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美湖ノート  作者: 柳橋美湖
読書・視聴感想文 (小説と映画を主に)
14/31

映画/『アレクサンダー』

   オリバーストーン監督、コリン・ファレル主演2004、アメリカ。


 紀元前356年にマケドニア王国の王太子として生まれたアレキサンダー大王は、父親が暗殺されると20歳で即位。ギリシャとマケドニアの兵士を率いて、世界帝国ペルシャに戦いを挑み連戦連勝。世界の果てに何があるのかを確かめるかのようにインド制服に向かうも、慣れぬ密林での戦いで敗退し、バビロンに引き揚げてその地で亡くなる。享年30歳。

 母親は迷信深く被害妄想が強い。蛇のような性格で周囲を貶める。新しい妃を娶り、寵愛を失ったのを知って夫を暗殺した陰にはこの人がいたようだ。

 厳しいが尊敬していた父親、溺愛はしているが人として問題のありすぎる母親。その間に立って葛藤する少年は、後に将軍たちとなる学友たちとの友情を深めつつ、妄執にとらわれた母親から逃げるように世界の果てに旅立つのだ。

 映画では語り部となっているアリストテレス門下の学友で後のエジプト王となるプトレマイオスにいわせれば、若い皇帝の征服欲についていけなくなった配下の将軍たちの黙認のもと、その中の一人が若い皇帝を暗殺したのだという。皇帝の死後、遺児たちも皆殺しとなりアレクサンドロス帝国は将軍たちによって分割解体される。

 映画にもある、国際結婚による融和策。例えばギリシャ人とペルシャ人の結婚。この手の政策は中国の南北朝時代で北朝となっている騎馬民族帝国や日本の対蝦夷政策で失敗している。

 結婚というのは頂点にいる為政者の一存でして上手くゆくものではなく安易だ。その点はアレキサンダーの亡骸を引き取った妹婿プトレマイオスも批判するところ。

 家族愛に飢え、家族愛に恐怖した男が、冒険と制服に活路を見出し、その果てに自滅はしたが、はるか当方にまで、ギリシャ彫刻→仏教美術となって日本にまで影響を与えたヘレニズム文化を創始したエネルギッシュな偉人であることには変わりがない。

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