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さらば
「良かったの?」
「はい」
俺たちは爺さんーー少女の弟の背中を見送っていた。
「本当に生きてくれていたなんて。それに手を離してしまった私に"救ってくれてありがとう"って」
気付けば少女は泣いていた。
自分でも気付いたのか手の甲で拭う。
「助けられたんだ……。あの子を助けられたよ。お父さん、お母さん……!」
弟を探し続けていた少女。
これが彼女の"未練"だったのだろうか。
そうだとしたらーー
彼女は成仏するのだろうか?
それとも肉体のある彼女は今の世で生き続けるのだろうか?
「帰ろうか」
「はい……」
俺たちは手を繋いで地下鉄を目指した。