第六話 おじさんともめる
タカヒロが上のネジをクルクル回すと、頭がスッキリし
さっきおじが言ったことをすべて思い出し、何から何まで完璧にやってしまうことができました。
階段から裏階段、そして泉に入り時間の方程式をよけて
黒々しんじゅのある間へやってくることができたのです。
タカヒロは時間を富と財産に変える黒々しんじゅを手にすると
自信がでてきて気持ちも大きくなって、帰り道でうっかり渦の中に落ちていました。
タカヒロは渦にのみこまれると次から次に水が口に入って、
だんだんと自分が死ぬことを感じました。
(母上さようなら今までありがとう。ネコたちもどうもありがとう。
いっしょに遊んでくれてとても楽しかった。それじゃ…)
死を覚悟して安らかな気持ちになると、無心になることができました。
すると、むかし世話をした野良ネコの親分がタカヒロのそばにやってきました。
この親分は体がふつうのネコの3倍大きくてケンカが強かったのですが、
ある日タカヒロの家にやってきたときは全身キズだらけで毛もむしられ
おなかを見せてグロッキー状態だったので助けてあげたネコです。
(あ、あれ!?親分はとうのむかしに死んだはずじゃ??)
そう思った次の瞬間、野良ネコの親分はタカヒロの首根っこをくわえて
風のようにヒューと飛び上がると、あっという間に渦の中をぬけだし、
4つの部屋をぬけてはじめの時計のある所に戻っていました
(親分はあのときの恩をおぼえていて助けてくれたんだ…きっとそうだ…)
「タカヒロ!そこにいるのか返事をしろ!!!」
すぐ近くからおじさんの声がしました。
「おじさん!ネコの口に手をいれてここまで伸ばしてよ!ボクを引っぱり上げてよ」
タカヒロはニコニコしながらネコの口を見上げました。
ところが、魔法使いは
「いやまず、ポケットに入れて持ってきた黒々しんじゅをワシによこすのだ!
そうすりゃ、その分軽くなってそこから出られるぞ!!」
「おじさん!黒々しんじゅはそんなに重くないんです。ここからネコの口までが遠いんです。
どうか手を伸ばしてください すぐにつかみますから」
しかし、ただ黒々しんじゅだけがほしい魔法使いは
タカヒロの言葉がうっとうしくて仕方ありません。
そして、どうしても黒々しんじゅを先にわたせとゆずりません。
一方、タカヒロのほうでも黒々しんじゅはポケットに入れたけど、
その奥に穴があいていたのでズボンのどこかにあることは確かでも、
どこにあるかは1度ズボンを脱いでスッポンポンにならない分かりません。
なのに、早く出せとおじさんは全くのガンコもの!
とうとう、魔法使いはタカヒロが黒々しんじゅを渡すつもりがないとみて、
もうだめだとあきらめてしまいました。
7.14~