第四話 心の目
「さぁタカヒロ、ワシらのさがしていたゲームの世界はここじゃ。コホン、まずお尻を隠すとしよう。それからこの世でまだ誰も経験したことがない素晴らしいゲームの世界をみせてやろう」
こういってタカヒロを落ち着かせてくれたのですが、しばらくすると…
「さぁ、目をとじなさいタカヒロ。そうすれば目の前は真っ暗になるはずだ。そして、心の中でたき火をイメージしてくれ。そうすれば素晴らしい体験できるぞ」
おじが一体何をしたいのか全く分からないタカヒロは、言われるままたき火を心の中に描きました。
心の中でたき火はどんどん大きくなりタカヒロにせまってきます。
魔法使いは、そのたき火のそばにあらわれると、ふところから小箱をとり出し、
「エロイムエッサイム♪エロイムエッサイム♪」
と、何やら不思議な呪文を唱えネコの毛をつまんで炎の中に投げこみました。
と、どうでしょう。突然まっ黒な化けネコがあらわれ、前足で地面をたたいてグラグラゆらすと、目からすさまじい稲光を発して「ゴロゴロニャーーー!」と鳴いたかと思うと、口がまっぷたつに裂けてしまいました。
タカヒロはすっかり恐ろしくなって、目を開けようとしましたが魔法使いはタカヒロの目に接着剤をぬって、ものすごい力でまぶたを閉じました。というのも、タカヒロの力をかりないとせっかく探しあてた扉が開かないからです。
目玉がウナギのように暴れまわり、ひどくまぶたを押さえつけられたタカヒロはそのまま気を失って倒れてしまいました。
しばらくして息をふきかえしたタカヒロは、
「あれ?目が開かない!?」と、あわてました。
「恐れるな!これも新しい世界に入るためには必要なことじゃ。
よいか、ワシは心眼でものを見る。お前の養父つまりワシの兄貴はそうじゃなかった。
だからずっと貧乏だった。いいか、心を研ぎ澄ますのじゃ。
何かが近くまで来とるのがわかるか?化けネコがどこかに隠れておる。
それを見つけだせるのはお前の心だけだ!!
早く見つけだないとネコの口が閉じてしまう。
そうなったら、ワシもお前もこの仮想世界から永久に出られなくなる」
魔法使いの話が本当なら、さっきのことを気にしている場合ではない!
タカヒロはまぶたを強くおさえつけられ接着剤をぬられてことをすっかり忘れて
初めてきいた心眼というものででさっきのネコを探しました。
「ど、どこに隠れているの?全然わかんないよ」
魔法使いはタカヒロのそばにより額に手をかざすと、
「自らの心を恐怖で閉ざしてはならぬ!心配や恐れを一掃するのだ。
そうだ…いいぞ。さぁ、よく目を凝らすのじゃ」