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腹ぺこ
俺は泥だらけの軍服の少女を仕方なく受け入れたのだがーー
「あぐ、もぐ。ずずう。あぐあぐ」
ガチャガチャと食器を鳴らしながら軍服の少女は飯を食っていく。
「よ、よく食べるな」
「よほどお腹が空いていたんですね」
軍服の少女の食べっぷりに俺と少女は呆けるしかない。
「おかわり!」
「は、はい!」
おかわりを要求されて少女がキッチンに消える。
この子、もう丼三杯も米を食っているんだが。
「え、と。それで君は何処から来たんですか?」
おかずに箸を伸ばす手が止まらない軍服の少女に声をかける。
「自分でありますか? 沖縄です」
もぐもぐと頬を膨らませながら軍服の少女が答える。
「沖縄? 沖縄って沖縄?」
「そうです。一番南の」
「君も戦ったの?」
「………………」
軍服の少女が箸をテーブルに置く。
「おかわりです、よ?」
ご飯大盛りの丼を持ってきた少女が俺たちの間に流れる空気に困惑する。
「戦うしかなかったんです。女が生きるためには」
彼女は悲しげに笑った。