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なろうラジオ大賞5

三日月勇者身代わりを終えて〜特別なクエスト報酬

「はぁぁぁー?!何で俺達の冒険者ランクが下がってるんだよ!」


 冒険者ギルド内に、戦士ゼムの怒声が響いた。


 5年の月日をかけて、神託の勇者であるこの国の王子が魔王を倒し、俺達は国王から依頼された三日月勇者の身代わり任務を終えた。

 だが、多額の依頼報酬を受け取る為に、久しぶりに冒険者ギルドを訪れると、AだったランクがCまで下がっていたのだ。


「そう言われましても。ギルド規約の通り、2年間一度もクエストを受注していない冒険者は、ランクが一つ下がる事になっています」


 と受付嬢に説明されたが、


「ずっと国からのクエストを受けてたんだって!」


 納得出来ずに、ゼムは国からの依頼を強調した。

 しかし、


「確かに5年前ギルドを経由して国からの依頼を受けた記録がありますが、それ以降はギルドを通していないので認められません!」


 と受付嬢に言い返された。


 つまり、最初の雪山の洞窟に聖剣を取りに行くクエストを最後に、俺達は冒険者ギルドから依頼を受けていないって事か。


「ゼム落ち着け。報酬の入金は確認したから、今日の所は宿に帰って休もう」


「ううぅ……」


 諦め悪く受付嬢を睨みながら唸り声を上げるゼムを引きずり、俺達は冒険者ギルドを後にした。


「盲点だったわね。まさかCランクまで落ちるなんて」


 ギルド内では大人しくしていた魔法士のリズが、苦々しい顔をして言った。


「そーだよー俺達Aランクだったんだぜぇ。国に直訴しに行くか?」


「いや、無理だな。俺達のクエストは極秘任務だから、その分報酬も高い。それに、悪いのはギルドの規約を忘れていた俺達の方だと言われるだろう」


 そう、国からの依頼中でも冒険者ギルドに立ち寄り簡単なクエストを受注する事は出来たのだから、俺達の落ち度だ。


「カイは、これからどーするよ?」


 ゼムが言った。


「今回の報酬を持って故郷に帰るつもりだったが辞めた。とりあえず、Aランクには戻したいからな」


 本当は故郷でのんびりする予定だったが、Cランクじゃ帰れない。

 俺の言葉を聞いて、リズが手を挙げた。


「それなら、私もカイと一緒に冒険してAランクを目指すわ!」


「なっ!俺を除け者にするなよぉ!三人でまた冒険しようぜ。目指せSランクだ!」


「無理……でもないか。今の俺達は、間違いなくCランク最強の冒険者だからな」



 こうして、俺達は地位や名声を失う代わりに、潤沢な資金と気の合う仲間を手に入れた。


 それは、何ものにも代え難い特別なクエスト報酬だった。




剣士カイの設定〜


物心ついた時から田舎の孤児院育ち。

今でも育った孤児院のある村を故郷と呼び、孤児院に住む子供達は家族だと思っている。

冒険者の稼ぎの半分は定期的に孤児院に送金。


「うちは子供が多いから、お金が必要なんだよね」


とか普通に言うので、一部の人には既婚者だと思われている。


純粋で真面目な守銭奴。

人の言葉を疑わず素直に受け取る。



特技 剣技(駆け出し冒険者時代に高ランク冒険者を師事)

家事、料理(孤児院で鍛えた)




☆とりあえず三日月勇者の短編(千文字縛り)は、これで最後になります。


ここまで読んでいただき ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 色々な人の視点で語られていて面白かったです。これだけ話が広がるとは思っても見ませんでした。 茶番までしたのに、戻ってみたら、まさかのCランク落ち。 でも、魔王倒す実力もあるし、機転を利か…
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