序章
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結局高校3年間、君は一度も僕に振り向くことはなかったね。
クラスの中でも人当たりがよく、常に周りに笑顔を振り撒いていた君は他校でも評判の美少女だっけ。
そんな美少女に雑草のような僕はごく自然に恋をした。
しかも落とした鉛筆を拾って貰ったという定番中の定番のきっかけで。
しかもそれは高校の入学試験会場というお約束もつけて。
告白なんてものは日陰で目立たず暮らしていた僕にとってはあまりにもレベルが高すぎて出来なかったけど地味にアピールをしていたのは君は恐らく気付いていないだろうね。
学祭のミスコンの投票で君の名前を書いたり、君が所属していた吹奏楽部のコンサートを観に行ったり、君が図書館で借りた本を片っ端から僕も借りたり。
って、こんなことしたって気づかれるわけないよね。
君は恐らく、僕の名前も知らないだろう。
3年間同じクラスにもなれなかったもんね。
でも、それでいいんだ。
この先きっと、君と僕は交わることがないだろう。
だけど、この先僕は必ず大きくなって君の耳に僕の名前を届けて見せる。
そして、今度は逆に君が僕のことを一方的に注目するんだ。
でも僕は、そんな君の方を振り向いたりしない。
君の視線を背中で感じながら、幸せに浸るんだ。
今はまだ小さいけれど、必ず君の視線を奪えるほどの大きな男になるんだ。
ありがとう。君を3年間好きで良かった。
そしてこれからも、君を好きでいると神に誓おう。