『背中』『彼方より』
17『背中』
18『彼方より』
『背中』
そうして貴方は去っていくのね
黙ったまま、何も告げず
私はそういうところが嫌いよ
そういうところが嫌いなのよ
明日起きたら
一人、寒い部屋の中
ただ震えながら泣くのね
どうして貴方は去ってしまうの
伸ばしたまま、貴方を掴めず
私はこういうところが嫌いよ
こういうところが嫌いなのよ
明日起きたら
探す、暗い部屋の中
まだ残る影を見るのね
あの時起きたら
抱く、広い貴方の背中
そう淡い夢を見るのね
『彼方より』
さあさあ者共、見ろや、見ろ
この広がる大地に
流れる河川、
更には皆の家族が住まう町
なんと美しくいとおしい
見ろや、見ろ
向こうに迫る侵略を
なんと巨大で醜悪な
おぞましく恐ろしい
黒々燃ゆる災厄を
吼えろ皆、
己を奮わせ、いざ立ち上がれ
吼えろ皆、
互いを鼓舞せよ、いざ参らん
吼えろ皆、
脅威を払えよ、いざ戦わん
やあやあこれは、見るに耐えん
鬼、妖怪、怪物に
あまねく惨事、
更には怨嗟と禍根が入り交じる
なんと恨めしく禍々しい
見ろや、見ろ
恐怖が滲む浸食を
心に去来し凶悪な
とてつもなく強かに
恐々染める心臓を
吼えろ己、
体を震わせ、大地を蹴らん
吼えろ己、
しかと畏怖せよ、しかして負けん
吼えろ己、
狂気を払えよ、いざ戦わん
握れ拳、
奴を打ち消し、大地を守らん
燃えろ心、
奴を切り伏せ、河川を守らん
叫べ我が身、
奴を滅ぼし、家族を守らん
さあさあ者共、吼えろや、吼えろ
さあさあ者共、吼えろや、吼えろ
奮うは己、鼓舞するは互い、払うは脅威
吼えろや、吼えろ
滅ぶは災厄、勝つは我等、守り帰るぞ我が町へ