聞いて了解する。毎日来れるかはわからないが火竜にもらった力を使う練習にもなるしできるだけ毎日ここに来よう。


 誰にも出会わないように祈りながら村長の家に戻った。戻った時にジリアルさんは出かけていた。


「こんな時間までどこ行ってたの?それにそんなに汚しちゃって。」


 リリアが泥まみれの僕を見ながら言う。


「森の奥にね。」


「ふ~ん。」


 リリアは何か言いたそうだったが何も聞かず、ただ汚れた服を洗濯するからと無理やり脱がされた。

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