ロレンス家にて
ラティナとラウル伯爵の会話です。
「まずは謝罪を」
ラウル伯爵の言葉にラティナは若干戸惑っていたが、表情筋は通常運転中だ。
夏休みに入り、全く外部に情報が出回らないパーティー後のことや裁判の事を教えに来てくれた事は有難いが、渡された花束に違和感を感じてしまう。
「貴女の聡明さに感銘を受けただけで無く、10歳も年下の令嬢に心が囚われてしまった事が恥ずかしくて非道な事を言ってしまって申し訳ない」
「10歳?」
ラティナの顔色が変わった。
「ん?宰相と言う立場から実年齢よりも上に見える様にしているが、何か?」
「いえ……」
言えない。30過ぎのロリコンだと思ってたなんて。
ん?心が囚われて?
ん?……うえぇぇ、嘘でしょ。
ちょっと待って。なんかすごい事聞いた気がするんですけど。
「目が泳いでいますけど、どうしました?」
やばい、この人、私の動揺に気が付いてる。
「貴女は、お母上から表情に感情を表さない様教育されている、と聞いてますが、目は素直ですね」
だって、この世界にはサングラス無いから。
「まだ10代の貴女から見ればいい年のおじさんですが、正式に婚約を申し込みに来ました」
はいぃぃ??それ、本気ですか?
「本気です。貴女を失ったら私は人間性を無くしてしまうほど貴女に心を奪われています」
アマッ。激甘なセリフ。
「甘い言葉で貴女が私を異性と認識してくれるなら、溶けてしまう様なセリフを言い続けますよ」
……なんで考えてること分かる?心が読めるの?
「貴女の心が読めるのなら良いのですが、貴女が思うより貴女の目は感情を表してますよ」
「……心を読んでいるのと同じです」
これ以上感情を読まれないよう、視線を下げてみた。
「綺麗な瞳を隠さないでください。お返事は待ちますから」
いや、返事はこっちからしなくても格上の家からの要望は断れないですよね。
「先に申し上げますが、爵位を盾に申し込んだつもりはありません。私は人間性を重視して貴女個人に申し込んでいるのです」
「……でしたら名前を呼んで下さい。貴女、では私でなくても良い気がして」
負けた。言い訳なんか全部出来ないじゃないですか。
「では、ラティナ嬢。私、アルフレッド・ラウルと結婚して下さい」
「はい。喜んでお受けします」
なんか手の上で転がされた気分ですが、ラウル伯爵の事は嫌いでは無いですし、政略結婚っぽく無くていいかなぁ。
ほぼラティナは喋ってないですが。




