消えちゃった 夫の代わりに 追い払う
pi〇ivに投稿してたやつ、これからこっちにも投稿し始めます
言語能力を持ち、魔法を扱うケモノ、魔獣
魔獣達は、人間のように文化を形成し、いくつかの国を作った
その国の中の1つ、「ファリシア」
ファリシアはエリアα~ωと、中央城エリアの25つのエリアで隔たれている
最北東にあるエリアεで、とあるキメラが何でも屋を開いていた
そして今日、ついに、初めての依頼主がやって来た
「ここが霜花、、、」
彼女はギミル・ブク、牛の魔獣である
蹄型の手でドアノブを掴み、回して引く、、、
が、開かない、何度引いても、回す向きを変えても、ガタガタと音を立てるだけである
「んん? 新しいお店らしいんだけどな、、、」
周囲を確認しても、「OPEN!」と書いてある掛け看板しか見当たらない
立て付けが悪いのかと思い、全力で引いた瞬間
ついに扉が開いた、、、横に
「えっ?」ドシーン
扉から横に力を加えられて倒れてしまう
「依頼かい? いらっしゃい」
中から少し嬉しそうに顔を出したのはこの店の店主、えふぃあだった
「ガタガタ鳴ってたけど、、、そんな立て付け悪かった?」
「引き戸ならドアノブにするなよ!」
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「で? 依頼は?」
霜花の店内にある、机を挟んで、対面するように置かれている大きめのソファに腰掛けながら、えふぃあが尋ねる
「幻獣の討伐をしてほしいんだ」
ブクが討伐を依頼した、「幻獣」とは、
身体能力や体格は、魔獣より恵まれている代わりに、基本的に言語能力もなく、魔力を有しているものの魔法を使うことはほとんどない、四足歩行のケモノである
一般の魔獣では太刀打ちできないことも多く、幻獣を狩るための魔具を所持している者や、家庭内に一匹は幻獣を追い払うための魔法を覚えてる魔獣がいるのだ
「幻獣? 家の近くに居座られてるの?」
「家はエリアρにあって、農業してるんだけどね。最近、畑を荒らされて困ってるんだ。
荒らされ具合を見るに、3mはありそうなんだけど、、、お願いできるかい?」
「エリアρ!? けっこう距離あるけど、どうやって来たの!?」
「ドラタクに頼んだよ」
「ドラタクってあの、、、ドラゴンタクシー!?
速いけど、めっちゃ高いって言うあの!?」
「そうだよ、一応エリアρで大きめの農場をやらせて貰ってるからね。依頼を受けてくれるんだったら、往復のドラタクは手配するし、料金は弾むよ」
「いや、移動は問題ないよ。
それだけの農場やってるなら、幻獣を狩る魔具を買ったり、魔獣を雇ってたりしてないの?」
「元々、夫に頼んでたんだけどね。浮気性だったから、ほかの女のとこに行っちゃったのかねぇ」
「ふぅん、、、ひでぇやつだな。
そんじゃ、オレはその夫の代わりに幻獣を狩ればいいんだな!」
「引き受けてくれるのかい?」
「もちろん! あ、依頼料はキャスじゃなくてもいいからね。
依頼に対して等価であると思える、物をくれるか、何かしてくれればいいよ もちろんキャスでもいいけど」
「案外緩めなんだねぇ。ファリシアでもあまり見ない何でも屋だから、もっと高額請求されるものかと思ってたよ」
「先駆者が居ないから、相場わかんないんだよねぇ、、、」
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二匹はえふぃあの部屋に行き、部屋の隅にあるハシゴを上って屋根裏へ向かう
屋根裏では、ぎっしりと本が並んだ本棚がいくつもあった
「準備なら、私も屋根裏に来る必要あったのかい?」
「準備じゃないよ、このまま出発しよう、忘れ物はない?」
そういうとえふぃあは観光ガイドを開く
「んーと、この農場?」
「うちかい? そこじゃないねぇ。そこの南西側にあるよ」
「じゃあこれかな?」
「そこだね。それがどうかしたのかい?」
「んじゃ出発しよっか」
えふぃあがそういうと、えふぃあの左足に付いていた金の輪が足から外れ、直径1m程まで大きくなった
「うちの、、、農場、、、!?」
「これはワーフープ。行先の情景を思い浮かべると、ワープゲートを開けるんだ。さ、いくよ」
二匹はワーフープを潜り、エリアρにある、ギミル家の農場までやってくる
「お、これ"マガイモ"育ててる?」
「そうだよ、何でも屋なだけあって、物知りだね」
「そういう訳でもないよ。"マガイモ"は好物なんだ、ほぼ"じゃがいも"だし」
「ん? "じゃがいも"?」
「なんでもないよ! さ、幻獣探そっか!」
そういうとえふぃあは、どこからともなく、手斧を取り出した
直後、手斧が弱めの光を発する
「"サチカ"使ったけど、この周辺には居なそうだね」
サチカとは、捜し物が近くにあるかわかる魔法、どうやら幻獣は、畑の近くには居ないそうだ
「近くにいないなら、ここから北西に向かった所にある、林にいるかもしれないね」
「ならそっちでまた"サチカ"しよっか」
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林に移動した二匹、そこでまたえふぃあが"サチカ"を使う
「! この辺いるよ!」
「私は離れといた方がいいかい?」
「いや? どこいてもいいよ?」
そんな会話をしていると、虎の幻獣が唸り声を上げて姿を現した
「あれかな? 3mくらいありそうだし」
「多分ね、、、」
その幻獣は、ブクの言う通り3mほど
えふぃあの5倍ほどの大きさで、右前脚に傷を負っていた
「あの傷、、、ジャノクの最初の攻撃、、、」
ブクはその場で崩れ落ちる
浮気をしたと思った夫の爪痕が、目の前にいる幻獣に刻まれていたのだから
一方、えふぃあは早速攻撃を仕掛けていた
「きあいほう」
無属性の攻撃魔法よりもかなり威力の低い、細い光線が、幻獣の傷に向かって飛んでいく
傷に「きあいほう」という攻撃魔法が当たると、幻獣は少し怯んだが、すぐに激昂し、咆哮を上げた。そのまま、鋭利な刃物のような爪を立てて、動けずにいるブクへと襲いかかる
ブクは抵抗する気も起きず、そのまま座り込んでいた
爪がブクに届く寸前、えふぃあが手斧でなんとか受け止める
「相手があんだけデカイ虎でも、こっちはキメラだもん。あの虎ボコすから、依頼達成って言えるよう、しっかり見ててね」
にわかには信じ難いと言う表情で見つめるブクだったが、次の瞬間、不安は消え去った
えふぃあはまた、「きあいほう」を傷に当てる、少しだけ幻獣が怯む
すかさず攻撃を重ねる、、、かと思いきや、えふぃあは深く息を吸い込んだ
また幻獣が動き出した瞬間、溜めたものを解き放つようにえふぃあが声を大きくして唱えた
「きあいほう!!!」
先程までのきあいほうとは威力も大きさも異なり、地表面を少し抉るほどの魔法となっていた
幻獣にダメージは与えているものの、まだ動き出そうとしているのを確認しつつ深呼吸するえふぃあ
もう一度「きあいほう!!!」
さらにもう一度「きあいほう!!!」
5回ほど魔法を放ったところで、幻獣は完全に動かなくなり、倒れてしまった
「ギリギリ生かしてるけど、ここまでやれば近づいて来ないでしょ」
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「いいの? そんなに」
えふぃあはブクに、家に招かれていた
今は家に向かう途中で、
なんと、夕食をご馳走してくれるうえ、好物である"マガイモ"を沢山分けてくれるらしい
「いいんだよ。依頼も解決してくれたし、夫の仇もとってくれたしね」
「ん? 仇?」
ギミル家が見えてきたその時、
家の中から少女が飛び出して来た
「ママ!」
と大きな声を出す少女は、走って来て、抱きついた、、、えふぃあに
ブクは少し驚きつつ、宥めるように言う
「ママじゃないよ、ママはもう帰ってこないの、、、」
えふぃあが驚きすぎてフリーズしていると
ブクは悲しそうな表情をして言った
「夕飯の間に説明するね、、、」
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今日のギミル家の夕食は"肉マガ"だった
"肉じゃが"と何ら変わりない料理である
好物を前にテンションの上がるえふぃあだったが、
「これ、共食いじゃね、、、?」という思考が頭をよぎる
3匹で食事をしていると、半分食べ終わったところで、ブクが切り出した
「この子は、、、私の娘の、アノマ」
「アノマちゃんっていうんだー。よろしくねー」
「おつかれー」
アノマの返答に違和感を感じない訳もなく、疑問を顔に浮かべてブクの方を見る
「アノマは、昔悪魔獣に騙されて、、、"あまのじゃく"になってしまったの」




